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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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18:情報提供

 

「完全に忘れてた」


 イケシルバーが興味深そうにシュラのことを見つめていた後、俺たちはイケシルバーに連れられてある場所に来ていた。

 本当なら、あの場所でシュラのことをサラッと話してギルドに向かおうと思っていたのだが、俺にとある問題が発生して急遽、この場所に来ることになったのだ。


「いや、本当に申し訳ない」

「いえ、同じような状態になる方は結構いますし、人によっては倒れる方も居ますから別に問題はないですよ」

「そうじゃよ。そもそも運営のアナウンスの仕方が悪いだけじゃしの。第2エリアに入った瞬間、アナウンス無くいきなり満腹度が有効化された事に気付けるのはそう居ないじゃろうし」


 そう、俺はいきなり有効化された満腹度が10%を下回った所為でイケシルバーの前で倒れたんだよ。

 事前に調べていたから知ってはいたんだが、エリアボスを瞬殺した際に楽勝過ぎてせいで物足りなくて、町に着くまでの間にちょっと寄り道してモンスターを倒していたらポロっと忘れた訳だ。そもそも何事もなく町に向かっていれば問題ない程度の減りだっただろうからな。


 まあ、それに満腹度が0になった訳ではないし、空腹のデバフが載って一瞬力が抜けただけで動けなくなった訳ではないから、直ぐに立ち上がったんだけどな。


 で、満腹度の回復には食べ物を食べないといけないんだが、俺が適当にそこらのNPCショップで食べ物を買おうとしたところでイケシルバーに止められて、現在いる何と言うかカフェテラスのような食事ができる場所に連れてこられた訳だ。


「それでその子のことを聞きたいのじゃが、いいかの?」


 俺が注文して運ばれて来た料理を食べ終わったところでイケシルバーが話しかけて来たのだが、その前に聞きたいことがある。


「答えるのは別にいいんだが、その前にそっちのプレイヤーの紹介をしてくれないか? さすがに知らないプレイヤーの前で話をするのは嫌なんだが」


 イケシルバーの隣には俺が空腹で倒れる前から居たデカいプレイヤーが居るんだが、未だに2,3言しか発言していないから人となりがよくわからないんだよな。まあ、イケシルバーと一緒に居たという事は仲間なのだろうが。


「ああ、ごめんなさいね。私はエティテプって言うの。種族は見ればわかると思うけどジャイアントよ。それと気づいていると思うけど、イケシルバーのパーティーメンバーで現在設立手続き中のクランメンバーでもあるわ」


 イケシルバーの隣に座っている大柄な女性アバターのプレイヤーが恭しく自己紹介をして来た。

 やっぱり種族はジャイアントか。イケシルバーも身長は高い方ではあるんだが、それよりもかなり高い身長をしているんだよな。2メートルどころじゃないよな。2メーター20くらいはあるんじゃないか? そのくせジャイアントと言うには筋骨隆々な感じは無くて、普通の女性アバターを拡大しましたって感じの見た目なんだよな。まあ、頭とかはしっかり身長に合わせたサイズではあるんだが。

 ついでにあれも相応にデカい。どことは言わないが。


「ついでに、中身は男じゃな」

「ちょっと、イケシルバー。それは言わないでよー」

「え? ああ、え? そ…そう。えーと、そっちは知っているかもしれないが俺はミヨだ。種族はドラゴンレイスだな」


 マジかよ。俺と同じタイプ…ではないな。エティテプはデカいけどしっかり女性を演じているし、逆に俺は一切していないからな。


「と言うか、手続き中ってことは、クランを作る条件は満たせたのか」

「そうじゃよ。資金とギルドランクじゃな。特にギルドランクが難題じゃったの」

「あー、資金は課金すればどうにかなるにしても、ギルドランクは依頼を熟さないと上がらないからなぁ。俺なんて未だにGのままだし」


 まあ、俺のギルドランクがGのままなのはダンジョン周回しまくっていたせいだけどな。依頼をあまり熟していないからギルドランクが上がらないんだよ。


「まあ、その辺りは人それぞれだからね」

「ふほほ。そうじゃのぅ。それで、その子のことなんじゃが」

「ああ、そうだなぁ。とりあえずシュラのステのスクショを渡すな」

「おお、助かるのぅ」


 フレンドチャット経由でイケシルバーに今のシュラのステータスが記載されているSSを渡す。それをイケシルバーは確認し、その隣に居たエティテプも横から覗き込んでいる。


「え? 凄く強いのだけど」


 シュラのステータスを確認したエティテプが驚いたようにそう言葉を漏らし、俺の隣に座っていたシュラを見る。


「…? です!」


 そして何故か見られていることに気付いたシュラが自慢げに胸を張った。

   

