風景_Ⅰ_座礁した湖
私が喉に牽き絞られると
銃挺の花々が
錆鉄の微笑を以て
欲動狂奔の濁海より
花被蘇生手術の内燃燈に揺られている
カンテラの捺花を
震える窓を誰が押したのか
暴風のただなかに屹え
中世邸宅建築が
厚紙の鎧戸が
何物でもないあなたを擦るとき
木綿の花は人物像が嗄れた畑に
今も尚
実像の悲鳴を恍惚の悲鳴を戦慄いているか
機械図の薔薇が燃やされる
青い薔薇がはらからを朽ちて
銃剣の量数は惨死を
街角の酸い檸檬花は胚胎を
揺ぎ無く
多翼展翅標本に縫い緩めることもできただろう
不確実なる尊厳死の
車椅子なる尊厳死を掲揚し乍ら
丸時計は搖動し
死の純潔が
払い戻される頃
季節の灯を牽く幌附二輪車は
血髄の轍を履む様に
生々しくも花束の飾帽子に
山鳩の尾を託ちつつ
実像が実象を超越することを
匹敵と
遅-乾燥製の漆喰に
閉されたバルバラの窓を標識としては
孤絶を耐え
縦横螺旋縞模様のブラウン管へ
拠所無き燦爛の骨を、
それら
網膜を、
現象体に一切の瑕疵を認めない
叛自働の概念は
忌憚たるべき軍歌に
明らかな人物像、
婦像柱の映像フィルムを検閲し続けている