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現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、俺はかわいいテイムモンスたちに囲まれてゲームの世界を堪能する  作者: にがりの少なかった豆腐


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21/35

17:数日間の成果

 

 シュラがヒューマスライムに進化してから数日が経った。

 あれから何度もダンジョンを踏破し、ゴブリンを蹂躙し続けた。幸い、シュラが死ぬようなことは無く順調にレベルは上がってきている。しかし、最初のレベルが上がり辛かったことからも分かる通り、シュラのレベルは劇的には上がっていない。


 それで今のシュラのステータスは以下の通りだ。


『NAME:シュラ 種族:ヒューマスライム LV:21 属性:水

 HP:280 / 280 MP:145 / 145

 STR:164(72) INT:136 総合攻撃力:150

 VIT:120 MND:150 総合防御力:135

 AGI:123(37) DEX:86 

 スキル:ウォーター・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 3・回避 』


 掛けた時間の割にそれほどレベルは上がっていないが、ステータスを見るとまじで強くなった。

 部分的には俺のステータスを抜いているし、ゴブリンが出て来るダンジョンではホブゴブリンにも善戦出来る。それどころか俺が補助魔法を掛ける必要はあるが、どうにか勝てるようにもなっている。


「なのです!」


 後なんか、レベルが上がったからなのか別の理由があるのかはわからないけど、最初の鳴き声と言は異なり多少話せる感じになっている。

 既に鳴き声とは言えないので声とするが、声の質からしてシュラはどうやらメスだったらしく、割と高めの声色だ。


 あ、スライム魔法については、文字通りスライム独自の魔法という事のようだ。使ってみてもらった感じ、体の一部を武器化したり、体の一部を相手に投げつけたりして攻撃するのが基本だ。

 当然、スライム魔法を使えばMPは消費されるし、体の一部を飛ばせば自損ダメージが発生する。死んだら終わりのテイムモンスが使うには割とリスクが高いスキルだ。


 ついでに、スライム魔法はシュラのレベルが上がってもスキルレベルが上がる訳ではなく、どうやら育成スキルでスライム系統の素材を経験値に変換し、シュラにその経験値を与えることでスキルの経験値が溜まりレベルが上がるらしい。


 それに気づいてからは街の近くに出るスライムをスローターしまくってスライムジェルを沢山集めた。場合によっては取引掲示板に流れていたスライムジェルも買い占めもしたが、結局500以上のスライムジェルをシュラに使ってやっとレベル3になったところだ。

 おそらくスライムジェルだと得られる経験値が少なすぎてスキルのレベルがほとんど上がらないのだろう。


 それもあるから、そろそろ別のエリアに移動した方が良いのかもしれない。

 ここ数日で街の近くで狩りをしているプレイヤーは減ったし、そのお陰でスライムジェルは集めやすかったのはあるが、俺のレベルもあまり上がっていないから、街付近どころかもう第1エリアでレベルを上げるのは難しいのかもしれない。


 そう言うことで、第2エリアに向かうことにしたんだが、掲示板情報だと第2エリアに入る前にボスが居るらしいのだが、調べる限り楽勝っぽいんだよね。


「それじゃあ、行くかシュラ」

「です!」


 街からでてシュラに声を掛けボスのいる場所に向かい始める。シュラは嬉しそうに両腕を上げて…俺にだっこを要求。


 …いや、シュラさん、あんたもう俺の身長の半分くらいのサイズなんだけど? ヒューマスライムに進化する前だったら問題なく出来たけど今のサイズを考えてください。


「のです!」

「…まあ、可愛いからいいか。しょっ」


 うーん、ひんやり。そして重い。うん、リアルスペックだったらよろけているかもしれないな。


「です! デス!」

「あぁ、動かないで、落としそう」

「です」


 俺の言葉も完全に理解している感じなんだよな。FSOのAI技術ってどうなっているんだ? プレイヤーのテイムモンスターにこんなAIを載せるなんて割に合わないと思うんだが。


「なのです?」

「ん? ああ、さっさと行くか」

「です!」


 そうして俺はシュラを抱えたまま街を出て、ボスが居る場所に向かった。当然だが、シュラを抱えていたため、目的の場所に着くまでかなりの時間を使うことになった。


 第2エリアに行くためには、その前に陣取っているエリアボスを倒す必要がある。

 エリアボス自体は別のゲームでも同じようにエリアチェンジする前の場所に設置されていたる場合が多い。それはエリアボスが関所、または越えなければならないハードルとしての役割があるのだ。

