50.兄は2度も治癒されました
今日も良いお天気と言いたかったのに、早朝から嵐のような暴風雨に稲光だよ。
実は今日は、あの人達ディロールの王・第2王子ヴァンロット様、バールナ公爵夫妻、公爵長女ルリナ様、大臣の息子マウロ様、騎士団長の息子ヨーシュア様、ギルドマスターの息子ダーティ様が、こちらソフィーリアへ来る日なのです!
そんな理由もあって、王宮の皆さんは朝からずっとピリピリしているし顔も怖いし、体から出るオーラ? 的な物がもっと怖い。
そうそう、王妃様に新しい顔隠し、ではなくて扇子を頂いたんです。
フェンとグリがオールとジンと一緒に出てしまったので、する事が無い。
久し振りに地球のドアを開いた。
「おい、それはなんだ!
何で車椅子なんだ?」
お兄ちゃん? 何で私の部屋に入ってるのよ!
私はこれでも乙女、ピッチピチの女子高生なのよ!
無断で私の部屋に入る兄って、どうなのよ!
そんなのはいい、面倒い人に会ったよ!
うわぁ〜〜っ! こっちに歩いて来た〜〜!!
車椅子を両手で持たれ、身動きが取れない状態になった。
「お兄ちゃん、顔が近い!
シスコン! 変態! 近付かないで!」
って叫んでたらランの蹴りが横腹に命中し、ガッ!!
「ゴフッ!」
お兄ちゃん撃沈です。
「ココネ様のお兄様だとは知らず、乱暴な事をしてしまい大変申し訳ありませんでした!」
ランは必死に謝っていた。
「俺も妹に詰め寄りすぎてたのもあるから気にしないで」
ランの頭を優しく撫でてたけど、モフモフな耳の触り心地が良いのか触りすぎでしょ!
お兄ちゃんに私の身に起こった事と『呪い』のせいで車椅子生活になってしまった事を話した。
「よく頑張ったんだな! 流石、俺の妹だ。
ツライのに話してくれてありがとう」
お兄ちゃんに抱きしめられたのは、いつぶりだろ?
その光景を見て勘違いしたのか、お兄ちゃんはジンとオールに背後から思い切り蹴られ、ドカッ!!
「グフッ!」
また撃沈です。
オールとジンは私の兄だと分かると、急にオロオロしだした。
お兄ちゃんは治癒師に2度目の治癒を受けました。
地球では強い兄だが、魔法や身体能力が高い人には勝てなかったようだ。
そんなやりとりしていると
「えっ! 心音ちゃん?」
横を見ると、桜さんがこっちを見ていたのだが、走って来て私に抱きついた。
「私、ずっと心配してたのよ!
また会えて嬉しいわ。
でも、何で車椅子なの?
もしかしてイジメ?」
「イジメではないけど、それに近い感じかな。
『呪い』を受けて、下半身が動かなくなっちゃって。
でもね、皆が良くしてくれてるから幸せだよ」
「本当に幸せ?」
真剣な顔の桜さん。
私は頷き。
「幸せだよ。
今はこんな状態だけど『呪い』が解ければ、歩いたり走れるよ」
安心してね! と言ったんだけど、桜さんもランと同じで離してくれなかった。
お兄ちゃんは、私のベッドで呑気に寝てるし。
まあ、放置でも大丈夫だよね。
お兄ちゃんの事は無視をして、桜さんと一緒に王宮のキッチンへ行き、シフォンケーキと生クリームを一緒に作り皆で食べたのだが、コレが好評でレシピを書いて料理長のブルーノさんに渡した。
作り方は見てたから分かるらしい、流石です!
私は、桜さんの肩に頭を置き、腕にしがみついて甘えていた。
誤字がありましたら、すみません。
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