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旧30話〜全員と自己紹介〜

 



「優、上がるわよ」


 インターフォンが鳴り、玄関に行く前に麗姉が客間に入ってくる。


 そして、麗姉に続き、


「弟君、お邪魔するねー」


「ゆ、優くん、こんにちは」


「ん」


 と、茜さん、委員長、佐藤が俺に挨拶して客間に入る。


 ……ん、は挨拶に入れていいのか?


「みんな、いらっしゃい。

 えーと、4人は待ち合わせしてたの?」


 意外な組み合わせに思わず訊ねると、


「いえ、私が待ち合わせしてたのは茜だけね。

 そこの2人は玄関で入る入らないで一悶着してたから、連れて来ただけよ」


 うちの玄関前で揉めるのは流行ってるのだろうか?


「へ、へ〜、そうなんだ。

 とりあえず、麦茶用意するから、みんな座ってて」


 俺がキッチンに行こうとして、


「あっ、弟君、先にこれ」


 茜さんが手に持ってた紙袋を渡してくれる。


 よく見れば委員長に佐藤も紙袋を手に持っていた。


「ありがとうございます。

 えっと、これ、中身なんですか?」


「今日のお昼ご飯だよー

 麗ちゃんと一緒に作って来たから、後で美味しく食べようねー」


 茜さんがにっこり微笑む。


「茜、麗ちゃんは恥ずかしいから止めてって言ってるでしょ?」


「えー、いいじゃん、減るもんでもないしー」


「減るわ、私のメンタル値が」


 マイペースな茜さんに麗姉がため息をつく。


 うん、いつも通りの平常運転である。


 そして、茜さんの手作り弁当は助かる。


 茜さんは副会長の他にも家庭科部の部長を務めているだけあって、家事スキルが高い。


 料理は勿論、ロングの髪を大きなリボンでポニーテールにしているが、その大きなリボンもお手製である。


「あっ、優くん。

 私からもこれ、お弁当……」


 委員長がおずおずと紙袋を渡してくれる。


 因みに、今日の委員長は三つ編みなのはいつも通りだが、巨乳を強調するかのような服装だった。


 正直、目のやり場に困る。


「お、おう、委員長もありがとな」


 と、俺が委員長に感謝すると、委員長がやや残念そうな顔をした。


 えーと、なんか失敗したか?


 隣の佐藤も何だか雰囲気怖いし、冷や汗が出て来そうだ。


「ん、小鳥遊、名前で呼ぶ」


「あ、あー」


 そう言えば、委員長は名前で呼んで欲しいって言ってたっけ。


 俺のペースでいいとも言われたけど、佐藤的にはそれはアウトなのだろう。


 茜さんの名前も慣れで言っちゃってたしな。


「え、えーと」


 しかし、いざ名前で呼ぼうとすると緊張するな。


 委員長の期待する視線が重い。


「も、萌、ありがとな」


「うん!」


 俺が照れながら言うと、パァーと笑顔を広げる。


 委員長――いや、萌と心の中でも呼ぼう。


 慣れておかないと、恥ずかしくて仕方ない。


「ん、服装は?

 小鳥遊のために萌は頑張った」


 佐藤が暗に褒めろと俺に要求してくる。


 そういうのは要求するものじゃないと思うんだが?


「あー、萌に似合ってていいと思うけど、

 もうちょっと大人しいと俺としては助かるかな」


 目線がチラホラと巨乳に行っちゃうから。


 萌も俺の視線に気づいたのか、慌てて両手で胸を隠そうとする。


 けど、その動作自体が余計巨乳を意識させられてしまうので逆効果だろう。


「えっとね、これは冴ちゃんからおススメされたんだけど、やっぱり意識しちゃう?」


「うん、正直。

 ここに来るまで大丈夫だった?」


「うー、正直、色んな人から見られて恥ずかしかった……」


 萌が消え入りそうな声でぶっちゃけてくれる。


 だよなぁ。


「後で何か羽織る物持ってくるから、それ着てよ」


「う、うん、ありがとう」


 俺と萌は顔を真っ赤にしてそんなやり取りをする。




「優、さっさと飲み物を持って来なさい」




 麗姉のそんなキツめの口調にハッとする。


 みんながいた事を思い出した俺は、意識をみんなに向ける。


 香恋ちゃんは「むぅ〜」と口を尖らせ、

 茜さんは「弟君は巨乳好きだったかー」と1人納得している。


 なっちゃんはメッチャ目をキラキラさせており、

 春樹に至っては萌の胸に釘付けだった。


 って、おい、マジで叩き出してやろうか?


