第十七話・知ってる顔の知らない何か
時は少し遡る。
石碑探しの途中、エラムがオリバー達の元へ戻ってきた。
小さな体を青年は両手で受け止める。
「あっちみつけたヨ!」
「あら、思ったより早かったわね」
前方を歩いていたヴィーが、飛行で疲れた様子の精霊に角砂糖を投げやった。
彼女は「わーイ!」と言った直後に口をつけた。
桃髪の少女はオリバーに向き直る。
「合流場所はもう少し先の村で合ってる?」
「合ってるよ」
青年は自然と言葉を続けた。
「――二人とも大丈夫かな」
ヴィーの両目が見開かれる。
一瞬、己の耳を疑った。
以前なら、自分と契約精霊以外はどうでもいいと言わんばかりの態度であったのに。
「……変わったね」
「何が?」
「なんでもないわ」
灰色の髪を揺らして、青年は小首を傾げた。
(考えてもみれば)
生きとし生けるものが変わっていくのは当たり前のことだ。
どんな形であれ、変化は必ず訪れる。
それが良いか悪いか、その一時だけでは判断できない。
ただ、少女は密かに微笑んだ。
どうか彼の生の歩みの中で、良い兆しであるように祈りながら。
悪魔と巨人。
かつての世界における親友同士とは違えども、新たな縁を紡いで、彼らは他領との境界線を越えた。




