幕間・私兵団の日常
とても短い小話
じめじめと湿気が蔓延する季節である。
不規則に振り続ける雨を見ながら、黒髪の少女が爛々と目を輝かせていた。
「ふんふーっふんふふーっ」
鼻歌交じりに、エッシェンホルスト私兵団隊長・グレンは傘を持った。
今はちょうど休憩時間、外で遊んでも何も言われない。
しかし、ふと幼女は眉根を寄せる。
水たまり等で思う存分遊べば、当然服は水浸しになるだろう。
「ちかられりゅ……かも」
それ自体は少女が反省すれば済む。
しかしそのために他の隊員に手間を取らせるのは心苦しい。
それでも正直今外で遊びたい。
どうしたものかと悩む彼女に、偶然通りかかった団長・ラナンが声をかけた。
「グレンか。何をしている?」
「おしょと、れもびちょる」
「ふむ」
彼女の端的な言葉でも、意図は通じたらしい。
青年は数秒思案してから、こくりと頷いた。
「――では俺も行こう。叱られるのが二人に分散される」
至極真面目な様子のラナンに、黒髪の少女は、
「……しゃいようっ!」
満開の桜のような笑みを浮かべた。
この後、びしょ濡れの二人がタオルでぐるぐる巻きにされ、副団長に説教されているのを見た者がいるとかいないとか。




