36:第4エリアに行きたい
アンゴーラに外へ出るための転移陣を出してもらい、ダンジョンの外に出た。
とりあえず、第3エリアに戻って、先の第4エリアに行くための準備でもするとしよう。確か、第4エリアに進むにはいくつか条件があって、その中にギルドランクがD以上というものがあったはずだ。
他の条件は一応クリアしているから問題はないんだが、これが一番のネックなんだよな。他のプレイヤーがすぐに第4エリアに行けなかったのもこれの所為だし。
俺はまだEランクだからもう少し時間が掛かる。ランクをDにするにはギルドポイントを300以上にしないといけないから、今俺が持っているギルドポイントは100を少し超えたところだ。だから残りの200ポイント近くを稼がなければ先には進めない。
ダンジョンを出てから最短ルートで進み、第2エリアのエリアボスをさっくり倒して、第3エリアに入る。
さて、とりあえずこの後は、ギルドに行ってクリア可能な依頼を片っ端から受けることにしよう。ああ、それと、ダンジョンマスター用の空間に設置する家具とかも買っておくかな。
寄り道せずに第3エリアの町へまっすぐ向かい、町に着くとすぐにギルドに入る。
「うん? プレイヤーが少ないな。何でだって、ああ、そう言えばイベントの後半戦が始まっているんだっけ? 個人戦はもう終わっているから、今はパーティー戦の最中かな」
最初からイベントに参加するつもりが無かったから、イベントのタイムスケジュールが曖昧だ。
確認がてらイベント用の掲示板をチラッと覗いてみた感じ、パーティー戦の予選はもう終わっていて、今は準々決勝中らしい。まあ、俺はパーティー戦の方には賭けていないし、詳しく見る必要はないし興味もあまりない。確認が終わったので掲示板が表示されているウィンドウをさっさと消した。
まあ、プレイヤーが少ないのは俺に取っては問題ない。むしろ好都合だろう。そう判断して、ギルドの依頼が表示されている場所に向かう。
「とりあえず受けられる奴は受けてっと」
同時に受けられる依頼の上限は20。今俺が受けられる依頼の総数は19なのでギリギリすべて受けることが出来た。
しかし、この依頼を全て完了したところで獲得できるポイントの合計は78だ。300ポイントまで全く足りない。中には常設の、1日に何度も受けられる依頼も存在するが、そういった依頼は獲得できるポイントは少なく設定されているため、どうあがいても今日中に第4エリアまで到達できそうにない。
「どうしたもんかなぁ。常設は受けられるだけ受けるとして、それでも足りないよな。うーん……ん?」
そう言えば、確かエリアごとに依頼の種類って変わったよな。多少獲得できるポイントが少なくなるからって、そっちでも受けた方が1日で稼げるポイントは確実に多くなるはずだ。
となると、さっきダンジョンから出てきて速攻第3エリアに移動してきたのは失敗だったな。あのまま第2エリアの街に行って依頼を受けてからここに来ればよかったんだよな。
まあもう過ぎたことだし、また第2エリアに戻ればいい。時間はより掛かることにはなったけど、面倒くさがってしないよりはいいはずだからな。
さっそく依頼を熟して……の前に、ダンジョンで使う家具を委託掲示板で買わないとな。確か一部の木工職プレイヤーが家具を委託に流したと言っていたから、売っているだろう。もしかしたら売り切れて残っていないかもしれないが、まだそれほど需要がある物ではないし、その可能性は低いだろう。
委託掲示板で家具を探し、見つけた中で一番質の良い物を購入した。購入した物は、ログアウトの際に使用するベッド、4脚セットの椅子、椅子に合わせた机、アンゴーラが入りそうなペット用のドーム型ベッドだ。何でペット用の家具があったのかはわからないが、アンゴーラがどのような反応をするのかが気になったので購入してみた。
さて、家具の購入も終わったし、依頼を熟していくか。
家具購入後に受けた依頼を熟していく。
アイテム納品系依頼、指定されたモンスターの討伐依頼、手伝い系の依頼、受けた物を次々と熟す。
