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大罪人が語る夢  作者: ぬらくらげ
最終章
78/94

幕間・私兵団の日常

とても短い小話


 じめじめと湿気が蔓延する季節である。

 不規則に振り続ける雨を見ながら、黒髪の少女が爛々と目を輝かせていた。


「ふんふーっふんふふーっ」


 鼻歌交じりに、エッシェンホルスト私兵団隊長・グレンは傘を持った。

 今はちょうど休憩時間、外で遊んでも何も言われない。


 しかし、ふと幼女は眉根を寄せる。


 水たまり等で思う存分遊べば、当然服は水浸しになるだろう。


「ちかられりゅ……かも」


 それ自体は少女が反省すれば済む。

 しかしそのために他の隊員に手間を取らせるのは心苦しい。

 それでも正直今外で遊びたい。


 どうしたものかと悩む彼女に、偶然通りかかった団長・ラナンが声をかけた。


「グレンか。何をしている?」


「おしょと、れもびちょる」


「ふむ」


 彼女の端的な言葉でも、意図は通じたらしい。

 青年は数秒思案してから、こくりと頷いた。


「――では俺も行こう。叱られるのが二人に分散される」


 至極真面目な様子のラナンに、黒髪の少女は、


「……しゃいようっ!」


 満開の桜のような笑みを浮かべた。



 この後、びしょ濡れの二人がタオルでぐるぐる巻きにされ、副団長に説教されているのを見た者がいるとかいないとか。




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