26:ダンジョン検証と新しいテイムモンスター
新緑のダンジョンを初めて攻略してから数日。
イケシルバーから教えて貰った情報に差異があったことを告げると、謝罪と同時に検証への誘いが来た。検証の内容的に俺にメリットはなかったが、手伝ってくれたら報酬も渡すとの事だったので、報酬につられて検証へ参加した。
そして、検証の結果、新緑のダンジョンの2層目のゲートキーパーと3層目のボスは2パターン存在する事がわかった。
最初にイケシルバーに教えて貰ったボスであるヒュージプレンテが7割くらい、俺が戦ったビッグスパイダーが3割くらいの確率で出て来るようだ。もう少し検証する回数を増やせば2:1くらいに落ち着くかもしれないが、現状はこれくらいの確率だ。
2層目のゲートキーパーは、3層目のボスがどちらかによってフォレストモスと一緒に出るモンスターが変わるようだ。奇襲を仕掛けて来るのはスパイダーのみで、もう一種のフラプレンテは最初からフォレストモスの隣に居る。
どうやら俺は面倒な方を先に引いてしまったようだ。まあ、そのお陰で色々得られたのだからよかったとは言えるだけどな。
マップを全て埋めたことによる報酬もビッグスパイダーの時は『シルバースパイダーシルク』だったが、ヒュージプレンテの時は『苔むした堅い枝』になるようだ。
[ (アイテム・素材) 苔むした堅い枝 レア度:4 Fs:800]
苔の生えた堅い枝。本来ならここまで苔が生えていれば、枝は水分を含み腐りかけていても可笑しくはないのだがこの枝は、未だに折れて落ちる前の強度を保っている。硬いためあまりしなる事はないが、苔が生えているため火にやや強くなっている。生えている苔の種類はわかっていない。
育成傾向:防御・植物 (強化)
育成傾向からして、スパイダーシルクの植物版といったところだろう。ただ、使い道が少ないからなのかFsはやや低めだな。
この検証でわかったのはこれくらいか。
何か最後のボスがフォレストモス5体だったとか言う報告もあったらしいけど、検証中に遭遇しなかったから恐ろしく確率が低いか、ガセなのだろうという結論になっている。
5パーティーに分けたとはいえ、検証で新緑のダンジョンを30周しても出てこなかったので、ガセの可能性がやや優勢といったところか。
シュラについては、イケシルバーたちに似たような事例がないかを聞いてみたのだが、現状会話できるタイプのモンスターをテイムしているプレイヤーはいないらしい。
秘匿しているプレイヤーもいる可能性があるけど、サービスを開始して2週間も経っていない中で、これほど特殊なモンスターをテイムしているのは俺だけだろう、とも言われた。
まあ、トップ層ではないけど、ログイン制限ギリギリまで毎日プレイしているからなぁ。
率先して先には進んでいないけど、モンスター倒して、ダンジョン行って素材を集めている分、他のプレイヤーに比べてモンスターに関しては詳しい方だと思うし。
それで検証が終わってイケシルバーたちと別れてから、俺はさらに素材を集めるために新緑のダンジョンを数日掛けて周回し、素材を大量に手に入れた。
それを使ってぷらてあのレベルを上げた。レベルはシュラに追いついていないが普通に連れ出しても問題ないくらいまでは育った。
『NAME:ぷらてあ 種族:ヒューマプレンテ LV:27 属性:樹木
HP:330 / 330 MP:288 / 288
STR:87 (15) INT:146 総合攻撃力:116
VIT:224 (8) MND:231 (87) 総合防御力:227
AGI:108 DEX:110
スキル:蔓・毒・回避LV2・拘束LV5・ドレインLV5・惑い香LV2 』
レベルは27まで上がり、スキルレベルも少し成長し、さらに新しく惑い香というスキルを覚えた。
惑い香に関しては、苔むした堅い枝を使った効果だと思う。育成傾向の強化が作用して、新しくスキルを覚えたとかそんな感じだと思う。
惑い香の効果はまだ使っていないので詳しくはわからないが、字面からして混乱系の状態異常を相手に与える物だろう。
ステータスがかなり防御寄りだけど、これは育成スキルで使った素材である苔玉の木の芽の育成傾向が精神だったからだ。少なくとも今までぷらてあに使った数は1000を超えているので、当然の結果ではあるな。
STRが少し上がっているのはゴブリンの角を使っているからで、VITは苔むした堅い枝によるものだ。
まあ、からめ手タイプであるぷらてあに、合っているステータスだと思うから問題は無いだろう。
と言うか、このステとスキル構成だと一度拘束されたら勝ち目ないんじゃないか?
