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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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23:フォレストモス

 

 マップも埋め終わり、ゲートキーパーと戦うためにあの開けた空間があった場所まで移動する。マップ埋めの際にモンスターを狩りつくしていたためにモンスターが出て来ることは無く、減っていたHPや満腹度を回復させながら移動する。


 そして、開けた場所に到着してゲートキーパーと戦うためにその場所に踏み込んだ。


「キュァァァッ!」


 開けた場所に踏み込んだ瞬間、ゲートキーパーである蛾が俺たちに気付き奇声を上げた。


 現実の蛾は声を上げることは無いのでモンスターらしいと言えばそうだが、それ以上にこちらに向いた際に顔?頭?にがっつり牙が生えていたのが見えたので、そもそも蛾と似て非なる生物なのだろう。蛾は肉食ではないし。まあ、吸血する奴はいるらしいが。


「とりあえず、距離を取って様子見だな」

「です!」

「聞いたところによると状態異常系の攻撃をして来るらしいから、接近する時もある程度距離を取って攻撃する時だけ近づくようにしてくれ」

「なのです!」


 攻撃する前に看破を発動して蛾の情報を確認する。



[ (ゲートキーパー) フォレストモス LV:14 属性:風]

 HP:1200

 MP:360

 総合攻撃力:128

 総合防御力:74

 スキル:鱗粉・体当たり・不明



 ダンマスだったホブゴブリンに比べてレベルは高いようだが、他はMP以外のステが低いようだ。まあ、ホブゴブリンのステはダンマスになっていた影響で上がっていたのだろう。


 フォレストモスの属性が風になっているから、風属性の魔術を使ってくる可能性がある? 単に鱗粉を撒き散らすために使うだけかもしれないが、警戒していて損は無いだろう。


「キュァァ!」


 様子見を見ているとフォレストモスが攻撃をするために突っ込んで来た。速度はそれほどでもなかったので回避自体は簡単だったが、フォレストモスが通過した場所には鱗粉と思われる粉が舞っていたので、攻撃そのものに状態異常系の効果が乗っているのかもしれない。


「ライトボール、ライトショット。それと、パワーアップ、ガードアップ」

「っです!」


 横を通過していったフォレストモスに光魔術による攻撃を放つ。そして、補助魔術をシュラに掛け、STRとVITを一時的に上昇させる。


「キュァアアァ!?」


 背後から攻撃されてフォレストモスが悲鳴を上げる。

 与えたダメージは3分の1くらいか。割合は俺が4で、シュラが6といったところ。補助魔法の影響もあるだろうが、フォレストモスの防御はMNDよりなのだろう。蛾のモンスターで物理防御の方が高いのはおかしい気がするので変ではないと思う。


「キュァヮワワァ!」

「です!?」


 シュラが追撃を掛けようとしたところで、フォレストモスが身を捻り羽を広げ周囲に鱗粉を撒き散らした。シュラは咄嗟に躱したようでダメージや状態異常は受けて居ないようだが、一旦距離を取っておかせた方が良いだろう。


「シュラ! 戻って来い!」

「です」


 フォレストモスは鱗粉を撒き散らしながらこちらに近づいて来ているが、先ほど体当たりを仕掛けて来た速度よりも大分遅い。

 移動速度が遅いのは格好の的なので攻撃を当てていくが、どうにもノックバックなどの怯みが無効になっているのか、HPは減っているものの移動が止まることは無かった。


「シュラ。ここからは遠距離攻撃を主にしていけ。ただし、シュラの遠距離攻撃は自損ダメージがあるから頻度は抑え目でな」

「なのです!」


 フォレストモスが近付いて来たの俺たちは2手に分かれた。フォレストモスが攻撃対象にしているのは…俺か。攻撃回数と与えたダメージは俺の方が多いからその分こちらにヘイトが寄っているのだろう。


「ライトボール、ライトショット!」


 なるべくシュラの方にヘイトが行かないように攻撃をしていく。


「なの…です!」


 フォレストモスを挟んで反対側に居るシュラが攻撃を放つ。そして、シュラが放った攻撃がボゴンという音を立てフォレストモスに激突した。


「ギュァァアァ!?」


 背後からの重い攻撃にフォレストモスが悲鳴を上げ、地面に落ちた。

 俺の攻撃よりも多いダメージが入っているので、やはり物理攻撃に弱いのだろう。しかし、さっきシュラが直接殴った時よりもダメージが大きいんだが、クリティカルでも入ったか? 


 とりあえず、地面に落ちたが残りのHPはまだ1割近く残っているので、最後に俺が光魔術を放ち残りのHPを全て削り切り、フォレストモスはポリゴンとなって消えていった。


 

 フォレストモスを倒したことで開けた場所の中央に次の階層へ移動するための転移陣が現れ、それと同時に宝箱が転移陣の横に現れた。


 宝箱の中身はゴブリンダンジョンと同じく魔石(小)。もしかしたらゲートキーパーの報酬は魔石で固定なのかもしれない。


 報酬である宝箱の中身の確認も終わったので次の階層へ移動する。


 2層目は1層目と同じく森が広がったフロア。出て来るモンスターも変わりはないがややプレンテの出現数が多いらしいので、ぷらてあ用の素材を確保するために1層目と同じように端から順にマップを埋めつつ、モンスターを倒して行こう。



