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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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43:ダンジョンに潜む暗殺者

 

 アンゴーラが出したウィンドウに映っていたのは4人組の男。未だ1層目のスライムたちと戦っているようだが、難なく倒せているので2層目には行けそうだな。

 しかし、戦いながら話している内容は結構荒っぽい。


 話を聞いている限り、どうやら珍しいアイテムやモンスターを求めてこのダンジョンへ来たようだ。

 しかし、第2エリアに在るようなダンジョンに普通、そんな物があるようなことはそうそうないと思うが、4人組は確信めいた感じの会話を続けている。


「アンゴーラ。本当にこいつらであっているのか? どう見てもペットなんかを飼っていたような連中には見えないし思えないんだが」

「何を言っておるんじゃ? あ奴らが妾を捨てた理由は売れないからだったんじゃぞ! モンスターの事を商品としか思っていない連中じゃ、飼っている訳なかろう」

「あ、そう言う奴らね。なるほど」


 となるとアイテムも自分たちで使うというよりも売るのが目的か。道理でさっきからスライムを倒しながら愚痴を言っている訳だ。スライムからじゃあ、碌な素材やアイテムは手に入らないからな。


「それじゃあ、どうやってやり返すか。アンゴーラはどうしたい?」

「ぬう……。妾と同じ目に……と言いたいところじゃが」


 アンゴーラと同じ目、と言うと馬車から蹴落とす感じか。まあ、同じ感じには出来ないな。馬車の上ではないし足蹴にするにも、直接あの場には行けない。しかし、そうなると似たような感じにすることは可能……か?


「同じ目に遭わせるのは無理だな。だが、一方的にあいつらを打ちのめしてダンジョンから追い出せば似たような状況にはなるか?」

「む……まあ、確かに状況だけなら似ておるかもしれぬ」


 まあ、アンゴーラの時は死ぬ可能性があったけど、このダンジョンを追い出す程度じゃあ死なないんだよな。そこを見れば大分違うんだが、とりあえず方向性は決まったな。後はどうやってそこまで持って行くかだが。


『アナウンス

 特定の条件を満たしたため、一時的にダンジョン内に徘徊モンスターを設定できるようになりました。また、一時的に特定のモンスターを選択可能になりました』


 はい? えーと、あー、やっぱりこれってアンゴーラ関係のイベントなのか。一時的にってことはこのイベント的なやつが終わった後は設定できなくなるのか、それとも上手く行くと設定できるようになるのか。

 とりあえず、今これが出て来たってことは、これを使ってNPCたちを追い返せばいいんだな?


「あいつらは……1層目のゲートキーパーの少し前の所か。なら2層目に設定すればいいのか。いや、そもそも徘徊モンスターってことは特定の場所に設定できないのかもしれないな」

「何を言っておるんじゃ?」

「ん? あー、あんまり気にしないでいいぞ。とりあえず、あいつらを追い出すための方法が出来たってだけだしな。

 っと、アンゴーラ。ダンジョンの設定をするから設定画面を出してくれ」

「ふむぅ? まあ、わかったのじゃ」


 何を言っているのかわからない、と言った表情、ではなく口調のアンゴーラが出してきたダンジョンの設定画面を弄る。

 いくつかの項目の中に新しく徘徊モンスターの項目が出来ていたので、それを選択する。


 徘徊モンスターの設定は……ああ、やっぱり特定の層には置けない感じだな。5層ごとの範囲を指定して置くのね。という事は、今回は1~5層目に徘徊モンスを設定してあいつらがエンカウントするのを待つと。おそらく今回はイベントの一部だろうから確実にエンカウントするだろうし、深く考えないで良いよな。


 それで選択できるモンスターは……1種類のみと。たぶんこれもイベントだからかな。今選択できるモンスターがアサシンラビットとかいう知らないモンスターだし、どう考えてもアンゴーラ関係だろ。

 何と言うか、名前からして結末がわかりそうだな。まあ、あの名前のウサギじゃなかっただけマシか?