それと、3体目のモンスターもテイムした。
まあ、シルバースパイダーシルクを手に入れたんだから、これを使わない手はないよな。という事で、テイムしたのはスモールスパイダーだ。
シュラやぷらてあとは違ってレア個体という訳ではないけど、他のスモールスパイダーよりもステータスの高い個体をテイムした。
『NAME:朱鞠 種族:スモールスパイダー LV:1 属性:毒
HP:24 / 24 MP:20 / 20
STR:10 INT:6 総合攻撃力:8
VIT:4 MND:8 総合防御力:6
AGI:8 DEX:4
スキル:噛みつき・糸 』
強いと言っても誤差の範囲内ではあるが、ステータスを見ればわかるが名前は朱鞠にした。
名前の理由は、体の模様が赤白黒の3色で出来た糸玉のようになっていたからだ。他に深い意図はない。シュラもぷらてあもパッと思いついた名前だしな。
そして、ぷらてあと同時に育成スキルを使ってレベルを上げた。その結果はこれだ。
『NAME:朱鞠 種族:ヒュージスパイダー LV:23 属性:毒
HP:296 / 296 MP:198 / 198
STR:210 (10) INT:124 総合攻撃力:167
VIT:96 MND:96 総合防御力:96
AGI:252 (68) DEX:122
スキル:噛みつき・糸・毒牙・拘束LV4・麻痺牙・粘着糸LV3 』
ダンジョンで手に入れた素材と取引掲示板で買い漁った結果、スモールスパイダーの後、スパイダーを経由してヒュージスパイダーに進化した。
育成スキルでシルバースパイダーシルクを使ったんだが、何処が強化されたのかがわからない。ぷらてあみたいに使った後にスキルを覚えれば、強化されたな、とも思えるんだが使うタイミングを間違えたのか?
スキルの数がぷらてあと同じだから、おそらくそこが強化されているんだろうけど、どれが強化によって生えてきたスキルなのかがわからない。
いや、別にどれだろうと変わらないのか。とりあえず増えている事には違いないのだから。
朱鞠の種族であるヒュージスパイダーの見た目はデカい蜘蛛だ。若干デフォルメされているため可愛くはなっているが、蜘蛛は蜘蛛である。同じく2回進化しているシュラやぷらてあとは違い、人型にはなっていない、ガチの蜘蛛である。
進化先にビッグスパイダーも出ていたのだけど、ボスとして戦ったからなんだが進化先として選びたくなかった。奴はシュラに噛みついたからな、それが先行していいイメージが無かったのもある。
おそらくビッグスパイダーが純粋進化先で、ヒュージスパイダーが条件付きの進化先だろう。ボスとして戦ったビッグスパイダーよりも大きいから多分ではあるが。
それとイケシルバーによると、他のテイマーのテイムモンスのレベル上げは魔石をメインで使っているらしい。だからだろうが、進化先に出るモンスターの種類は1種類が基本とのこと。
何で魔石を使うのかというと、どうやら育成スキルで素材を経験値に変える場合、素材よりも魔石の方が圧倒的に経験値を得られるからだそうだ。
当然、魔石を使えば素材から得られる補正値は手に入らない。しかし、速攻でレベルが上げられると言うのは、自身の戦闘能力が低いテイマーからしてみれば直ぐに育って強くなってくれる、使い勝手のいい駒が簡単に手に入るという事でもある。
これはテイムモンスを使い捨ての駒として考えるなら、まあありだとは思う。俺は使い捨てにするつもりは微塵もないから、このやり方はすることは無いだろうけど。
ただ、出来れば魔石は使いたくはないけど、シュラのレベルが上がり辛くなってきているから、魔石はそろそろ使わないと駄目だろうな。使うと言っても、他の素材も使った上で経験値を補うために使う感じになるはずだが。
スライムジェル1000個以上使ってもレベルが上がらなくなっているからなぁ。スライムジェル以外のスライム素材は何処で手に入るのだろうか。




