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黒い家  作者: そら07F
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変化

(あかり)はゆかり医師とあった後、

木山(きやま)との事を話せなかった事を少しだけ後悔しながら

エレベーターに乗り込んでいた。


「もしかしたら…笑わずに真面目に聞いてくれていたかも」


灯の心の中は『いや、でも、だって』が目まぐるしく廻る。


しかし、灯は明日の事を考えると余計な事をしている暇は決してなかった。


そうした事を考えながらバスと電車を乗り継ぎ、

四季彩町の自宅に着くのはあっと言う間だった。


灯は帰宅の挨拶をせずに家に入る。


生ゴミの袋と異臭の漂う玄関を抜けて、

階段を登り自室の扉の横に(うずくま)

自称霊能力者の儀式が終わるのを待つ


暫くして母と自称霊能力者が立ち去る。


まるで一連の流れの様にパターン化してしまっていた。


しかしこの日は初めてこの流れに変化があった。


自称霊能力者は灯の目の前を通り過ぎようとしたが、

灯の前で立ち止まり蹲る灯の顔を覗きこむ様にしゃがみこんできた


いつもと違う動きに灯は慌てて顔を上げる


そして

自称霊能力者は無言で

灯の(てのひら)に収まる程の小さな木箱を差し出して来た。


「え…これは…?私に…?」


困惑する灯に構わず自称霊能力者は灯に木箱を握らせると、

足早に階下へと降りていった。


何が起こったかわからず放心する灯は

玄関の扉が閉まる音で我にかえる。


どうやら自称霊能力者が帰って行った音だった。


灯は自室へ入り扉を閉めると、

渡された木箱を躊躇いながら開けて見ると

鮮やかな赤い石の小さめの数珠が入っていた。


よく見ると数珠の石の1つひとつに

梵字(ぼんじ)の様な模様が彫ってあるのが見てとれた


箱に同封されていた紙には、


「ウデニツケテツカウ」


と書いてあった。


灯はその数珠の輪がゴムで出来ている事に気付き、

さらに腕に着けてみると輪の大きさが灯の腕のサイズにぴったりだという事に驚いた。


たとえ面識があるとはいえ、ここまでに何度か会った程度、

ましてやまじまじと見ていないのに腕の太さまでわかるわけはない。


それに「ツカウ」の表示の意味は…?


何かしらの不気味さを感じたが灯だが

何か…意味があると思え

敢えてひとまず数珠外す事なくベッドに横になり目を閉じるのだった。


翌朝まだ夜が明ける前、

灯にとっていつものまだ暗い朝。


灯は雨音で目をさました。


今日は木山との約束の日。


その日は朝から、しとしとと雨が降っていた。


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