 それ故に、ゲームによっては隣接するエリアとの繋がりがエリアボスが居る場所だけなんてゲームも存在している。


 しかし、FSOの第1エリアと第2エリアは、別に1部分でしか繋がっていない訳ではない。

 そのため、初めて第2エリアへ向かう場合は、第1エリアと第2エリアの境界線を越えることで、強制的にエリアボスとの戦闘に移行するようになっているらしく、本来の戦闘エリア以外の場所から第2エリアへ行こうとしても必ずエリアボスと戦わなければならない。


 まあ、要はこのハードルを越えられなかったらこの先のフィールドで苦戦どころか死ぬよ、っていう運営からのメッセージ的なやつでもある訳だな。現に、他のプレイヤーの力を借りて無理やり第2エリアに行ったプレイヤーが、町の近くのモブモンスターに蹂躙されて死に戻ったという情報もあるくらいだ。


 さて、そのハードルを易々と越えられるようなプレイヤーが、その場所に到達した場合エリアボスがどうなるかと言えば…


「ギャオォォ…」


 第2エリアの前に陣取っていたダチョウのような見た目だったエリアボス〈怪鳥インザ〉が力尽き、地面に倒れ伏した。


 当然のごとく、そんなハードルなんて無かったかのようにエリアボスを倒し、先に進んで行く訳だ。


「らくしょー」

「でーすー!」


 エリアボスだった怪鳥インザのレベルは15であり、俺もシュラもそれよりレベルは上で、火力も十分あったため余裕をもって戦うことが出来た。

 しかも看破した限り、怪鳥インザのHPはダンジョンのボスだったホブゴブリンよりも低く、ギリギリだが4桁には到達していなかった。

 その代わり移動速度が速かったんだが、攻撃が当てられない程ではなかったし、攻撃のタイミングで一々脚を止めていたからそこを狙い撃ちにした。


 まあ、そんな奴がダンジョンのボスであるホブゴブリンを倒しまくっている俺たちに勝てる訳もなく、あっさり怪鳥インザとの戦いは終わった。


 俺たちのレベルが高かったのもあるだろうが、2人で倒せたところからして、おそらく最初のエリアボスという事で、大分弱く設定されていたのだろうな。


「さ、次の町に行ってリスポーンポイントを更新するかな」

「です」


 何時までもボスエリアの近くに居ても出来ることは無い。そういう事でさっさと近くの町まで行かないとな。




 エリアボスと戦ったところから一番近い第2エリアの町に着き、そこの噴水でリスポーンポイントを更新した。

 そして、その次にギルドに移動して…


「おや? そこに居るのはミヨさんではないですかな」

「ん? ああ、イケシルバーか」


 ギルドに向かおうとしたところで偶然イケシルバーに遭遇したんだが、その隣には今まで見かけたことのないプレイヤーが居た。

 見た目は…何というか、うん、まあ、うんデカいな、って感じだ。


「ミヨさんもこちらに来ておられたのですな」

「まあ、ここに着いたのはついさっきだけどな」

「ふほほ。そうでしたか。して、従魔の姿が見えませんが、どこに?」


 イケシルバーがシュラのことを探しているようだが、現在シュラは俺の背中に張り付いている状態で、正面からは見えない位置に居る。

 シュラが何でこんな事をしているのかはわからないが、甘えているのか、歩くのが面倒になったのか、シュラに聞いてもしっかり答えが返って来るかはわからないな。


「背中に何かくっ付いているみたいだけど」

「むぅ? おお?」


 イケシルバーは隣に居たプレイヤーの指摘によってようやくシュラが俺の後ろに居ることに気付いたようだ。


「はて? 最初に見たミヨさんの従魔はレアスライムだったはずじゃが、もしやお亡くなりに?」

「いや、進化はしたが死んではいないぞ。ほら、シュラちょっと前に来い」

「ふむ?」


 俺の前に移動させたシュラを見たイケシルバーは、知らない物を見るかのような表情でシュラのことを見つめていた。

 


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