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魔法騎士(ナイトウィザード)   作者: 若葉みくら
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炎の鳥と魔法勝負

朝が来た…ニーナは眠い目をこする。

紫乃はまだ寝ている。


「あれ?…昨日魔物の森行かなかったっけ…」


あまり着ないネグリジェを着ていることに違和感を感じながらニーナは起き上がる。

眠気を覚ますため着替えを掴むとシャワー室に入っていった。

とりあえず…頭がすっきりしたところで結論夢落ち!っと判断して紫乃を起こし食堂に向かう。

なんだか皆制服が夏服になっていた…

クレアがスマホで通話している。

クレアはニーナに気づき呼ばれる…


(なんか…怒ってる?)


ニーナはクレアの側にいくと、腕を捕まれてしまう。

回りの視線に気づく…


(…なんか、すごい見られてる…?)


熱いまなざしが自分にそそがれている様に感じる。ニーナは眉をひそめる。


(殺気だってる?)


クレアが通話を切るとニーナを見下ろす。


「精霊宮に白い黒狼が負傷して運ばれたそうだ…それと、ニーナ昨日どこかに出かけたか?」


ちょうどその時、セシリアが食堂に入ってくるとクレアに告げる。


「神都一帯の水が干上がったそうよ」


ニーナは朝確かにシャワーを浴びたので言ってみる。


「えっ!でもシャワー使えたよ…」


クレアに冷ややかに訂正される。


「魔法学園の水は精霊湖からひいている…あそこは水が枯れることはない」


「ニーナ、今涼しいのはあなただけよ」


セシリアに囁かれる。


「さっ!白状なさい!!」


ニーナは潔く白状する。


「私が、やりました!」


クレアが宣言する…


「天然クーラーだ…好きにしろ」


どっとニーナのもとに寮生が押し寄せる…セシリアがさりげなくポケットのしーちゃんを連れ出す。


「ニーナ…がんばって!」


あまりのことでしーちゃんも恐怖でセシリアの制服に隠れる。それでも、ニーナにエールを送るのであった。

部屋全体を冷やすことで解放されたニーナは昨日火山に行ったことを話す。


「その勝負とやらが…このはた迷惑な日照りであろぅな」


「火山に行ってくる」


部屋から出ていこうとするニーナを止める。


「まてっ!…魔法学園の生徒は全員中央神殿へ集合だそうだ」


「中央神殿…それは、神官の学園に行くってこと…?」


クレアがうなずく…


「雨乞いをするらしい…これは、見ものだろっ?それに、おまえ一人では同化できまい」


クレアの意見に従い中央神殿へ向かった。





中央神殿の祭壇前に集められた。

黒の制服が月の神官候補、白の制服は太陽の神官候補、そして紺の制服が魔法学園きれいに別れて整列している。

ニーナの横が太陽神官の学生だった。


「あら…あなた水もまともにだせなかった子じゃない?」


ニーナは相手にしない。ただ空の大きな鳥に意識を向けていた。

しかし、これを聞いていた他の生徒達や先生を怒らせていた。


(祈りで水をだしたからって偉そうに!)(ニーナ先輩は水がだせなかったんじゃない…だしすぎたのよ!)(こいつら…魔法がどんなものかも知らないくせに!)(祈りで同じだけの水出してみやがれ!!)



神官の祈りがはじまる…雨雲が空をうめる。

神官候補生達は誇らしげに空を見上げている。

しかし…雨は降らない、降ってきたのは火の塊だった。


「ニーナ…許可する。同化して雨を降らせろ」


隣にアッシュが立っていた。

ニーナはうなずく。クレアとセシリア、ラピスがニーナのところに走ってくる。

三人が呪文を唱える。


「「「我主の星に名を示せ」」」


三人の声が響く、ニーナはその声にこたえる。


「ニーナ・クライスの名を捧げ忠誠を誓う」


ニーナから蒼い輝きがあふれその姿を変える。

髪はブルーブラックから青銀へ体も少し大きくなり背中には八枚の翼を羽ばたか空を舞う。

その姿は神々しく…女神か天使のようだった。生徒たちは、火の恐怖も忘れてただ目の前の少女に目を奪われる。

ニーナの魔法が炎を包み込む…氷の魔法が炎を消していく。白い水蒸気が視界を妨げる。

熱風と白の世界に皆が顔を庇い目を閉じる。

悲鳴の響くなか…凛とした声が降ってきた。


「セシリア、風で水蒸気を散らして」


ニーナの声と同時にセシリアの精霊、風鷹が現れセシリアと同化し周辺の水蒸気を拡散させる。

ニーナは雪雲をつくりだし…吹雪をおこす。その雪は熱気を吸い水へ変わり雨になる。

乾いた大体は水を吸い込み…しかし許容力をこして水が吸い込まれない。

雨は痛いくらいの強さで水面を叩き波紋を幾重にも描きすぐに人の足首ほどまでたまっていく。

排水路にのまれきれず水しぶきをあげあふれだす…

ニーナは水の精霊をもつクレアに託す。


「クレア水を導いて…」


クレアの前に人魚が現れクレアと同化する。

地に吸わぬ水を導き川へ地下水へと誘い込む。

火の玉が降りそそぐ…ニーナはそらを全て消していった。

雨が降り注ぐ。しかし、ニーナは警戒をとかない…

雨雲の奥から神都をのみこむほどの火の塊落ちてくる…

大人しく見上げていた神官達がそして神官候補生がパニックを起こす。神官が逃げろと騒ぎ…セシリア達に近づく。ラピスは同化して神官達を威嚇し近づいた神官の前に火柱があがる。

ラピスは一喝する。


「魔法を使ってる時に近づいてんじゃねぇよ!」


そして、魔法学園の生徒も盾になり立ちはだかる。



空を飛ぶニーナが集中するため目を閉た。

ニーナは炎の塊と同じだけの水をイメージする。


「なんて水の量だ…」「まるで…湖が浮いてるみたい!」「…!」


逃げるのも忘れ魔法学園の者達以外の者たちは絶句する。

炎の何倍もある水が空中に浮かんでいた。

その水は炎の塊を飲み込み消していく。

残った水は雪となりゆっくり風に吹かれ舞い降りる…。

大地を白へ塗り替えていった。


精霊の気配が消えたのを確認するとニーナはクレア達の所へ降り立つ。

クレア達もニーナに近づく…

刹那…地面が円を描き魔法陣があらわれる…魔法陣は四人をそして小さな精霊をのみこんでいった。














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