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「アイ・フィール・ライク・ゴーイング・ホーム」

「安田、正直なところ、俺の体はどうなんだ?」

「胃潰瘍ってやつだな。ちょっと悪くなってるが、辛抱すれば治る。」

「嘘つけ。俺は前にも胃潰瘍になったことあるけど、こんなじゃなかったぞ。大体、胃潰瘍なら薬出すなり手術するなりしろよ。検査ばっかり何度もやってるけど、本当は癌なんじゃないのか。」

「うーん、そう言われてもなぁ。」

「分かった。じゃ、レントゲンとかデータ寄こせ。他の病院で聞いてみる。セカンドオピニオンってやつだ。そこで癌だと分かったら、お前、もう友達じゃないからな。」

「・・・・・・。」

「いいか、俺はな、癌なら癌でしょうがないと思ってるんだ。癌でも治る可能性があるなら戦う。でも、治らないのなら、騙し騙し命を長らえるよりも残された時間を大切にしたいんだよ。正直に言ってくれ。俺は癌なのか、癌じゃないのか。」

俺は黙っている安田を睨みつけた。

「最後だぞ。お前が癌じゃないと言うなら、俺はお前を信じる。でも、癌だったなら正直に言わんと許さん。」

「・・・分かった。じゃあ、本当のことを言う。」

安田はため息をついた。

「お前は・・・癌だ。」

「・・・やっぱりな。で、どうなのよ。治る見込みはあるのか?」

「まだ検査は全部終わっていないが、あちこちに転移している。正直なところ治すのは難しいだろう。」

「そうか。俺に残された時間はどれくらいある?」

「治療の仕方にもよるが、あと・・・半年くらいか。」

「半年か。よくあるパターンだな。」

安田は俺の方に向き直った。

「俺は告知はしない主義だったんだが、初めて告知するのがお前だとはな。運命のいたずらってやつを感じるよ。」



そうか、やっぱり癌か。覚悟はしていたけど、実際そうなってみるとさすがにキツイな。

別に今まで節制した生活を送っていたわけじゃないけど、まさか自分がかかるとは。

しかもあと半年の命だ。半年経ったら俺はこの世から居なくなっちまうんだぞ。

と言っても実感は全然ないけどな。

よくこういう時景色が違って見えると言うが、マンションに帰ってきてもいつもと同じだ。狭っ苦しい殺風景なワンルームにベッドとテーブルとテレビだけがある。何も変わりやしない。コーヒーの味もいつもと同じだ。

それにしても安田にはちょっと悪いことをしたかな。

医者として常に患者の生死と向かい合っているとはいえ、中学からの親友である俺に引導を渡す役目をさせたんだから。俺より奴の方がショックで落ち込んでいるんじゃないか。まあ、もう二十年来の付き合いということで許してもらおう。奴と俺の間に隠し事はないはずだ。


それにしても皮肉なもんだ。今までやってきたことのツケが回ってきたのか、それとも神様とやらのバチか。

四年前に俺の浮気が原因で息子の健一を連れて出て行った弘美もいい気味だと思うだろうか。

あの頃俺たちの間に愛はなかった。健一は今でも可愛いけれど、弘美の冷たい目を見るだけでぞっとする。もともと俺は結婚には向いていなかったんだ。

見てみろ、四十歳目前にして一人でワンルームマンションで暮らしているけれど、何の不便もないじゃないか。洗濯だけは面倒だけど、食事はコンビニや居酒屋で済む。ワイシャツはクリーニング、物がないから掃除はたまにやればいい。休みの日はどうせ寝ているだけだし、テレビもパソコンもある。

一人で寂しいなんて思ったこともない。誰にも気を使わず、何の気兼ねもなく暮らせるのは気楽だ。

でも、金はないな。ほとんど健一のために送っているからな。慰謝料と養育費ってやつだ。まあいい、どうせ金なんか使わないし。ただ毎日メシが食えて、生きていければいいんだ。

待てよ?しばらく経ったらメシも食えず、生きても居られないのか。

そういえば生命保険はどうなっているのかな。会社で入ってくれているやつと、保険のおばちゃんに強引に入らされたやつがあったはずだ。確か受取人は全部健一にしてあったはずだが、癌で死んでももらえるのだろうか。後で電話して聞いてみよう。でも、おばちゃんにばれちゃうとまずいのか?どこか相談センターみたいなのがあるだろう。後で書類を捜してみよう。



