ぼっちは祭りを知る
「せいきょうさい?」
珍しくエルディアスから呼ばれたリリアはエルディアスの執務室に来ていた
「そうです、聖教祭というのは一年に一度この街で開催されるお祭りなんです」
「へぇぇ…」
「といってもここ数年は他国の情勢なども鑑みて祭り自体を開催していなかったのですが、今年は聖女様が降臨されたという事もあり、聖教祭を執り行うことにしました」
「私!?」
「ご安心下さい、準備や当日の進行等は全て教会の者がします、ただ私が街の人に挨拶する時に姿を見せていただくことにはなりますが…」
「な、何かしないといけない…?」
リリアはビクつきながらエルディアスに聞くが
「いえ、立っているだけで大丈夫です、頭から顔も隠れるヴェールを着用して頂きますので顔が知れ渡ることも無いです」
「あ、そ、そうなんだ…ちょっと安心…他にはどんな事をするの?」
「教会としては挨拶の後、大聖堂で各国や街の権力、財力を持つ人達との軽い挨拶があります、これも私が全て対応しますので、安心して下さい」
「ほっ…」
「街では暫く特別な催し物が行われたり、一部区画で他の地域から来た商人が店を開いたりしますよ」
「そうなの!?」
思わず身を乗りだすリリア、他国の商人が店、そんな言葉に反応しないわけがなかった
「教会の用事が終わった次の日なら、外に出ても構いませんよ」
「え…いいの?」
「ふふ、凄く見に行きたいって顔に書いてますよ」
「うそっ!?」
リリアは書いているはずもない文字を消すように顔をこする
「ちゃんと守護者の方を連れて遊びに行って下さい、良いですね?」
「もちろん!」
リリアは開催される聖教祭を楽しみにすることにした
リリアが執務室から去った後エルディアスはとある報告書を見ていた
それは教会と繋がりがある各国や街からあがってきた運営報告書だ
教会が街などに対して行った物事から教会に収められた寄付金等の流れについて書かれている
「ココと…この街もですか…教会側に把握されないようにしているつもりなのでしょうが、金銭の流れにおかしな部分がありますね…人身売買も未だ平然と行っている街もある…」
報告書を机の上に置き、エルディアスはため息をひとつ
「人はどうして…こうも愚かで…汚い…」
頭を抱えるように片手で頭を支え
「だからこそ…私達が正しく導かねばならない…この世界と…そして貴女の為に…」
エルディアスはその顔に微笑みを浮かべながら言うのであった
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