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転生したらただの〇〇のようだ  作者: しゅーげつ
3/10

第二話

『……いやぁそれでねぇ、なんか知らんけど王様に投獄されちゃってさ~

まじウケるwwwwww』



サイモーン、うるせえ、黙れ。



耳を閉じる、というコマンドがないオレに

延々あらすじを語って聞かせるサイモーンとか言う男の魂は、


ものの数分で敬語を通り越してタメ口になり、


今では軽快な独り言を垂れ流すYoutuber調になっていた。




ウザイ。しかもこいつ話が長い。



居るよねこういうの……主にリア充界隈に。


延々自分語り、

我慢してウンウン聞いてりゃ、

話に要点がねぇ、


しまいにゃオチもねぇ。



しっかし同じことを何度も何度も

壊れかけのレディオのように繰り返すもんだから、

流石にいやでもサイモーン・ユアストーリーを覚えてしまった。


要約するとこうだ――




このサイモーンという男、


別にガーファンクルという相方は居ない。




……冗談はさておき、


このサイモーンとかいう男は、

サマンオーサだか言う国の勇者で、

何やら悪の親玉を倒すために王様に謁見したら、

速攻で捕まって投獄されたという、



不幸のだるまおとしのような男だ。



普通王様つったらはした金程度でもくれてよこすのが

定番だろーよ。


こんぼう渡して魔王倒して来いとか、



受け取った瞬間、そのこんぼうでしこたま殴打したくなるような

そんなクズ王でもそのサマンオーサの王様よりゃマシだわな。




しかしまぁ、サイモーンもただナスのママ、

じゃねえや


なすがままに投獄された訳ではなかったらしい。



自分がその親玉のバラモス?とやらを倒すために携えていた大事な剣を、

古くからの友人で別の勇者であるオルテンガとか言う男に渡すために、


無実の罪で捕まる前に何とか取り上げられないようにしなくては!!

と、


咄嗟に思いついたらしい。




んだが、勿論そんな長いもん、懐に忍ばせるなんて出来るはずもなく、


考え抜いた結果何を思ったのか定かではないが、


背中から、鎧の下のインナーの中に差し込んで、

剣先を太もも裏に回して隠したんだそうな。


いや、よくそれで隠しおおせたなと。


電車で立派なブツを漏らしたまま

駅のトイレまで耐えるよりハードじゃねーか。



で、鎧はがれて木の実ナナ……

じゃねえや


着の身着のまま、孤島の牢獄に放り込まれ、




うっかりそのまま独房のベットに大の字になって――



ケツを二つに割って、出血死したらしい。




どおりでベットが赤黒い訳だ。

死因は切れ痔ってこった。



まぁそれはたいした話ではない。

悲惨な話ではあるが、重要ではない。



奴の話で取るべき所はたった一点……



そのまま白骨化して、

肝心の剣が、



ベッドの下に転げ落ちたことだ!!!!




仮にそのオルテンガさんとやらが現れても、

そのオル……オル……テンガさんが、


勝手に息子の部屋を掃除する難波のオバサンでも無い限り、

ベットの下までは漁らないだろう。


むしろ名前からして、紫のパンチパーマというよりは、

上半身裸ブリーフ一丁で斧持った変態マスクな印象を受ける。



そんな奴はまずベットなんて調べない。

下手したら斧でカチ割るだろう。



要するに、『親友オルテTENGAに剣を渡す』というクエストは、

そもそも始まる前から詰んでいるのだ。




そして、最後は決まって『剣を渡さなければ……』と締めて、

話はループする。

この文言自体がリピートマークみたいなもんなんだろう。





オレは考えた。

気になってみた。



こいつは多分親友に剣を渡せなかった未練で、

意識だか魂だかが、この白骨にしがみ付いているのだろう。



しかしとりあえずは、この骨は今はオレなのだ。

一骨二魂は間尺に合わない。


何とか成仏してもらってお引取り願いたいが……

そのオルTENGAさんとやらは本当に現れるのだろうか??


そもそもまだ生きているのかすらも定かじゃない。




オレはエンドレスナレーションを子守唄に、

薄汚れたベットに横たわった――というより元から横たわってんだが、


気がして、


眠りについた、




ような気になった。

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