「課長、最近痩せましたよね。」

「そうか?ダイエットしてるわけじゃないんだが・・・。中年太りならぬ、中年激やせかな。」

「バカなこと言ってないで、そろそろちゃんとした方がいいんじゃないんですか。食事だってどうせコンビニとかばかりなんでしょ?体壊しますよ。」

「俺があと十五歳若かったら新しい相手を探すことを考えてもいいんだけどね。この歳になったらもうその気も失せた。」

「課長があと十五歳若かったら私も考えてあげてもいいんですけどね。もうオヤジだからだめです。」

「そう、俺は仕事ばかりしてどんどんしょぼいオヤジになっていくんだ。」

「なんか、湿布薬の匂いがしてきそう。」


俺がこのちっぽけな商事会社に勤めてもう十四年になる。大学時代にアメリカに留学して、人より少し長く学生をやっていたが、英語が話せたおかげで同い年の奴らと同じくらいには出世している。と言ってもしょせん社員百人程度の会社だからたかが知れているが。

実は留学していたと言っても勉強以外のことばかりしていたから大したもんじゃない。会社は知らずに俺を雇ったけれど、俺はアメリカではほとんど学校には行っていない。俺がアメリカで何をやっていたかを知っているのはホストファミリーのビッグママとブラザー達だけだ。

この会社の給料は悪くない。大手一流会社と同じくらいとは行かないが、ここしばらく景気がいいので給料も上がるし、ボーナスも結構出る。

先週がボーナスだったのだが、なんと四ヵ月分も出た。銀行に入れてある金と合わせたら半年や一年は働かずに暮らせる。

半年や一年・・・俺の命より長いじゃないか。と言うことは、俺はもう働く必要はないんじゃないのか?

遊んで暮らすとは行かないけれど、毎日スーツを着て出勤しなくても死ぬまで食っていける分はある。

そう思うと仕事をするのが馬鹿らしくなった。午後からは何もせずただボーっとして過ごした。俺はやっぱりダメ人間だ。必要がなければ、できるだけ楽をしようとする。

かと言って仕事をしないと、いや、正確には会社に来ないと、やることがなくなる。

この歳でマンションに引きこもって、見つかった時には一人で死んでいた、なんて、いくら俺でも惨め過ぎるだろう。



「部長、今、時間いいですか?」

「ああ、どうした。」

「ちょっと込み入った話なんで。」

「じゃあ、会議室に行こうか。第二でいいかな。」


他に誰も居ない第二会議室で、俺は部長の前に白い封筒を出した。

「実は、退職したいと思いまして。」

「ちょっと待て。まずは話を聞かせろ。どういうことだ?理由は?」

「一身上の都合です。」

「それは形式上の言葉だ。なぜ辞めたいんだ?待遇が気に入らないのか?それとも、どこかから引き抜かれたか?」

「そんなんじゃありませんけど、辞めたいんです。」

「次は決まってるのか?」

「いえ、探す予定もありません。」

「バカなことを言うな。今辞めてどうする。世の中の景気はそんなによくないし、すぐには次は見つからないぞ。それとも、自分で会社でも始めるのか?」

「そういう景気のいい話だといいんですけど、そんなんじゃないんですよ。ただ、やりたいことがあると言えばあるんですけど、仕事じゃありません。」

「仕事しないでどうやってやっていくって言うんだ。ちょっと冷静に考えてみろ。これは俺が預かっておく。少し休暇をやるから休むといい。休暇が明けたらもう一回俺のところに来い。」


やれやれ。ほぼ予想通りの展開だ。本かなんかで読んだことがあるけど、本当にあんなことを言うんだな。まあいい、これでとりあえずしばらくは会社に行かなくていい。

黙って、ただ行かなくなってもよかったんだが、俺は気が小さいからそんなことはできない。毎日気になってしょうがないだろう。そんなことを気にしても意味がないんだけどな。どうせもうすぐ死んじゃうんだから。

でも見てみろ。引き止めてはくれたけれど、結局俺が会社に行かなくても、会社には何の影響もないじゃないか。コンピュータに入った資料を全部渡して、それで完了だ。俺なんて、それほど役に立ってなかったし、居なくなってもどうと言うことはないのさ。いくらでも代わりはいる。

それにしても会社に行かないってのは退屈なもんだ。いつの間にかすっかりサラリーマン体質が染み付いちまったんだな。毎日ブラブラしているのも何だか落ち着かない。やっぱり、決まった時間に起きて、何時までに会社に行かなければならないっていう生活の方が楽なんだよ。何も自分で決めなくていいからな。それで毎日が過ぎて、給料をもらえる。俺みたいな人間にはサラリーマンが向いている。

働いている時には休みが欲しい、特にまとまった休みが欲しいとずっと思っていたけど、それも働いているから思うことで、多分俺が普通の状態でずっと休んでいたら、すぐに「働きたい」って思うだろうな。

