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魔法騎士(ナイトウィザード)   作者: 若葉みくら
1/9

相棒が見つからない!!

三角型の天上は透けて外との境界は激しい雨がうちつけ滝のように流れていく。

ときおり雷がそのなかをてらす…

中はうす蒼く輝く水晶の樹木、その前に少女が眠っていた。

少女のそばには少年がたちつくしていた。


「サラ…目を開けてくれ」


サラの頬にふれようと手を伸ばす、微かな体温にあんどする。


「どうしてこんなことに…お前たちは何をしていた!」


背後を振り返り睨みつける。

稲妻が光る、少年の後ろに数人の白い衣をまとったものたちがかしずくように膝をついていた。


太陽アウル神殿に魔王の侵入を許し、あまつさえ蒼の姫を…」


苦しげに言葉を封じる、言葉にしてはならないそれが現実だとしても。

いまわしい言葉をはなてば真実になる、いきばのない感情を神官たちにそして己にむける。

1人の神官が沈黙を破る


「おそれながらしろ様、サラ姫様は、まだご存命です。ただ…魂が失なわれたにすぎません」


白は神官の胸ぐらをつかみ締め上げた。

神官たちはあわてふためく、しかし、つかまれた本人はあせることなく白に囁いた。


「失なわれたなら、取り戻せばよいのです」


白は目をみはり、神官をみやる。

神官は淡い微笑みをたたえ囁く。


「未来から」





今日も晴天、愛らしいげな少女の表情はどこかうかない。長いブルーブラックの髪をなびかせ芝生に寝転がりため息をついた。大きなブルーの瞳を閉じる…全体的に小さな手足を伸ばす。


(相棒がみつからない…)


