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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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50:対応と卵

  

 イベント翌日。俺は第4エリアの町に居る。


 第3エリアの町にあるギルド前で絡まれた後、さっさと第4エリアに移動してギルドで依頼を受けた。まだ一部依頼は達成していないがそう時間はかからないはずだ。


 イベント後の調整のため深夜帯にメンテナンスがあり、その中で一部のプレイヤーについてアカウント停止や一時的にログイン不可の措置を行ったことが公表された。

 今までのアップデートやメンテナンスの際にも同じように処分対象のプレイヤー名が公表されることが有ったのでおかしなことではない。


 処分対象の中にはギルド前で俺に突っかかってきた奴のプレイヤーネームらしきものもあった。処分内容は2週間のログイン停止のみだったが、そもそもあの時の話からして、掲示板での言動と他プレイヤーに対してありもしない言いがかりを吹聴したくらいなので、こんなものだろう。むしろあれでこの処分となると、やや重めの処分が下された感じもする。これはもしかしたら、人身御供と言うか見せしめに使われた可能性はあるだろうな。処分の理由も明確に記載されているしな。

 処分内容には記載されていなかったがおそらく掲示板への書き込みも停止させられているだろうから、これ以上変なことには発展しないだろう。


 どうも他に同じような事をしたプレイヤーも居たようだ。同じ場所に複数のプレイヤー名があることからしてランキングの結果が気に入らない、と思う奴が多かったのかもしれないな。


 これについて掲示板では、イベント中妨害していたプレイヤーが処分対象のプレイヤーに入っていない事への不満を出している奴らも居たが、あいつらについてはイベント中にペナルティが課せられていたし、別にあれがNG行為として注意事項に載っていた訳ではないのでおかしい事ではないだろう。さすがに特定のプレイヤーに粘着して妨害していた奴は処分されているようだったが。


 まあ、すでに終わったことだしこれに関してはもういいだろう。



 受けていた依頼をすべて消化した後、少し休憩する。

 ここはデジタル上の世界なので肉体的に疲労することはないが、どうしても精神的な疲労は感じる。なので、FSOの中とはいえたまにこうやって休憩することもあるのだ。


 空腹を回復させるために先ほど買った焼きそばパンを齧る。ファンタジーな世界観のゲームで焼きそばパンはどうかと思うが、見たことの無いような変な食材で作った料理を食べてみたいというチャレンジ精神はないし、ハズレた時の事を考えたら下手に手を出すことは躊躇う。

 そんな感じの考えで買った焼きそばパンだが、どうも中に入っている具材に違和感があるのだが気にしないことにしておく。見たら食えなくなりそうだし、味自体は悪くはないのだ。


 シュラたちも一緒に買ったパンを食べているが、スライム、植物、蜘蛛、猫と全く違う種族が同じパンを食べていることに違和感を覚える。ゲームだからそんな物なのだろうが、むしろ食べ物を気にしなくていい分、楽と言えば楽か。


 食べ終わったのでインベントリに入っているモンスターの卵を確認する。

 卵から孵るタイミングがいまいちわからないが、最初に説明文を読んだ時に『孵るにはもう少しかかる』的なことが書かれていたのでまだ少し時間が掛かるだろうか。孵るまでの時間の説明的にポケ〇ン的な感じがするので、歩数によって卵が孵る可能性が高い。

 確認したところ、モンスターの卵の状態が『もうすぐ生まれる(スタンバイ)』になっていた。


「もうすぐ!? いや、スタンバイって何だよ!?」


 想像以上に生まれそうになっているのが早い。本当に歩数で卵は孵るのかもしれない。しかし、スタンバイと記載されているのは何だろうか? 


「あ、もしかしてインベントリから取り出さないと生まれないのか?」


 たしかにインベントリの中には生きた状態の物は入れられないのだから、入れた状態では卵から孵ることはできないだろう。そう考えればスタンバイの意味は通じる。


「です?」


 俺が驚いて声を上げたことでシュラたちが寄ってきた。


「ああ、すまん。……いや、ちょっと待てよ?」


 丁度いいかもしれない。シュラたちにも卵から仲間が生まれて来る瞬間に立ち会ってもらうことにしよう。


「どう…したの」

「ああ、ちょうどモンスターの卵が孵りそうなんだ。お前たちも見るか?」

「しゅ?」

「にゃ?」


 卵からモンスターが孵るという事が理解できないのか、単に言葉の意味が分からないだけなのかはわからないが、わからないといった感じの反応しか返ってこなかった。

 ……まあ、いいか。どの道仲間になるんだ。生まれて来る瞬間を見ていてくれた方がより仲間意識を持ってくれるだろう。


 そう判断して俺はインベントリの中から卵を取り出した。

 

 インベントリからモンスターの卵を取り出すと、シュラたちが寄ってきた。どうやらこれからモンスターが生まれて来ることは知っているらしく、完全に寄って来るのではなく少し距離を置いた場所で止まった。


