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転生したらただの〇〇のようだ  作者: しゅーげつ
1/10

プロローグ

(プロローグからご覧ください)


出落ちかよ……!!


薄れゆく意識の中で、自分へのツッコミを最期の置き土産に、

オレは急速に収縮していく暗闇の最奥、


薄ぼんやりと煌く一点の光へと、飛ぶ。



大したことない人生は、他愛なく終わったけど、

不思議と怖くも辛くもなかった。


ただ後ろめたい解放感だけが全身をひんやりと包み、



オレは暖かな帳に溶けていった――



ぱーらららー!ぱーーーらーーーーらーーー!!





突如頭の中だか、脳だか、意識だかに、

どこか聞き覚えのある、

『教会風ファンファーレ』がけたたましく響き渡る。


見渡す限り360度一面を、

見たことのない淡色の草花が埋めつくす。



絵の具が滲むように拡がる緑、

霞むような青空、


眩むように射し込むエンジェルラダーと共に、



一人の美しい女性が舞い降りた。



いや……天女か、女神か、

得体の知れない美女が、


薄絹をはためかせ、両手を大きく開く。




「おお○○よ、しんでしまうとはなさけない」





……はい??


「え??誰??」



「……ごにょごにょ、よ!しんでしまうとは――」


「いやいやいやいや!その、ごにょっとしたとこ、

そこんとこを、

 

 もう一度!

 

 ハッキリ!!


 渇舌良くおなしゃす!!!」



「んむにゅ……よ」


小さく咳払いをして顔を背けると、

微妙なアルカイックスマイルをたたえながら言い直した。



「しんでしまうとはなさけない」



諦めやがったよ……



名前が読めないとか、DQNネームだとか、

『やーい!お前の母ちゃん厨二病!』だとか、


教師ですら最後まで苗字一本で貫かれて来たが、

完全にスルーした奴は初めてだわ。


てか、リアルで聞くとさすがに萎えるな、

この台詞……




「……で、アンタ誰?」



「私は……精霊ルービス。かの地を創造りしもの」



自己紹介はすんのな。

別にいーけどさ。


「その精霊さんとやらが、何の用?」



「貴方の無気力で自堕落で、無意味な生は、

ぶっちゃけて、何も無いままに終わりました」


初対面で辛辣だなおい!!

美人に悪し様に言われて悪い気もしないオレも大概だけどな!!!



「で、何!? 転生とかさせてくれたりすんの??」



「貴方が望むのであれば……今は余りお勧めしませんが」




え!?まじ??

異世界に生まれ変わって?


一話からレベルカンストしたり、

のっけからステータスマックスで?

現れる女子が老若問わずことごとく

大した理由も無くオレに好意を持ってたり!?

ライバルは不当に頭が悪かったり?


そんな都合の良い世界に!?

このオレを!!!



「やってくれ! 今すぐやってくれ!」


「で、ですが……今、枠が一つしか開いてなくて……」


「は?? 転生枠とかあんの!?」



ハロワでももうちょい門戸広いぞ?

まぁブラックじゃなきゃ何でもいーよ。



けどまぁ転生っつーと、

チート放題やり放題、高確率でパラメーターに恵まれるか、

不遇職でもご都合運補正で何とかなったりする

ヌルゲーと相場が決まってる!!


「……ノープロブレム! やっちゃってくれ!」


「分かりました……もう一度確認しますが、本当に良いのですね?」



「ばっちこーい!!!」



精霊ルースの小さな溜息と共に突如降りてきた漆黒の緞帳と、

聞き慣れた、



でれでれでれでれ、でんででん



という、

具体的には昭和後期のいたいけな少年達の心に、

強烈なトラウマを植えつけた、


あの効果音と共に、



オレの意識は電源が落ちたブラウン管テレビのように、


ぷつんと途絶えた。


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