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1 二件目のオファーはこんな風に

 今回出版する「吾輩が猫ですか!?」は、元々はエブリスタ主催の、スター○出版に応募するつもりでいた。昨年の九月〆切りのことである。


 書き始めたのは八月。ところが、仕事が忙しかったこともあり、一ヶ月で1から13万字を書ききるのはかなり難しい。ある程度はプロットも書き上がっていたが、結局頭を抱えているうちに〆切り期限までにアップすることは不可能であると悟り、断念した。


 賞は諦めたが、やはり一旦書いてしまったものを消すのはもったいない。そこで、小説家になろうにて、続きを書き、完結させる、その心づもりで連載を始めた。文章はもちろんエブリスタからの転用である。


 そして10月。毎日の仕事に忙殺され、なかなかエブリスタで上げた以上の続きが難航しているときに、Twitterにメッセージが届いた。


 メッセージ元は、前回お世話になったマイナビ出版。前回お世話になったMさんの後を引き継いだTさんからの挨拶メッセージだった。


 そしてそこには、『吾輩が猫ですか!?』に興味を持ったこと、良ければ企画会議にかけたいので、その是非検討願いたいとあった。


 嬉しかった反面、えええ? と思った。

 何しろこの『吾輩が猫ですか!?』マイナビ出版ファン文庫のレーベルカラーとはひとつもあっている作品ではないのである。


 レーベルカラー、とはなんぞや? と言う方もいらっしゃるだろうから、少し説明する。


 ラノベなら富○見ファン○ジア、アース○ター――ライト文芸なら集英○オレ○ジ、スター○など、いろいろな出版社があるが、それぞれの会社で、本の内容にある種の方向性がある。


 例えばこの会社レーベルはミステリ系を推している、このレーベルは人情系、このレーベルはハーレム系、などなど。それぞれのレーベルは「○○ならウチが一番!」と言えるようなラインナップをそろえている。


 だから、どんな名作を書いたところで、レーベルと『色』が合わなければ、その作品は「お引き取り願います」、と言うことになる。『異世界居酒屋のぶ』を書いている蝉川先生の言葉を意訳して借りれば、「ラーメン街において、俺の作るカレーは絶品ですよ! と売り込んでも、客はラーメンが食べたいわけで、カレーがどんなに美味しくとも、見向きもされない」と言うことになる。


 『カレーで勝負したい』というのなら、カレーを求めているレーベルに売り込みにかけなければ、勝算は極めて低くなる、というわけだ。


 そんなこんなで、話を元に戻そう。


 マイナビ出版ファン文庫のウリは、『お仕事・プチミステリー・キャラクター・ほっこり』だ。


 ところが、拙作は、まず、お仕事ものではない。ミステリーといった要素もないし、ほっこりと言えばかろうじてそうかも知れないが、ほっこりを狙って書いたわけでもない。


 ちなみに、『吾輩が猫ですか!?』がどんな物語なのかというと、


「突然神の気まぐれによって猫に強制憑依させられたアラサー社畜主人公が、問題ありな女子高生の飼い主のため、神から次々下される試練を解決していく。試練を解決できなければ、一生猫のまま! どうする、社畜!?」


 と、これだけ読んでいただいても、どこが『お仕事』なのか、どこが『プチミステリー』なのか、さっぱりわからない内容である。

 

 なので、このオファーにはさすがに驚いた。


 懸念が先に立ったが、その点については、以下のような返答を頂いた。


 『「吾輩が、猫ですか?!」ですが、お仕事小説といえるかということ、仕事自体は猫ですが、明智(主人公)の猫になる前の仕事と人生の振り返りなどは社会人としていろいろと共感できますし、柊を立ち直らせるというミッションをどうクリアするのか、なぜ猫になったのか?神様の意図は?など、先も楽しみです』


 ということだった。


 猫は仕事なのか? 仕事なのか?

 という疑問は脇に置くとしても、まだ完結していない本作へのオファー。ハードルが上がりまくりである。


 まあ、それはさておき。よくよく話を聞いてみると、まずは『企画会議にかけたい』とのことで、それが通る保証はない、その上で企画会議にかける許可を、と言うこと。


 なるほどなー、二件目のオファーというのはこういうものなのかと思いつつ、『是非、お願いします』と回答した。


 続きに詰まっているけど、企画会議通ったら、編集と相談しつつ物語を作っていけば良いだろう。


 そんな風に、軽く考えていた。

 しかしそれは、甘すぎる考えだったと、程なく知ることになるのだが。


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