「ニーナ先輩、来年一緒のクラスになれるといいですね」 


楽しそうに声をかけられて、ニーナは跳ね起きた。


「ならないから!!留年しないから!!」


三人の後輩たちが笑いながら城にもとい校舎に入っていった。

木のかげから爆笑が聞こえた。

ニーナは制服ついた芝生をはらうと木に近ずくとうらめしく笑っている人物を睨んだ。


「アッシュ先生楽しいですか?」


「ククッ…可笑しい…最高あぁ腹いて!」


校舎の窓が開いてなかから女性が眉をひそめて抗議する。


「保健室前で騒がないでください!」


ツボにはいた先生はいっこうに笑いが止まらないらしい…ニーナはしかたなくユウナ先生に謝罪する。


「ごめんなさい…ユウナ先生」


しょんぼりするニーナにユウナはあわてて首をふる。


「ニーナさんは謝らなくていいのよ」


優しい微笑みをむける。ニーナの気持ちも浮上していくように笑顔になる。笑い終わったアッシュがひらめいたようにユウナに提案する。


「ユウナ、精霊1匹こいつにやったらいいんじゃね」


不穏な気配がして今までいなかった4人が現れたユウナを守るようにかこむ。

赤毛の青年がアッシュを威嚇する、なにもないところから炎がたちのぼりアッシュを襲う。

アッシュは、不適に笑う。彼の地面から影がたちのぼり炎を制圧、さらにユウナを守る者たちにせまる。

その時、消えた炎が再び燃えあがる。

先ほどより激しい炎にアッシュはその場を飛びのくと視線をニーナにむける。

炎はそのあとを追いかける…アッシュは舌打ちし右手に集中する。淡い光が長く伸びそれを炎に向けて降り下ろす。

光は剣となり炎を切り裂きさらに地面に突き立てる。

剣を引き抜くと闇がたちのぼり黒い炎となり剣に巻き付く…

裂かれた炎は再び集い炎は渦となりアッシュに襲いかかる。


「あっ、あそこにいるのは伝説の白き精霊じないのか?」


緊迫感にそぐわないアッシュのセリフにニーナは反応した。


「えっ!」


あたりをキョロキョロするニーナにアッシュはぺしっと額を手のひらで叩いた。


「おい…先生にはむかうとは、いい度胸だな」


ニーナは額をおさえ反論する。


「なんのことですか?…っていうか虐待反対!」


おどけてこたえたがアッシュの鋭い眼差しにニーナはこくびを傾げた。


「お前、あの精霊に魔力を与えたな…」


顎をしゃくり赤毛の精霊をさす。赤毛の青年は地面に膝をつき唖然としていた。ニーナは否定する…


「やだな、契約してない精霊に魔力を与えたるなんてできないですよ…契約者と契約精霊はおかあさんと胎児みたいなものですよね?」


「その例えはやめてくれ…」


アッシュはげんなりして顔を歪めた。


「だってへその緒みたいな者じゃないですか」


それに反論したのは四人の精霊たちだった。


「「「「俺はユウナを母親だと思ったことはない!!」」」」


みごとにハモった声に3人はきょとんとした。


「そうね…どちらかといえば兄みたいなものかしら?」


ユウナは邪気のない笑顔を向けた。

うなだれる精霊たちにアッシュはニヤニヤと笑った。

ニーナはアッシュの袖をつかみ見上げた…


「先生…どこかに有力な精霊いませんか?」


真剣な眼差しにため息をつく。


「俺も噂しか知らんが…魔物の森にある火山に強力な精霊がいるらしい」


きらきらと瞳を輝かせるニーナに念押しする。


「あくまでも噂だ!それに、魔物の森は立ち入り禁止…解ってんるだろうな~」


ニーナはうなずく。だが、その目が諦めていないと口より語っていた。


「ニーナ、何してるの?」


振り向くとニーナと同じ制服の大人っぽい雰囲気で茶色の長いウェーブの髪を緩く編んだ美少女が立っていた。

ニーナは、声の主の名前を嬉しそうに呼んぶ。


「セシリア」


ちょうどいいところに来たとばかりにアッシュはニーナの襟をつかみ猫を持つように差し出した。


「お目付け役、しっかり見張っとけ!」


苦しがるニーナは暴れるが微動だにしない。

突然離され尻餅をつきながらも涙目でアッシュを威嚇する。

虐待反対!!

しかし、ニーナは先生のことなんてかまってられないとばかりにセシリアを見上げる。


「セシリア聞いて!魔物の森に有力な精霊がいるんだって」


ニーナの話をセシリアは聞いてから、聞き返す。


「魔物の森って…あの精霊宮の奥の封じられた場所のこと?」


セレス王国の神都ディオンは城を中心に北に精霊宮、東にラクシエラ神殿、南東に中央神殿、南西に太陽アウル神殿、そして、ここ西に、魔法学園これを線で繋げると五芒星となり中央の城、神王の太陽の加護を強めているとされている。

蒼の姫により精霊宮の奥、魔王を封じた場は魔物の森と呼ばれ、また多くの魔物が生息している。


ニーナは元気に計画を話す。


「放課後行ってくるね」


先ほどの会話の流れイコール魔物の森と判断したアッシュは怒鳴る!


「おい!!禁止だって言ったよな!?」


アッシュ先生の怒りの両拳がニーナのこめかみにグリグリと回転する。


「いっ…痛い痛い!!先生違う!行くのは夢見楼のところ!」


ようやくグリグリが止まりほっとする。


「夢見楼って誰だ…?」


ユウナとセシリアはすぐに解ったようだった。

夢の力があるならとユウナはその人物をのべてみる。


「精霊宮の長老様のことね」


いつも聞かされているセシリアはすぐに答える。


「あだ名です。長老様の…」


ニーナの「はい」と元気にうなずく姿にアッシュはあきれる。


「怖いもの知らずだな…おまえ」


ニーナは言われている意味がわからないと首をかしげて答える。


「怖くなないですよ!夢見楼は優しいです!」


「長老はな…」


アッシュのセリフにニーナは訂正する。


「精霊宮に怖い人はいないです!」


セシリアはアッシュ先生にみみうちする。


「先生…無駄です。ニーナは精霊に好かれやすいので説明しても解らないと思います。ちなみに…先生の精霊もしっかり手懐けられてますから」


アッシュは真顔になるとニーナを見下ろす。


「精霊は契約者以外に心を許すことはまずない…人と同じ姿をしてようと違う者だ。自身より格下だと認識すれば容赦なく切り捨てる」


その言葉にニーナ強く拒絶する。


「それは違う…一度繋いだ絆は例え契約者が裏切ろうとも見捨てたりしない!!」


悔しそうにニーナは反論する。


「…契約者はって言ったろ」


参ったなっとユウナに目で助けをこう。ユウナと精霊に睨まれたが咎められることはなかった。


「ニーナさんこちらへ…」


窓から両手を広げ呼ぶ…その声にひかれるようにニーナは歩みよる。

ユウナはそっと抱きしめ、言い聞かせる。優しく…


「必ずあなたの精霊は戻ってきます…。

その為に何度も羽化を繰り返していたんですから。

ニーナさんが信じていれば…きっと、また会えます」


ユウナを見上げる瞳から次々と涙がこぼれ落ちる。それでもしっかりとうなずく…


「なぁ~かしたっ、なぁ~かした、先生が泣かした~」


校舎からちゃかした声が降ってきた。

見上げると赤毛の少年が窓から顔をだしたいた。


「ラピス・グレイ…人嫌い悪いことを言うな!?」


「先生…いい加減授業を初めて欲しいのだが…」


ラピスの横から顔をだしたのは銀髪セミロングのクールな美少女が窓から威圧的に見下ろして、冷ややかに挑発する。


「ニーナ…いつまで保険医に甘えている」


「あっ…甘えてないもん!」


膨れながらもユウナから離れて反論する。元気よく返ってきた声に少女は微笑むと冷ややかな雰囲気が和らぐ 。


「おまえ…末恐ろしいな」


「…?」


「神都の第一王女まで手懐けてるんだよな~」


「…クレアのこと?そういえば王女様だね~」


「お二方早く戻らないとウォーターカッター飛んできますよ」


セシリアは小さく呟くと風が舞い上がる。気づくとすでにセシリアは二階に移動していた。

あわてて二人は、校舎に入って行った。ユウナは微笑ましそうに見送ると静かに窓を閉めた。


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