 1層目と同じようにマップ埋めを進めること1時間弱。マップを7割方埋めたところでゲートキーパーのいる空間を見つけることが出来た。


 2層目のゲートキーパーは1層目と同じフォレストモスと、ダンジョン内にモブモンスターとして出て来ていたスモールスパイダーが5匹という構成になっていた。


 戦うとなれば先に面倒なスモールスパイダーを倒してからフォレストモスに攻撃を加えていく手順で戦うことになるだろうが、まずはマップを埋めてからだな。


 抜けが無いように確認しながらマップを埋めきると1層目と同じように宝箱が出て来たので、この宝箱はマップを埋めきったことによる報酬でほぼ確定だろう。

 中身は1層目と同じシルバースパイダーシルクとその他素材だった。そう言えばシルバースパイダーシルクは、まだ鑑定をしていなかったな。


[ (アイテム・素材) シルバースパイダーシルク レア度:4 Fs:1200]

 蜘蛛から取れる糸を撚ることで糸素材として使えるようにしたもの。独特の光沢が銀色に見えることからこの名前が付いた。蜘蛛の糸が元になっているため火には弱いが、通常のスパイダーシルクよりは火に耐性がある。

 育成傾向:器用・蜘蛛 (強化)


 ほう? これは次にテイムするモンスを蜘蛛にしろという暗示だろうか。まあ、まだ2つしか持っていないので育成スキルで使っても意味は無いだろうけどな。

 しかし、育成傾向の蜘蛛(強化)とは何だろう? 普通の育成傾向にある蜘蛛とは何が違うのか。強化という事は普通よりも経験値が多いのか、それともステが多く上がるのか。どちらにしろ蜘蛛系モンスに使うならありがたいので問題はない。


 いつの間にか3匹目のテイムモンスが蜘蛛に確定しかけているが、これは暗示の効果か。


 とりあえずゲートキーパーを倒しに行こう。まだ3匹目がテイムできるようにはなっていないし、捕らぬ狸の皮算用と言うか、先のことはその時考えればいい。



「キュァァ…」


 宝箱の確認も終わり、ゲートキーパーと戦っていたのだが、難なく取り巻きのスモールスパイダーを倒し、今フォレストモスが目の前でポリゴンに変わっていった。


 楽勝という程ではないけど、苦も無く倒すことが出来たな。2層目だからフォレストモスのステが上がっていると思っていたんだがそんなことは無かった。


 拍子抜けだが、楽な分ならいいよな。あれ? そう言えばフォレストモスを倒したのに出て来てないな。


「ですぅ!?」

「んお? シュラ!?」


 背後で待機していたシュラが変な声を上げたので、直ぐに背後を確認するとそこには蜘蛛糸が絡みついたシュラと、空からぶら下がっている大きい蜘蛛が居た。


「ちょっおまっ! シュラを離せ!」


 蜘蛛糸に絡みつかれているシュラがそのまま蜘蛛に持って行かれそうになっていたので、咄嗟にライトショットを放ち蜘蛛の行動を阻害する。

 蜘蛛は尻から出ている糸を手繰り寄せることで難なくライトショットを躱したが、代わりにシュラを持って行くことが出来なかったようだ。


「っシュラ、大丈夫か?」

「だい…ょぅなのです」


 シュラの元に駆け寄り、絡まった蜘蛛糸を引きちぎる。蜘蛛糸は粘着性があったが特別固い訳ではなかったので、簡単に引きちぎることが出来た。この段階でシュラがスライム魔法を使えば自力で抜け出せたことに気付いたが、いきなり捕まったことで気が動転し、自力で抜け出すことに思い至らなかったのだろう。


「まさかもう1匹居て奇襲されるとは思っていなかったな」

「です」


 先ほど蜘蛛が逃げた上を確認すると、開けた空間の上に蜘蛛の巣が張り巡らされているのが薄らと見える。そして、その蜘蛛の巣の上を蜘蛛が移動し、こちらに狙いを付けているのが見えた。


「まあ、姿が見えていればそこまで脅威ではないはずだ。ライトショット!」


 頭上に居る蜘蛛目掛けて攻撃を放つが、蜘蛛は蜘蛛の巣を伝い攻撃をあっさり回避し、射線上にあった蜘蛛の巣の一部を壊すだけに終わった。


「む」


 弾速の速いライトショットは、その分軌道が直線にしか進まない。今のはその所為で蜘蛛に回避されたので、弾速は遅いが軌道を曲げることのできるライトボールを使って攻撃した方がよさそうだ。

 蜘蛛の巣を攻撃して蜘蛛を地面に落とす方法もあるが、正直時間が掛かりそうなので最終手段として考えておく。


「ライトボール」


 蜘蛛が蜘蛛の巣を伝いライトボールの軌道から逃げる。しかし、俺はライトボールの軌道を曲げ、蜘蛛を追う。地味にライトボールが蜘蛛の巣を破壊していくが、次第に蜘蛛に近付いて行く。そして偶然、蜘蛛の巣の切れ目に蜘蛛を追い詰めることに成功し、ライトボールが蜘蛛に当たった。


「シュァァ!!」


 何度か蜘蛛の巣に当たっていたため、与えたダメージは少ないようだ。だが、蜘蛛はライトボールが当たった衝撃で蜘蛛の巣の上から地面に向かって落下した。


「シュラ! 追撃!」

「なのです!」


 地面に落下しのたうっている蜘蛛目掛けてシュラが駆け出し、その勢いのまま腕をこん棒のような形に変え蜘蛛に向かって振り下ろした。


「っです!」

「シュァァア!? アァァ…」


 ぐしゃあ、って汚いスイカ割り…いや、何でもない。


 シュラの攻撃が蜘蛛にクリーンヒットし、その攻撃を受けた蜘蛛はそのままポリゴンになって消えていった。


 ああ、今度はしっかり転移陣が現れたようだ。これで2層のゲートキーパー戦は終わりだな。


 転移陣が現れたことで戦闘が終わったことが確認できたので、俺は安堵のため息を吐いた。さすがに何でも奇襲されるのは精神的に辛いからな。



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