 俺も他人の事言えないけどさ。


「ごめん、ごめん、急いで準備するわ」


「そうしなさい」


 気まずくなった俺に麗姉が言葉をかける。


 今度こそ飲み物を準備するために客間を出ようとして、


「小鳥遊、待つ」


 と、佐藤に声をかけられた。


「えっと、どうした?」


「ん、これ、お茶菓子」


 と、緊張して訊ねた俺に佐藤が紙袋を手渡してくる。


 両手は紙袋でいっぱいだけど、持てない事はない。


「お、おう、サンキュー」


 俺が佐藤から紙袋を受け取ると、


「ん、それはこの前の詫びの品。

 この前の事は忘れて欲しい。

 それと、私の事も名前で呼ぶといい」


 佐藤がそんな突拍子もないことを言ってくれた。


「えぇーと、佐藤、どうかしたか?」


「ん、冴」


「佐藤?」


「冴」


「……冴」


「ん、それでいい」


 佐藤――冴の名前を呼ぶと満足げな声を出す。




 えぇと、マジで冴に何が起こった?




 ♪ ♪ ♪




 俺が狐につままれた様な面持ちで客間を後にし、

 お弁当をリビングに置いてから、自室に戻って薄手の上着を腕に引っかける。


 そして、キッチンに用意していたお盆に麦茶とコップを乗せて客間に戻ると、各自談笑していた。


 具体的には、萌の巨乳に釘付けだった春樹をなっちゃんがガチギレし、香恋ちゃん宥めている。


 麗姉と茜さんは2人で生徒会についての会話をし、

 萌と冴も穏やかに談笑しているって言った感じだ。


 共通して言える事は、初対面の人同士では話をしていないと言ったところか。


 まあ、自己紹介もしてないだろうから当然と言えば当然か。


「お待たせー」


 俺はテキパキと麦茶をコップに注いでみんなに配り、萌に上着を渡す。


「あ、ありがとう」


 と、萌は顔を赤らめて受け取る。


 そして、上着を羽織った――まではいいのだが、クンクンと上着をかぐのは止めて欲しい。


「こ、これが優くんの匂い……」


 うん、口に出すのもやめようか?


 それと香恋ちゃんも「萌さん、ズルイ!」とか言わないように。


 俺はそれについて軽く流す事にして、空いている席に座る。


 席割りはと言うと、




 俺ー香恋ちゃんーなっちゃんー春樹


 麗姉ー茜さんー萌ー冴




 と、長テーブルの椅子に4・4で座ってる感じだ。


「えっと、とりあえず、自己紹介しとこうか」


 俺から軽く自己紹介を行うことにした。


 因みに、全員の自己紹介は次の通りである。


 それぞれの自己紹介に対する反応は書ききれないので、割愛する。




「小鳥遊 香恋、西女中学校3年生です!

 お兄ちゃんの妹でハーレムメンバーの一員です!

 皆さん、よろしくお願いします!」


「立花 夏実です!

 なっちゃんって呼んで下さい!

 レンレンとは同じ中学で親友やってます!

 あっ、隣のは不本意ながらアニキですが、無視していいです」


「立花 春樹っす。

 てか、副会長始め、みんな俺の事知ってるよね?

 自己紹介いる?」


「小鳥遊 麗華。以上」


琴吹(ことぶき) 茜ですー

 西高の生徒会副会長兼家庭科部部長兼麗ちゃんの友達やってまーす。

 みんな、よろしくねー」


「さ、佐藤 萌です。

 優くんのクラスで委員長やってます。

 えーと、それで、は、ハーレムメンバーの一員です。

 よろしくお願いします」


「ん、佐藤 冴」




 以上がみんなの簡単な自己紹介である。


 一部、名前しか言ってない人もいるが、基本逆らえないので、そこは無視しよう。





 さて、自己紹介も終わっちゃったけど、これからどうしよう?





 副題 <小鳥遊優とその愉快な仲間たち>





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