 もっと近付いて観察してくると思っていたんだがそうでもなかったな。……いや、そう言えばシュラたちって基本的に行儀は良かったな。食べ物を上げてもがっつかないし、食べこぼしをすることもない。

 テイムしたモンスターはそういうものなのだろうか。


 抱えているモンスターの卵が光り出す。これは進化エフェクトと同じような光だ。卵から進化するとか、そんな扱いなのだろうか。


 光が強くなり、卵を抱えている腕が光で見えなくなり、しだいに視界が白く染まる。

 うっ、これは何処か机のようなものが置ける場所で卵を出すべきだったな。


「ですぅ」


 卵から初声される強い光に目がくらんだのかシュラの声が聞こえた。

 他の奴らも光に目がくらんだのか、目を傷めたのかはわからないが呻き声を出している。俺も抱えている卵から距離を取りたいところだが、離せば地面に落ちてしまうので我慢する。

 現実よりも目を閉じれば眩しさを感じ辛いようなので、目を閉じる。


 目を閉じてもわかる視界の白さを実感していると抱えている卵から殻が割れ始めたような振動が伝わってきた。

 割れ始めたことに気付いた俺は薄ら目を開け、卵の様子を確認する。しかし、眩しさから碌に状態を見ることは出来なかった。


 そして数秒程で卵の殻が割れ落ちはじめたようで、光始めてから30秒もしない内に完全に卵の殻が落ちきったのか、光は収まっていった。


『モンスターの卵からモンスターが孵りました。

 生れて来たモンスターに名前を付けてください』


 光が完全に収まるとアナウンスが流れた。これはテイムした時と同じなので生まれて来たモンスターを確認してからでいいとして……


 俺の腕の中には小さな人型のモンスターが居る。色はやや黒みがかり背中には蝶のような翅が付いている。


「……妖精か?」


 ずんぐりした体型とほっそりした体型の中間、よりはやや細身の見た目は良くある妖精のそれだ。黒い、というのが少し気なるがおそらく間違ってはいないだろう。

 ステータスを見ればわかるか。


『NAME:未設定 種族:妖精(闇) LV:1 属性:闇

 HP:24/24 MP:60/60

 STR:5 INT:32 総合攻撃力:18

 VIT:4 MND:34 総合防御力:18

 AGI:21 DEX:16 

 スキル:身隠し・惑わしの黒光・闇魔術』


「やっぱり妖精だったか。属性は闇と。しかし、レベル1にしてはステが高い気がするな」


 キャラメルを除いたシュラたちの最初のステに比べて大分高いステータスに首を傾げる。STRとVITは低い分、INTとMNDが高いのでそこは良いとして、総合の方はシュラたちが1度進化した後くらいのステータスがある。

 という事は、卵から孵った直後ではあるが既に1度進化しているという事か? それとも妖精、という種族は最初からステータスが高いというのかもしれないが。


「ちゃ、ちゃる……」

「何て言うかテンションの低い鳴き声だな」


 卵からとは言え、生まれたてなのだからもう少し元気よく鳴くと思ったんだが、ああいや、鳥の雛とか卵から孵る子供は卵の殻を破るのに力を使うから、孵った後は疲れて結構ぐったりしていた記憶が……

 まあ、どう見てもこれは自力で卵の殻を破って出て来た感じではないから、疲れている訳がないから、こいつはこんな感じの性格なのかもしれない。


「……! ちゃ……ぅ」


 シュラたちに見られていることに気付いたのか妖精はビクリと反応を示した後、シュラたちに見られないようにか抱えている俺の腕の隙間に潜ろうとしている。


 見られていることに気付いて驚くのは変ではないが、見えない場所に移動するとか引っ込み思案と言うか陰キャ妖精なのかこいつは。


「嫌がっているようだが、とりあえず新しく仲間になった奴だからシュラたちもよろしくな」

「はいなのです」


 シュラに続いてぷらてあたちも返事をしてくる。


「さて、じゃあ、名前を付けないといけないな。……どんな名前にするか」


 鳴き声に特徴がある奴だし、それを合わせた感じの方が覚えやすいしわかり易いよな。となると、「ちゃる」だけだと捻りが無いし他の要素と合わせるのがいいか。

 属性が闇だし、やみちゃる? そのまんま過ぎるか。なら、やちゃるとかでいいか? 他に思い浮かばないし、変な名前を付けても痛いだけだしな。これくらいがちょうどいいかな。


 腕の中で顔を伏せている妖精の顔を見えるように移動させる。


「よし。それじゃあ、お前の名前はやちゃるだ」

「ちゃ、ちゃる?」


『テイムモンスター:妖精(闇)の名前を「やちゃる」に設定しました』


 妖精(闇)に名前を付けたことでアナウンスが流れる。


「…………! ちゃる!」


 すぐには何のことなのか理解できなかったのか、少し小首をかしげていたやちゃるだが、自分に名前が付いたことに気付いたことで俺の腕に抱き着いて来た。


 そうして俺のテイムモンスターの仲間に卵から生まれた妖精(闇)のやちゃるが加わることとなった。

 

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