表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/35

24:ボス蜘蛛撃破

 

 蜘蛛を倒した後に出てきた宝箱の中身は予想通り魔石(小)のみ。

 正直別の物にして欲しいところだが、現状魔石が手に入るのはダンジョンでゲートキーパーやボスを倒すか、スライムを倒す以外には無いので俺以外のプレイヤーにとっては問題ないのかもしれない。


 宝箱の中身を回収したので、転移陣を使用し次の階層に進む。



 3層目は1、2層目と同じ森。しかし、若干薄暗く湿っぽい。


 ……訂正。さすがにこれは自分を誤魔化せない。これは同じ森ではない。

 目の前に広がっている光景は確かに森だ。しかし、全体的に白みがかっているが、葉の白い樹が生えている訳ではない。


 樹が白く見えている理由は、蜘蛛の巣。そう、蜘蛛の巣だ。しかもちょっと先に卵のうらしき白い球体が見えている。

 もう面倒なことになる気配しかしない。


「モンハウ再び」

「…です」


 幸いと言うべきか、ゴブリンの時とは違い、おそらく出て来るのはスモールスパイダーだけだろう。そうだとすれば攻撃パターンは1種類のみのはずだから、対処はしやすいはず。


 懸念を上げるとすれば卵のうのサイズからして100以上のスモールスパイダーが出てきそうなことくらいか。


「先に進むならあれを対処しないといけないんだよな」

「なのです」


 面倒だな。いっその事、火魔術でも取得するか? レベルが上がったからスキル取得可能欄が1枠空いているし。まあ、今取ったところでスキルレベルが低くて使い物にならないだろうが。ああ、いや、この階層が湿っぽい理由は火魔術対策か。

 さすがに楽はさせないと言うことだろう。


「シュラ。危なくなったら声を上げろよ。死んだらそれまでだからな」

「です」


 まあ、最悪シュラが死にそうになったら、俺が先に死にに行くけどな。


 俺が先に死ぬと言うのは、テイムモンスは死んだらそれまでだけど、テイムモンスの主が先に死んだ場合、プレイヤーがリスポーンポイントで復活すると同時に、テイムモンスもそこに転送されるからだ。それを利用してテイムモンスの死を回避する小技的なやつだな。


 自殺することが小技として扱われているのはどうかと思うが、テイムモンスが死にそうなところを緊急回避できるので、有用な手段ではあるんだよな。


「さて、じゃあ行くか」

「っかま、です!」


 ん? 聞いたことのない掛け声なのだが。かま? いや…鎌か? そう考えながらシュラの方へ視線を向ける。そして、予想のとおりシュラの腕が今まで1度も見たことのない鎌の形状に変形していた。


 あの、シュラさん? 私、そんな形状変化知らないのですけど? 今までハンマーとこん棒、小型の大砲だけだったのに、なぜいきなり鎌なのか。


「です!」


 俺の疑問を余所にシュラが卵のうらしき物目掛けて走り出した。シュラだけ先に行かせる訳にもいかないので俺はシュラの後を追う。


 特定の範囲内に入ったのか、卵のうと思われる球体が脈動し、中から大量のスモールスパイダーが現れた。


 うへぇ、キモイ。数匹程度なら何とも思わないが、さすがに数十匹とか百匹を超えるような数がぞわぞわと言うかわさわさと出てくれば、キモイという感想以外何も出て来ない。

 ゲームの中だから鳥肌が立つことは無いけど、リアルの体で鳥肌が立っていそうだな。


 蜘蛛の子を散らすように、マジで散ってくれればいいんだが、残念ながら蜘蛛たちの狙いは俺たちだ。散ることは無く一直線にこちらに向かって来る。ある意味、変な方向に散って気付いたら背後に、みたいな展開がなさそうなのはいい事ではあるんだが。


 寄って来るスモールスパイダーを殴り倒して行く。うーん、1撃だな。

 ああ、よく考えたらこの蜘蛛たちは生まれたばかりだから、レベルは1なんだよな。道理であっさり倒せている訳だよ。


「おらおらおらおらおら!」


 寄って来る蜘蛛たちを殴り続ける。倒しても倒しても寄って来る。若干、無双ゲーになりつつあるな。


「ですですですですです!」


 真似しなくてもいいんですよシュラさん? あくまで掛け声なので、と言うか、その掛け声だとカタカナに変換したらなかなかヤバイ気がするんデスが。シュラにそんな意図は無いだろうけどさ。


