17.初めての従魔フェンリル
オールは私の学園の手続きとバールナ公爵へ養女として行く為の書類、自国の政務で多忙なので少しお庭を散歩してみようと思いお花の並木道を歩いていた。
ガッ!
私は何もないような所で転び、両手と足を擦りむいた。
「いたたっ」
両手からは血が、スカートをめくって見たら、やっぱりだ擦りむいて足からも血が出てるよ。
消毒して薬塗らないと、メイドさん方に心配させちゃうな。
ズザザザザッ!
「………グルルルッ……」
えっ? 何?
音と唸るような声の方を見たら!!
狼? にしてはデカイよね?
血が出てる、手当てしてあげないと!
「大丈夫だよ。傷にハンカチを巻くだけだからね?
治したいけど、魔法が使えないから応急手当てで、ゴメンね?」
「………」
唸ってないから良いって事だよね。
ササッと巻いて、体に付いてるゴミや葉っぱを取ってあげた。
これで応急処置は終わり、ハンカチを巻いただけなんだけどね。
「まだ痛いよね? 大丈夫?」
尻尾振っちゃって可愛い、漫画に出て来るフェンリルみたい。
「フェン」勝手に名前付けちゃった、けど大丈夫だよね?
もう帰ろう。
テクテクテク……トコトコトコ。
テクテクテク……トコトコトコ。
んっ? 気のせい?
テクテクテク……トコトコトコ。
後ろを振り返ると、フェンリルが居た〜〜! って呑気に思ってる場合じゃない、どうしよう。
連れて帰ったらなんて言われるか分からない。
「私の所に来たいの?」
「我は名を授かった。
主人は我の主人になった、主人が行くとこ我も行く」
フェンリルが喋った!
あっ、シンから貰ったチートで、私のスキルに従魔があった。
名前を付けると従魔になるんだ?
名前付けちゃったのは私なんだし責任持って育ててあげないと。
って、もう大きく育ってるよね。
「ついておいで。
良い事考えた、お風呂に入ろう!
お風呂に入ってキレイキレイしようねぇ」
綺麗になればモフモフ出来る!
モフモフは癒しよ!
王城に入ろうとすると、心配したオールが出て来る所で私は手を振って声をかけた。
「オール、ただいま。
ちょっと散歩してたら遅くなっちゃった」
フェンをナデナデしながら話す私。
………。
「ココネ、コイツはココネが名を付けたのか?
……怪我をしたのか?
血の匂いがする!」
オールは直ぐに分かってくれた。
「うん、並木道で躓いて転んじゃったの。
フェンは血を流してるのを見つけて、放って置けなくて応急処置をして名前付けたら従魔になってたの」
「フェンリルは強いからココネの護衛としては申し分無いが、ココネとフェンは回復魔法をしてもらわないとな」
と言いながら急いで回復された。
「フェン、良かったね。これで王城にも入れるしお風呂にも入れるね。
あとはブラッシングして一緒に寝ようね、モフモフが出来る!」
って盛り上がっていたらオールに
「一緒の風呂も寝室での寝起きも別にしてくれ、俺だって一緒に寝た事無いのにコイツだけズルイだろ!」
と言って、口を尖らせていた。
そんなオールを見て笑ってしまった。
「大きいままだと移動しずらいだろ? 小さくなっとけ」
オールがフェンに助言した後、子犬に変身した。
「きゃあぁぁっ! 可愛い!」
ムギュギュッ! 思わずフェンに抱きつき、オールに剥がされた私だった。
フェンは調理室の隅っこで居眠り中。
夕食は肉じゃが!
あとはホウレン草に似た菜っ葉の和え物と、卵があるからオムレツをパン代わりにしよう。
ジャガイモを切って水に浸けておき、人参・玉ねぎ糸こんにゃくは無いから、お肉を切って鍋に入れてた鳥の骨付き肉を出して、人参・玉ねぎ・ジャガイモ・肉を入れ醤油・砂糖、みりんは無いからこのまま煮込む。
煮込んでる間にホウレン草もどきを沸騰している鍋に入れ
「うん、良い感じになった」
ザルに茹でた菜っ葉を流し込み、水で素早く洗う。あとは適度な大きさに切って、手で絞って醤油で味付けして一品出来上がり。
次はオムレツ。
具はミンチは無いから、プレーンオムレツにしよう。
スピードが大事だから、かき混ぜた卵をフライパンに入れ素早くかき混ぜ、素早く形を整えてお皿に入れて完成!
「良い匂い、肉じゃがが出来たみたいだね。
うん! 良い感じになった」
フェンは一緒のベッドで寝るのは禁止にされたけど、フェンをベッドに入れず横に寝るって事をオールから勝ち取った私。
フェンのお風呂はどうなったかって?
それは想像通りで、オールがクリーンの生活魔法で綺麗にしてくれたんだよね。
こんなに大きなフェンリルを手で洗うのは大変だし、フェンと一緒にお風呂に入るのがネックになったみたいで、急いで魔法使ってた。
今日の夕食も大好評で無事1日が終わった。
誤字がありましたら、すみません。
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