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虫けらは半死半生で彷徨う  作者: 米中毒
女悪魔が内心切れている章
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70話 タイトルのネタ切れ②

「なんだ、泣き叫んで喜びの雄たけびを挙げてくれないのか?」

「あ、すいません!魔王様、本人にご挨拶しなきゃかと思ってて……。」

大男の外套をまさぐり、飴を瓶から取り出し頬張り始めた。

二つ同時に口に入れ、そのうち一つだけを嚙み砕いたようだ。

「まぁどうでもいいか。おめぇらは魔界生まれだしな。明日にゃ出発な。」

おい、飯用意しろ。とダニカに指示を出し始め、さっさと背を向けた。

極めて自己中心的な性格であるようだが、僕も文句言える程でない。

極めて暇な数十分で考えていた。

”フレイから好感を持たれるわけないのでは”と。

読み終えた本を、さっき見返していたが、暴力を否定的に描写していた。

思えば、初対面で殺しに行ったり、二回目、三回目でも殺しに行ったり。

いきなり抱きしめ、友人であろうシアを蹴り飛ばしたり。

少し打ち解けた後、もう一方の目を潰して、手を放すまで腹を蹴り続けたり。

拙い告白もどきで一転させるには、余りにもヴァイオレンスだったかもしれない。

『他人の振り見て我が振り直せ』。

ふふん。僕は成長しているのだ。

………。

”ふふん”は止めておこう。

僕の暴力はヒロインの言ってた口癖程度では覆い隠せない。

彼女のパンチでは主人公の骨は折れていなかったはずだ。

「………ローディア。久しぶり……だ。」

「へ?」

僕が考えている間に、残された上裸は両手を挙げている。

ローディアって誰だと悩んでいる僕と共に、ディアナは困惑している。

「おーい、マヌケ。こいつは記憶なくしてんだぞ?飼い主に聞かなかったのか?」

「……そう…なのか………?忘れられた……………のか………?」

あくまで疑問符はディアナに向いている。

こくり。うなづくが、彼女の表情はやや暗い。

「ほーれ。代わりに俺がやってやろう。感謝しとけよ。」

上げた手をそのまま振り下ろし、剛腕はヒョイッと避ける。

「……済まなかった………お前まで…も……記憶を失ってたとは………。」

少し寂しそうな顔をしながら、野郎を無視して、話を切り上げようとしている。

「…いえ、やりましょう!さぁ!」

パッと表情を変え、ディアナは両手を挙げて誘う。

「………いいのか…………?」

また、こくり。

いや、もう少し勢いがあっただろうか。

ガシリッと互いの腕を握り潰さんという勢いで握りしめている。

ハイタッチとやらをやるのだと思っていたが、長くなりそうだな。

真正面からの力比べを、三人で行う空気感だ。

力自慢三匹を置いて、僕は戻ることにした。



僕にはこれといった趣味がない。

フレイをジッと眺めるのが強いて言えば趣味となる。

だが、あちらは用もなく見られるのが苦痛であるようなのだ。

だから、コソコソ隠れている訳なのだが。

フレイは僕と戦ったババアに空の飛び方を教わっている。

箒を買わされているのも見て取れる。

因みに、今、僕は近所の住民と平和的交渉の上、潜伏している。

二階建ての住居から、例の広場を覗き込む。

他にも住人の退いた家などはあるのだが、フレイはそういう行為は好まない。

魔界のみの僅かな悪魔生経験では分からないが地上ではそういうのはダメらしい。

フレイの家に押し入る時は、かなりお行儀良く過ごさないかもしれないな。

家族関係は分からないが、文句は言わせはしない!

大会の会場で売っていた薄焼きのパンを食いながら見ていたが、これは………。

うん。ばれているな。

ちらりちらりと目をやって来る。

成長しているのだなぁ。感慨深いと言えばよいのだろうか。

白湯を飲んでいるシアはまだ気が付いていないようだ。

一応は前衛であるのに、その感の悪さはどうなのか。

さて、空を飛ぶ技術はかなり奥が深そうだ。

魔法であれば、暗記して誰でも扱えるのだが、これは習得できそうにない。

魔術で管理している部分があるから、覗き見るだけでは理解できない。

感覚に頼る部分は僕の才能を以てしても不確実。

二個目のパンを食べ始めた頃に、フレイが箒で上昇してきた。

不安定さが少しあるが、初日だから当然だろう。多分。

「………傷は大丈夫そうですかね?」

「大丈夫ですよ。そっちも元気そうで良かった…。」

色々考えてくれたのだろう。

”見てんじゃねー!”、”何で見てくんだ!”、”………傷は大丈夫ですかね”。

寂しがりな僕に対してはベストな選択肢だと思う。

シアはまだ気が付いていないようだ。ポンコツなのかもしれない。

終わるまで待つつもりだったが、今報告をしておこう。

「明日、魔王の左腕のメイド、上裸の筋肉脳筋と超危険な森に入るそうですよ。」

「すみません。もう一回言ってもらっても?」

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