 ついでにシュラの鎌は切るより刺すのがメインのようだ。刺し殺した蜘蛛がポリゴンになって消える前に次の蜘蛛を刺しているから、若干串焼きの焼く前みたいな感じになっているが。



 そうして10分程戦い続け、ようやくスモールスパイダーを全滅させることが出来た。

 

 

 やっと終わった。

 いやぁ、1体1体が弱いと言っても大量に来ると精神的に疲れる。うわ、SPが半分以下になっているんだけど。ゴブリンのモンハウでもここまで減らなかったぞ。どれだけ数が居たんだよ。


 シュラも特別苦戦していた感じはないし、素材的にはかなり集まったから結果だけ見れば悪くはなかったんだけどな。


 周囲を見渡す。

 あれだけの数を倒していたにも拘らず、他のモンスターが一切出て来なかったことからして、この階層には他の種類のモンスターは居ないのかもしれない。


 それと、モンハウをクリアしたにも関わらず報酬らしき影もない。いや、ゴブリンダンジョンも最初は黒曜石が報酬だと思っていたけど、あれ以降モンハウをクリアした後に何も出て来なかったから、ここでも無いのかもしれない。


 しかしイケシルバーからこのダンジョンのメインはプレンテだと聞いていたんだが、蜘蛛ばかり出て来る。別のダンジョンに来てしまったのだろうか?

 情報に関してイケシルバーが嘘を吐くとは思えないから、その可能性も十分あるだろう。


 さて、子蜘蛛も倒したし、ボスの場所まで進もう。

 正直、蜘蛛の巣が張り巡らされた樹々の中を進むのは気が進まないけど、ボスと戦わないとダンジョンをクリアした事にはならないからな。


「シュラ行くぞー」

「……なのです」

「ん? どうした?」


 シュラに声を掛けたのだけど、反応が鈍い。後ろに居るはずのシュラを確認すると戦闘態勢を維持したまま、森の一点を見つめていた。


「あっちに何かある―」


 見つめている先に何かあるのかシュラに問いかけた言葉を言い切る前に、その先の森の中から何かが勢いよく飛び出してきた。


「シュァァァアアー!!」


 森の中から飛び出してきたのは、今まで出て来た蜘蛛よりも1回りどころか2回り近く大きな蜘蛛だった。そいつは出て来て早々に俺たちに向かって、前足を上げて威嚇の姿勢を見せている。おそらく先ほど倒した子蜘蛛の親という事なのだろう。


「…あー、なるほど、連続戦闘なのね。完全に戦闘が終わった訳じゃないから、シュラは戦闘態勢を解かなかったと」

「です」


 デカい蜘蛛。まあ、リアルの蜘蛛をそのまま巨大化させた感じよりも、マイルドに巨大化させた見た目なのでそこまで気持ち悪い感じは無いが、嫌な人は嫌だろうな、と思える程度には虫っぽさは残っている。


 ただ、子蜘蛛と一緒に戦うことになっていたら、対処しきれなかった可能性もあったんだろうけど、単体で出て来たのならそこまで苦戦する気はしない。


 そう思ったところで、蜘蛛は威嚇を止め、こちらに向かって高速で移動し始めた。


 デカい分、移動する際の脚の動きが見えやすくなっていて少し気持ち悪さを覚えるが、直線的な動きなら対処は簡単…。


 楽勝だな、と思ったところで、蜘蛛は不規則に飛び跳ねながら距離を詰め始めた。


 うわぁ。超面倒な動きを始めたんだけど。ぴょんぴょん不規則に跳ねられると、いくら弾速が早いライトショットでも当てるのが難しい。



[ (ダンジョンボス) ビッグスパイダー LV:18 属性:毒]

 HP:1450

 MP:440

 総合攻撃力:106

 総合防御力:96

 スキル:体当たり・跳躍・毒牙・不明



 咄嗟に看破した結果、このような情報を獲得した。


 ふむ、ダンジョンマスターではなく、ダンジョンボスか。

 ダンジョンボスと出ている以上、こいつを倒せばクリアになるだろうけど、ホブゴブリンと違いダンジョンボスとなっている理由は何だ? …いや、それを考えるのは後にしよう。


「シュラ! こいつは毒攻撃持ちだから気を付けろ。なるべく攻撃は食らわないように!」

「なのです!」


 総合攻撃力だけを見れば、1・2層のゲートキーパーだったフォレストモスよりも低いが、総合防御力は上だし毒属性攻撃を持っている以上、厄介な相手に変わりはない。

  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