5.カラオケ文化の現状
カラオケ技術は日進月歩している。特にデンモク(電子目録)技術の進化は著しい。先ずは収録数である。日本の曲から外国の曲、歌謡曲から、アニソン迄、戦前の曲から新発売曲まで、30万曲位収録されているらしい。毎月増え続けているので、関係者でも判らない位である。それがタップするだけで瞬時に選曲出来る。
昭和の頃は、収録数が少なく、新曲に跳びついた。しかし今は違う。新曲の方が多すぎて、覚える時間もない。1曲覚える間に、10曲以上新曲が増えている。フアンも置いてけ堀なのだ。例えば氷川きよしは674曲収録している。歌手も新人がドンドン増えている。曲の大量生産時代なのです。
私は言いたい。今は新曲を追いかける時代ではありません。そして敢えて言いたい。今はダンシング曲に偏っています。勿論それが好きな人もいます。それ自体は悪い事ではありません。しかし、<歌は心>という分野が抜けている事は意識してほしいのです。昭和回帰という言葉が良く聞かれるようになりました。昭和の曲はじっくりと心を表現していました。
デンモクの操作は親切、丁寧というか、変わった操作まで出来る。拍手を入れたり、採点をしてくれたり、至れり尽くせりです。私はボリウムしか触らない。採点は自分でする。ICは技術しか採点しない。心の表現は評価するどころか、採点を下げるのである。勿論、技術を磨く事は大切である。しかし技術は手段であって、目的ではない。
ルームに入り先ずする事は、ミュージック音量を下げ、マイクボリュームを上げる。大抵の場合、前の利用者はミュージック音量を上げ、マイクボリュームを下げている。若者は大音量が好きなのだ。そして声が大きい。しかし、真剣に曲と向き合うなら、大音量は避けるべきである。そして大きな声が出せても控える方が良い。表現に強弱をつける為、声の大きさを刻々と調節するのが良い。
カラオケ文化は日本が発祥の地である。カラオケの名称は世界で通用する。大切に扱おう。日本の曲で言えば、戦前の曲から最近作られた曲まで収録されている。言わば、文化遺産である。私はカラオケが流行り出した頃、<最近の曲はテンポが速い>と思った。現在、同じ事を思っている。しかし、80年前の曲を聴いて古いとは思わない。最近、若い歌手が、自分が産まれていない頃の曲をカバーしている。新鮮に聞こえる。リバイバルが良いというのではない。長い歌の歴史全体を受け入れるのが良いのです。