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転生したらただの〇〇のようだ  作者: しゅーげつ
7/10

第六話

『ただしか』前回までは――


***


「こ……こんなに強いなんて……今の僕達じゃ……!」

「勇者!諦めるな!!」


「でもさ~このままじゃみんなやられちゃうよ~」


「……残念だが一度逃げよう、生き残れば道は開け――」


「あのツノッパゲ、逃がさないぞって顔してんじゃん~」


「勇者……あの漂う小物臭からして倒して城に帰っても

『わはははは、わが名は~』だのと

真の魔王が出て来そうなフラグが立ってるぞ」


「そんな……テンプレ……あるはずないよ!あっちゃいけないよ!!」



「勇者……私が攻撃を食い止める!

 その間に皆を連れて逃げるんだ!」


「な!何を!」


「それしかない! そして……新たな仲間と――

 必ずバランモスを倒してくれ!!」



「ラ、ラリホー!」


「ゆ、勇者……何を……スヤァ」


「と、トゥンヌラ!何してんのよ~」


「……今のうちに二人で彼女を担いで逃げるんだ」


「アンタが死んだら誰が魔王を倒すのよ~~」


「すまない……けど女の子を盾に自分は逃げるなんて……

そんなのは……勇者じゃない!!」



「僕は……勇者だ!」




荘厳な序曲が頭の中に響き渡る。

サイモーンの剣を高らかに掲げて、絶体絶命のピンチに、


死力を尽くして立ち上がる勇者、トゥーンヌラの姿!




***


クイックイッ

#手らしき突起を突き出し


クククイーッ

#両手で四角を描き


グイーッ!!

#腕を前から上にあげて~大きく背伸びの運動~はい♪



「こいつ……『ふしぎなおどり』を使うぞ!勇者!」



ちげえよエロ戦士!!


クイックイックククイーッ!

グイーッ!!


「うーん……攻撃してくる気配もないけど」


クイックイックイックククイーックククイッ!

グイーッグイーッグイングイングイン!!


「ねぇー……トゥンヌラ~もう帰ろうよ~」


くっそ駄目だ!!!

この身体じゃ語彙力が乏しすぎる!!!



『デ、デブゥ……(思案』




お、おおお??

まままさか、お前がオレの意図を察するのか!?



『!……デブゥ(夜のアッサラーム』



おい豚。

お前今全然別の事考えてたろ。


頬を赤らめてんじゃねぇよ。

この後「おたのしみでしたね」って来ようみたいな、

薄汚い予定立てた顔してんじゃねえ。



期待したオレがアホだった。

このままでは本当に帰ってしまう!!


何か……他に方法は無いのか……!!



コンマ数秒での現状把握を試みるオレの目の前には、


怪訝そうにこちらを伺う勇者、

警戒を解かず剣を振りかぶる女戦士、

松明片手に枝毛を探す女僧侶、


いかがわしい妄想で賢者状態の遊び人。


ダメだこいつら。早くなんとかしないと。



オレのハの字型の垂れ目に、

まさしく一縷の希望の光が飛び込んだ!



オレは決死の覚悟でパーティーに突撃する!!



「うわあ!」

「お、おのれこいつ!!」


「デブゥ(事後」



「ちょ~~!こっちこないでよ~!!」


慌てふためく一行の合間を縫って、オレは僧侶に飛びついた!!

狙いはあれ……だ!


「やだ~!向こういってよ!!」


ぶぅん!!と言う風切り音と同時に放り投げたそれが地面に転がる。


ボゥッと風に揺れる赤い火花。

僧侶がうっかり手放したのは『松明』だ。



オレはすかさず石畳を焦がす松明の前に踊り出た!!



「あ~~アタシの松明~!トゥンヌラ~~取り返してよ~!」


「え……僕いま丸腰……」


「勇者……情けないぞ!!」



逡巡する奴らを前に火をバックに、

オレはおもむろに、


身体を大きく、限りなく伸ばして両手を突き出す。



オレは出来る限り端的に、選び抜いた語句を、

考え抜いた方法で伝えようと試みる。


『影絵』だ――





……リは無理だ!

身体を再び真っ二つにされにゃならん!


とりあえずこれでヨシとしよう。


どうだ……少しは伝わったか!?



「なにこいつ~~」


だだだだだめか!!

オレじゃない!!壁を見ろ!後ろの壁だよ!!


オレはすかさず短い手をクイッと指して壁を注視させると、

急いで3文字を繰り返す。


こいつには骨は無いが、軋む思いで身体を捩り捻り上げる。


「勇者……何かを描いてるんじゃないか?」


ナイス痴女!!

お前はヤる子だと思ってたぞ!!!


「デブゥ(傍観」


いいよお前は。余韻に浸っとけ。



「うーん……なんだろう?」


勇者は顎に手を置いて、牢屋の壁に投影される高速文字を凝視する。


「最初のこれは……h??

次は……tか。


Ht……それから……u?」




ししししまった!!

言葉が通じるからてっきり……この世界――



英語が標準語じゃねえか!!




え、英語で伝えるしかないのか……!?


いや!

駅前にも一人で行けないオレに留学歴は無い。

ノバれる訳が無い!!



どうする?どーすんの?オレ!!!


to bi conteniyu-

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