ヘタレ雌男子、グレン・アルバート
そして俺はまた変なとこに迷い込んだ
今度は誰かの貴族のゲストルーム、控室だ
儀式の場だと思って勝手扉を開けてしまった
部屋では半裸の熊みたいな短髪赤毛の身長190㎝はあろう筋肉マッチョな大男が着替えていた
ボタンをしていないシャツとパンツだけだった
「いやああああ!」
「す、すいませんでした!」
まさかこんな嬉しくないラッキースケベに出くわすとは!
俺は慌ててドアを閉めようとするが・・・
「ま、まて大声を出すな」
「こっちに来て!」
赤毛のマッチョ大男に口をふさがれ
部屋に引きずりこまれ
扉がしまった
「って・・・やめろ!離せ!」
その傍若無人な行為に怒った俺は
大男をすぐさま手をひねりあげ、組み伏せ
床に倒れ、大男に馬乗りの形になるように制圧した
「おい、何故部屋に入れた!」
「事と返答次第ではお前を教会の裁判に監禁罪で差し出す!」
「いや、今ここで首を落としてもいいんだぞ!」
持っていた暗器を大男の首に当てる
俺は監禁罪で裁判で訴えると強い口調で言うが・・・
かえってきたのは意外な答えだった
キュン(大男のハートの音)
「かっこいい・・・イケメンすぎる・・・ってキュンじゃなくて!」
「そ、それは・・・裸見られたあげく女みたいな声を出したせいだ」
「アルバート家の長男として・・・・グレン・アルバートあるまじき最悪の失態だ」
「これが知れ渡ったりしたら・・・お家の存続に関わる」
そんな感じの弁解を並べてきた
つまりだ・・・
彼はさっきの女みたいな悲鳴を聞かれたことで、それを広められたら困るということ
それで俺を口封じしようと咄嗟に連れ込んだ・・・そういうことか
ちなみに大男の名前はグレン・アルバートっていうらしい
「頼む、黙っててくれ!」
彼は土下座スタイルで地面に頭を擦り付け必死に懇願した
なんというか・・・大男のくせに
やることが女々しい!
「・・・さてはお前・・・ヘタレだな、図体はデカいマッチョのくせに」
俺の指摘に
「ああ・・・恥ずかしいけどそうさ、俺は昔から小心者でそれを隠すため図体ばかりデカくなったヘタレさ」
彼は恥ずかし気もなくそう言い切ってみせた
なんかここまでくると、俺が悪いみたいじゃん
「ああそうか、ったく・・・・」
俺は彼を立たせ彼のシャツを掴んで顔を近づける
乱れたシャツを直して、ボタンを留めてやる
「もっと堂々としろよ、男の子なんだろ!」
そして闘魂注入してやった、バシンと背中を叩く
だけど彼の反応は俺にとって予想外なもだった
「か、かっこいい」
「は?」
一瞬、言ってる意味が分からず素っ頓狂な返事をしてしまった
「グレン・アルバート様、失礼します食事をお持ちしました」
「!?」
考えてる余裕はなかった
いくら男同士とは言え、一国の王侯貴族が隣国の半裸の男と一緒だったと言われたら
変な噂は立ちかねない
「じゃあいくからな、機会があればまた会おう」
俺は窓から二階の窓から飛び降りて、早々にその場を後にした
「あ、ああ・・・かっこいいなあの子、俺もあんな男になれたら・・・」