再び
初めての投稿になります。恋愛モノです。
続くかはわかりませんが、気長に更新する予定です。
高校生が恋に溺れていくようなお話が書きたくて、このお話を考えました。
単純に私が経験してみたいという願望という面もありますが。笑
楽な気持ちで見ていただけると嬉しいです。
桜の花が開き始めていた。
私は桜が好きだ。
しっかりと立つ幹が好き。
満開に咲くときの神々しさや華やかで可憐なところが好き。
散り行くときの儚さが好き。
誰かが、桜が綺麗なのは散りゆくものだからだと言っていたが、まさにそのとおりだと思う。
目の前を1台の自転車が通り過ぎた。
見たことある顔、雰囲気。
忘れたことのない面影。
「達也!」
大きな声で叫んだ。
無意識だった。
ただ、もう二度と何もないまま終わってほしくなかった。
その思いが私を動かしたのだと思う。
「………ごめんなさい。…どなたですか?」
………え?
あの頃とは私の見た目はたしかに変わっていた。
短かった髪も伸び、赤ぶちのメガネから今はコンタクトに変えていた。
きっと、そのせいでわからなかったんだろう。
冷静になろうと頭で考えてみるけど、本心は私のことなんか忘れたんじゃないの?って考えでいっぱいだ。
「………佐藤?」
名前を呼ばれた瞬間、きっと暗く沈んだ私の顔は一瞬で明るく輝いたと思う。
喜びと懐かしさを見せて。
「そうよ!久しぶりね!!」
温かな風が私の髪を抜けていく。
「あ……久しぶり。元気だった?」
ちょっと戸惑った顔を見逃さなかった。
「うん。達也は?」
「俺も。佐藤は今何してるの?」
話題振ってくれた。
なんか意外だった。このままさよならだと思ってたから素直に嬉しかった。
「散歩だよ。達也はどこに向かうところ?」
「俺はコンビニ行った帰り。
良かったら1個上げる。」
そう言ってあたしの手に飴ちゃんをくれた。
期間限定の梅味の飴。
「やったー!ありがとう。」
そういう私はきっと満面の笑みを浮かべてる。
嬉しくて仕方ないって顔。
「なぁLIME交換しない?」
「え?……いいよ!」
使いもしないメアドは交換していたのに、LIMEは交換していなかった。
会話自体、3年振りだったんだ。