表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い家  作者: そら07F
13/187

壊れる小さな居場所

(あかり)は家を出ると、朝食を購入する為に近所の商店に寄る。


灯は店内にいるであろう店主の女性に挨拶をしながら店内にはいる。


「おはようございます…」


すると店の奥から初老の女性が顔を覗かせ、

店の入り口に立つ灯に気付くと笑顔で挨拶を返してきた。


「あら灯ちゃん、おはよう。今日は朝ごはん買って行くのかい?」


そう聞かれ灯は「はい…」と少し小さく返す。


すると店主の女性は


「ちょっと待ってねー」


と店の奥に消えると少し大きめのパンと牛乳を持って戻ってくる。

それを灯に手渡しながら


「このパン、最近できた新作らしいの。美味しかったら並べようと思ってね。食べたら感想を聞かせてちょうだいな。」


店主の女性いわく、そのパンはサイズ以外は普通の苺ジャムが入ったパンらしい事がわかった。


値段を見ると牛乳と合わせて灯の手持ちのお金ではちょっと足りなかったため灯が


「今ちょっとお金が…」


「あぁ、いいのよ。いつも買ってもらってるから、お礼みたいなものよ。それより食べたら感想聞かせてちょうだいな。」


灯が言い終わるより先に店主はその2つを袋に詰めて灯に渡し、代わりに灯が二百円を手渡すと


「はい。確かにいただきましたーありがとね。また寄ってちょうだいな。またオマケするからねー。」


と笑顔で対応してくれた。


灯は深々と頭を下げる


「本当に、ありがとうございます…」


そう言って店内を後にし、学校へ向かい歩きだした。


「いってらっしゃい、気をつけてねー」


と店主は店先まで出て来て笑顔で灯を見送った。


学校までの途中に公園があり、そこのベンチで灯は朝食を摂る。店主の優しさが身にしみて、灯は泣きそうになってしまった。


学校に灯が登校できたのは、

いつもより少し遅い時間となった。


昇降口で灯が靴を履き替えていると、

その灯の姿をチラチラ見ながら、

何やらひそひそと話をしている児童の姿がある。


何だろうと灯がその児童を見ると、

灯の同じクラスの女子達数人がいた。


その女子達は灯が見ていると気づくと、

その場から逃げるようにして立ち去ってしまった。


灯は訳もわからず

立ち去るクラスメイトの背中を見ているしかなかった。


灯が自分のクラスの教室に入ると異変はすぐに灯にも目に入った。


灯の机にはゴミやら濡れた雑巾やらが、

ぶちまけられていたのだ。

灯が訳もわからず放心していると、数人の男子達がニヤニヤしながら近付いてきた。


その中の1人の男子が笑いながら灯につっかかる。


「お前、あのゴミ屋敷のババアと仲いいんだってな。あのゴミ屋敷から出てくる所を俺の母ちゃんが見たんだってよー」


すると他の男子達も口々に灯を(ののし)る。


「えー、ほんとなのー?だったら一緒になってゴミ集めなきゃねー」

「とりあえずこの教室にあるゴミも持っていきなよー、もっと仲良くなれるかもよー」


大袈裟に灯を罵ると、

それに便乗した他のクラスメイトも

灯を馬鹿にする言葉を口々に吐いた。


最終的にはクラスから『ゴミ女』コールが響いた。


灯はそれを聞き俯きながら自分の机の前まで行くと、

机の上に散乱するゴミを両腕で力いっぱいに払い落とした。


瞬間、


教室からは怒号や悲鳴の声が響いた。


灯は、そのままの勢いで教室から走って逃げ出したのだった。


教室の入り口で男子が「おい!逃げるなゴミ女ー!!」などと叫んでいたが、灯はそれに構わず全力で走った。


乗降口で靴を履き替えるのも忘れ、涙を流しながら灯は学校から出て行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