「ヒューマスライムですか」

「聞いたことのない種族名だの。レアスライムから進化できる種族にそのようなものは無かったと記憶しているのじゃが」

「その辺を聞かれても俺にはわからないが、レアスライム、ハイレアスライム、ヒューマスライムの順で進化だな」


 聞いたことが無いと言われても俺にはその理由はわからないし、検証する気もないから知りたかったら再現してくれって感じだな。俺はあくまでこうしたらこうなった、という情報を教える以上のことはするつもりはないし。


「え、既に2回進化している?」

「なるほどのぅ。直接ではなくハイレアスライムを経由しているんじゃな」


 エティテプがシュラが既に2回進化していることに驚いているが、別段おかしい事ではないと思うんだよな。


「テイムモンスはプレイヤーと違ってレベルが上がりやすいからおかしくはないだろ? 俺以外のテイマーも同じかそれ以上の速度でレベルを上げているようだし」

「だの。テイムモンスターは入れ替わりのサイクルが早い分、レベルを上げる方法も多い上、上がりやすくなっているようだからのぅ」

「へー、そうなんだ」


 知らなかったのか。と言うか、情報収集系のクランに所属する予定なのに知らないのはおかしくないか? ああいや、検証メインのプレイヤーの可能性もあるのか。


「ああ、そうだ。ハイレアから進化する時、もう一つ進化先があったんだよ。確か、エピラスライムだったか? おそらくそっちが正統進化だと思う。まあ、知っているか」

「ぬぅ?」


 イケシルバーが首を傾げているんだが、どういうことだ? もしかして、エピラスライムの方も知らない?


「こっちも情報が無いのか?」

「無いのぅ。そもそもβの時にテイマーが不評過ぎて、正式サービス後にテイマーを選ぶプレイヤーが少なくての。検証があまり進んでおらんのだ。それにβテストの時の検証でハイレアスライムは進化しない、という結論が出ておった」

「ふーん、ということは、どちらも何らかの条件を満たさないと進化しないやつだったのか」

「そうなるの」


 ああ、道理で最初にシュラを見せた時、微妙な顔をした訳だ。あの時は既に知っている情報だからだと思っていたが、1回しか進化しないモンスターだったから憐みの目で見られたという事だろう。


「メンバーでテイマーをしているプレイヤーに確認を取ってみましたが、やはり知らないようです」

「ふむ。ミヨさんは進化先が増えた要因に思い当たる物がありますかな?」

「要因なぁ」


 進化先を増やす要因として考えられるのは、戦闘、ステータス、スキルと後は…ああ、あれが一番可能性があるな。


「多分育成スキル関係じゃないか? 素材ごとに育成傾向があるし、その影響を受けたと考えればわからんこともない」


 シュラのレベル上げに使った素材の大半はスライムジェルとゴブリンの角だ。スライムジェルを一定個数以上育成スキルで使うと、エピラスライムに進化できるようになるとか、ゴブリンの角を一定個数以上使うとヒューマスライムに進化できるようになるとか、普通に在り得そうだからな。


「なるほどの、確かにその可能性はありそうじゃ」

「ついでにシュラのレベルを上げるために育成スキルで使った素材はスライムジェルとゴブリンの角がメインだな。まあ、検証するならそっちでやってくれ」

「そうさせてもらうのぅ」


 俺が話している間にもエティテプは他のメンバーと情報交換をしているのか、フレンドチャットのウィンドウを弄っている。


「情報提供、ありがとうございます。それで、情報の対価についてですが、どうしますか? Fsで支払うこともできますが、その場合、情報を精査してから支払いという流れになるので時間は掛かりますが」


 ああ、なるほど。俺の情報に対する対価をどうするか話し合っていたのか。


「対価なぁ…ああ、それじゃあ……」



 そうして、イケシルバーたちとの話が終わり、その後にギルドでエリアボスの討伐報告を済ませた。


 

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