第八話 不穏
グリムとネイルが村に到着したその頃、グリムの故郷を襲った襲撃者たちが兵士団へと移送されていた。魔導士を含めた7人の襲撃犯たちだ。
「クソッ、」
「ふざけんな・・・」
それぞれが小さくぼやきながらも、大勢の兵士たちに囲まれ、おとなしく連行されている。警備をしている兵士が疑問を仲間に問いかける、
「なぁ、小さな村の襲撃は珍しくないけどさ、魔導士がいるのってヤバくないか?」
すると仲間が答える、
「ああ、だからこの大所帯での警備なんだよ。なんでも、ただの襲撃じゃ無いらしいぞ、帝国が関わってるかもしれないんだと。」
「コラそこっ!真面目にやれ!」
前を歩く隊長らしき兵士が、無駄口を注意した。
その時、ぐあっ!と後ろの兵士が倒れる、そして続けざまに周りの者達も倒れていく。
「なんだ!何が起こってる!?…誰か報告しろっ!」
「無駄だぜ…」
声が聞こえた瞬間、胸を背後から貫かれる、
「なん……だ…」
息が絶え、倒れる兵士。警備を襲ったのはたった一人の男だった。男は、護送車の鍵を壊すと、扉を開け中に声をかける。
「任務に失敗した挙句、捕まって俺に助けられるとは…、なさけないなぁ、ジルドール。」
その言葉に捕まっていた魔導士が口を開く、
「あんな奴が出てくるなんて想定外だった。」
そう言いって、立ち上がり護送車から出たジルドールは、助けられた男に拘束された腕を向け言った、
「ギルセン、悪いがこの拘束を解いてくれ、封印の魔法がかかってる。」
「一つ貸しだからな。」
そう言いながら剣で拘束具を破壊した。そして、解放されたジルドールは他の者たちの拘束を魔法で解除すると、ギルセンと他の6人達と共にその場から立ち去った。
グリムとネイルが村に入ると、村人の一人が話しかけてきた
「アンタら、何処から来たんだ?何とも無かったか?」
その言葉に首を傾げるふたり、
「どういう意味じゃ?」
ネイルが聞き返す、すると村人が答える、
「近くの森で、熊が出たんだ。なんでもその熊は様子がおかしくて、人を見つけると襲いかかってくるらしい。この村でも二人殺されたんだ。」
「熊だったら、襲ってきても不思議じゃないような?」
グリムが疑問に思い言うと、村人が返す、
「この辺りじゃ熊は滅多に出ない上に、臆病な種類しかいない、人を襲ったなんて聞いたことが無いんだ。」
「そうなのですか。」
グリムの相槌に村人は続ける、
「このままじゃ、村の外に出られないし、狩りにも行けない。どうしたものか。」
そう言って悩み込む村人を見て、どうにかできないかと考えるグリム。すると隣でネイルが不適な笑みを浮かべ言った。
「それなら、わしらがその熊をなんとかしよう!」
その言葉に、グリムは驚きつつも-師匠ならなんとかなるか-と思ったのだった。
久しぶりの投稿!やっとできた。