 1~5層に徘徊モンスターとしてアサシンラビットを選択する。何気に設定するのに1000DPも必要だった。代わりにレベルは高めだったが。

 それと、ちょうど同じタイミングで4人組が1層目のゲートキーパーを倒したところだ。


 1層のゲートキーパーはレアスライムとはいえ、100匹だしレベルもスライムよりも高めなんだが危なげなく勝ったな。NPCなのにそこそこ強いようだ。もしかしたらプレイヤーの平均よりは強いかもしれない。


「とりあえず設定は終わったが、どうなるかね」


 2層目に進むNPC4人組を眺めながら俺はそう呟いた。


 

 4人組は順調に2層目に到達した。


 多少、ゲートキーパーとして設定してあったレアスライム大群に苦労していたようだが、今のところ問題なく進めている。とは言え、2層のモンスターは1層目のスライムオンリーではなく、ゲルスライムという動きがやや速いタイプのスライムなので、おそらく3層目への到達は厳しそうではある。


『出て来るのスライムばかりじゃねぇか。外れダンジョンかここ』

『1層目のゲートキーパーはレアスライムだったし、倒してもFsしか手に入らなかったから、外れじゃねぇかな』

『もっと先に進んで見ないとわからんだろ?』

『さっさと先に進むぞ。1層目はともかくさすがにこれじゃあ1人で捌けねぇよ』


 2人は既にこのダンジョンに見切りを付けているのかつまらなさそうにしていて、それをもう一人が窘めているというか、説得している感じだ。最後の1人は単騎で前から迫って来るモンスターを捌いている。


「まあ、強くはあるが連携が上手いわけではないし次の階層には行けないだろうな。となると、ここでさっき設定したアサシンラビットが出て来ないと駄目なんだが……」


 そう言ってモニターを眺める。アンゴーラは声を上げていないが真剣 (だと思われる) な表情でモニターを凝視していた。


『さっさと先に進むぞ。そもそもダンジョンに出て来るモンスは奥の方が珍しいことが多いのだから、グダグダ言ってないで手伝えよ』

『はいはい、わかっぺ?!』

『どうした!?』


 迫って来ていたモンスターを1人で捌いていた奴に急かされ、渋々といった感じで戦闘に加わろうとしていた奴がいきなり倒れた。それに気づいた奴が驚き声を上げた。


 お? いきなり1人倒れたな。死んではいないようだが、麻痺しているのか? なんか痙攣しているな。これってアサシンラビットがやっているんだよな? 他にこんなことが出来るようなモンスターは居ないはずだし。


 しかし、一撃では倒さないのは何でだ? 設定した時に見たアサシンラビットのステの感じからしても、一撃でも倒せるような気がするのだが。


『麻痺ってる!? 回ふっ?!』


 おっと、2人目も倒れたな。ああ、気を取られたのか? ジェルスライムの攻撃が当たるようになったな。


『おいっ!? どうなってんだよ!』

『知るがぁ?!』

『ちょ!?』


 うーん、割とあっさり終わりそうだな。何と言うか復讐って感じはあまりしないような。


『何が起きているんだよ!?』


 いきなり倒れた仲間に最後に残った男は同様しながら自身に向かって来るジェルスライムを雑に倒して行く。


『ぉぐっ……あ? ゥサ……ギ?』


 倒れている内の1人が小さく声を上げている。うさぎ、と言っているところから、アサシンラビットの姿を見つけたようだが、どうしてこんなタイミングで気付くんだ?


『あ、ぐべっ!』


 最後の1人もアサシンラビットの攻撃によって地面に倒れた。しかし、先ほどまで攻撃していたジェルスライムが突然動くのを止め、そしてアサシンラビットが倒れた男たちの前に現れた。

 男たちは目の前に出て来たウサギを見て、自分たちがあのウサギにやられたことを理解したようだ。


 ああ、そういうシチュエーションなのか。アンゴーラに関係する復讐イベントなのだからこういった感じになったのかね。


 そして、アサシンラビットは目の前の男たちを睨みながら後ろ足で地面を蹴り、音を出し始めた。

 すると、一時的に動きを止めていたジェルスライムが男たちに向かって行く。麻痺の状態異常を受けて動けない男たちは恐怖に染まった表情を浮かべながら、なすすべなくジェルスライムの大群に飲み込まれていった。


 殺し方がえぐい。


 アサシンラビットの足ダンは、たしかウサギがストレスを感じている時にする行動だったか? 何ていうのかは忘れたがそんな感じの行動だったはず。

 いや、それにしても動けない相手を徐々に殺していくとかえぐいわ。ジェルスライムだったからあんな感じになったんだろうけど、他のモンスターだったら甚振られながら殺されるみたいな感じになったのだろうか。


 男たちに群がっていたジェルスライムが散り散りになっていくところを見て、あいつらが死に戻りしたことがわかった。


 まあ、とりあえずこれであいつらはダンジョンの外に移動しただろう。

 もしかしたら、死んでもまた来るかもしれないって考えていたけど、あんな死に方したらさすがにもう1度このダンジョンにってことは無いだろうな。


 とりあえず今回の件はこれで終わりだろう。

 隣でまだモニターを眺めているアンゴーラを確認しながら、俺は次にする事を考えていった。

 

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