表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/94

幕間・彼のバンダナは赤い色

小話。



 それは幼馴染二人が出会って、およそ一年経った頃のこと。


 暖かな陽光が差し込む窓辺で、少年少女はは身を寄せ合っていた。

 共に一枚の毛布に包まりながら、床に座って絵本を読んでいる。

 文章には少年がすでに点字をつけてあった。


「青空の下、兎は老木にたずねました。『朝と夜のさかい目はどこにあるの?』」


「……ねぇねぇ」


「おん?」


「この木の花は、どんな色になるの?」


 すぐに答えることができず、シオンはじっと黙り込んだ。

 花は、明るい赤色に塗られている。

 彼は少し考えてから、おもむろに立ち上がり、少女に手を差し伸べる。


「こっちだぞ」


 アニタは笑顔で彼の手を握った。


 連れて行かれたのは暖炉の前だった。今もパチパチと火の粉が舞っている。


「この色だ」


 少年は燃え上がる炎を指差した。

 軽く手のひらをかざせば、じんわりと温かさが伝わってくる。


 アニタははにかみながら呟いた。


「教えてくれてありがとう」


「俺は何もしてねぇよ」


「わたしがありがとうって思ったから言ったの」


 嬉しそうに見つめられて、黒髪の少年は視線を泳がせた。




 数日後、シオンは贈り物を渡された。

 紙袋を開くと真っ赤なバンダナが入っていた。


「シオンよくご本読んでるから、前髪抑えるのにどうかな……」


 少年は黙ったまま、まっすぐに彼女の両目を見た。どこまでも深いのに透き通って見える青色。

 不意にバンダナを取り出し、彼はぎこちなく額に巻いた。


「似合うか?」


 そう笑った彼に、アニタは花が咲くような笑顔で応えた。


 本音では赤色は好きではない。

 けれど、大切な少女がくれたというだけで、それは彼の特別になった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