アイテム納品系で委託掲示板から購入可能な物はギルドを出る前に完了させた。ただ、中には依頼を受けないと採取できない特殊系のアイテムも存在するため、地味に手間がかかるものもある。
まあ、そういう物は大抵獲得できるポイントが高いんだけどな。
討伐系の依頼は採取の合間を使って熟すため、そこまで手間がかかるという感じはない。そもそもシュラたちの強さが第3エリアで出て来るモンスターに比べて圧倒的に上のため、苦戦するという事はまずない。俺もシュラたちのレベル上げをしているおかげで、トッププレイヤーには劣るものの、普通のプレイヤーに比べればレベルは高い方だから楽にモンスターは倒せるし。
一番手間がかかり面倒なのは手伝い系の依頼だ。まあ、その分得られるギルドポイントが高いため、受けないという選択はしない。
この依頼に関してはギルドを出てフィールドに向かう前に、出来るものは全て完了させ、一部のフィールドからアイテムを持ってくる依頼は採取依頼と同時に、モンスターから得られる素材の物も並行して熟す。
そして、2時間程かけて受けた依頼は全て完了させた。
さて、次は第2エリアに向かう。そこそこ攻略が進んでいるというのにエリア間の転移機能が実装されていないため、エリア間の移動は面倒なものだ。
ただ、俺の場合はダンジョンの最奥の空間が自室扱いになっているため、そこへの転移は可能になっているのだ。だから第2エリアへの転移はそれほど時間が掛からない。正直、これに関しては嬉しい誤算である。
まあ、掛からないと言っても第3エリアにある町からだと30分程度の短縮なのだけどさ。それに第2エリアから第3エリアへの移動は従来通りだし。
とりあえず、第3エリアでの用事が終わったから、一旦ダンジョンの自室に戻って、さっき購入した家具を設置してから、第2エリアの街へ行くことにしよう。
ウィンドウを操作して、自室へ移動するを選択。転移でダンジョンの自室に戻ってすぐ、インベントリから家具を出し設置していく。
「うぬ? 何じゃ。もう戻って来たのか」
「ああ。まあ、移動の時間を少し減らすために一旦戻ってきただけだ。それに、ここに設置する家具を買ってきたからついでにやっておこうと思ってな」
「そうか」
「ああ、そうだ。アンゴーラ用のベッドも買ってみたんだけど、使うか?」
「は?」
「これなんだけど」
アンゴーラの前に種類はわからないが植物の蔓のような物で出来ているドーム型のベッドを置いた。
「ぬぅ……」
アンゴーラは小さく唸りながら目の前に置かれたドーム型ベッドの周りを一周し、一度中に入った後、何度か出たり入ったりを繰り返し、最後には中に入ったまま、出て来なくなった。
「アンゴーラ?」
なかなか出て来ないので声を掛けてみたのだが、反応がない。とりあえず気に入ったという事なのか? と言うか、さっきの反応ってウサギというよりも猫の反応な気がするんだが。俺はウサギを飼ったことは無いから正確にはわからないけどさ。
うーん、どうしたものか。いや、別にダンジョンの外へ出るための転移陣はもう設置してあるし、アンゴーラはこのままでも問題はないよな。
出て来なくなったアンゴーラの事は仕方がないので、俺はアイテムを整理した後、転移陣を使ってダンジョンを出た。
ダンジョンを出て、第2エリアの街に着いてからすぐにギルドへ駆け込み、依頼を出来るだけ受注していく。
残念なことに第2エリアで受けられる全ての依頼を受けたとしても、ギルドランクがDに上がらないことが確定してしまった。
第1エリアのギルドで依頼を受ければ行けるか? と一瞬だけ考えたが、第1エリアで受けられる依頼は、駆け出しプレイヤー限定の依頼しかないことを思い出し、断念した。
そして、1時間半ほど掛けて受けた依頼をすべて消化した。
第2エリアでの目的はこの段階で達成したため、そこから第3エリアに戻る。
町に戻った時には、ログインできる残り時間が1時間を切っていたため、遠出は難しいと判断して、町の近くのフィールドでモンスターを倒し、軽くレベル上げをしてからログアウトした。