どうでもいいか。働こうが働くまいが、休もうが休むまいが、あと数ヶ月で俺は死ぬんだから。

安田には格好いいこと言ったけど、癌だと分かっても全然残りの時間を大切にしていない。ただ毎日何となく過ごしてるだけだ。

死ぬ死ぬと言っているけれど、まったく実感がない。だからこうしていられるんだけど、体の調子も前と変わらないしな。俺みたいなダメ人間には、後ろを切られても、追い詰められないとダメらしい。

でも頭では分かってるんだよ。こんなことしてる場合じゃないってな。もったいないと言えばもったいない。普段出来ないこと、っていうのも変だけど、そういうことをやっておくか。どうせ最後には悔いは沢山残るだろうけど、せめて一つだけでも何かやっておくか。

あーあ、俺も若い頃はこんなんじゃなかったんだけどな。あの頃は結構・・・そうか、そういう手があったか。それもいいかもな。どうせ他にやることもないし、そうするか。



この街に来るのも久し振りだな。だけど、あまり変わってない。あの頃と同じ田舎町のままだ。

俺がどこに居るかって?アメリカだよ。南部の、とある田舎町とだけ言っておこう。実はここは俺が学生時代に留学していた街だ。余命いくばくもない俺が、最後にやっておこうと思ったのがこれだってわけさ。

それにしても体力が落ちた。飛行機での長旅はキツかった。段々メシも食べられなくなってきたから、体重も落ちている。病気が進んでいるのかな。あれから病院に行っていないからな。安田の怒った顔が目に浮かぶ。

「ああ、そこを左だ。」

結構道も覚えているもんだ。うろ覚えで自信がなかったが、この愛想のないタクシー運転手のおかげで何とか着いた。


ここはまるで時間が止まっているかのようだ。新しく建った家もない代わりに、なくなった家もない。あそこの角の電球なんか、俺が居た頃から切れたままじゃないのか。

家の前に立った。十四、五年ぶりといったところかな。覚えているだろうか。

「ただいま、ビッグママ。」

「おかえり、リョウ。」

覚えていた。お帰りの声も、言い方も、あの頃のままだ。一気に時間が戻ったような錯覚に陥った。

「ママ、覚えていてくれたんだ。」

「自分の子供を忘れる母親がどこにいますか。大体、この街に出入りする日本人なんてあんたくらいのもんだよ。それにしてもあんたはほっといたらいつまでも帰って来ないね。毎年のクリスマスカードがなかったら、生きてるのか死んでるのかさえも分からないよ。」

「ごめんよ、ママ。」

「元気だったかい。」

「まあね。ママは?」

「相変わらずさ。あんた、随分痩せたね。」

「ああ、ママも老けたな。」

「当たり前じゃない。いくつになったと思ってるの。私にはもう孫が十五人も居るんだよ。あんた、結婚は?子供は?」

「ああ、結婚はしたけど別居してる。男の子がいるけどカミさんが連れて行った。」

「そうかい、淋しいねぇ。」

「皆はどうしてる?」

「そうそう、ジョンは七年前に死んじまったよ。交通事故でね。」

リビングにジョンの写真が飾ってあった。

「ボビーはいい会社に入ったよ。今ニューヨークにいる。ライアンは隣町の工場勤めさ。キャサリンは結婚してアトランタに行ったし、今ここに残ってるのは末っ子のジェイソンだけさ。」

「そうか。皆、俺が来たと言ったら驚くかな。」

「驚くに決まってるじゃないの。行方不明だった六人目の兄弟が急に帰ってきたんだからね。」


当然のことだが、ビッグママ達と俺は血がつながっていない。俺は日本人、彼女達は黒人で、本当なら俺とママ達は単なる留学生とホストファミリーに過ぎない。

でも、俺がここに住んでいた四年間、日本人を初めて見た彼女らに最初は珍しがられたが、すぐに家族同様、いや、それ以上に扱われた。ママにはよく叱られたし、ブラザーたちとはよく悪いことを一緒にしたものだ。

そのうちにジェイソンの嫁が子供達を連れて帰ってきた。お世辞にも美人とは言い難いが、性格の良さそうな、働き者そうな嫁だった。

その夜ジェイソンが帰ってきそうな時間に俺達はちょっとしたいたずらを仕掛けた。

表にジェイソンのトラックが見えると、俺は急いでシャワーを浴びに行った。そして、タオルで頭を拭きながら何食わぬ顔をして出てきた。

「ママ、シャンプーが切れてるよ。」

その時のジェイソンの顔と言ったら。写真を撮れなかったのが残念だ。

そしてその夜は久し振りにママの手料理を食べながら、皆で夜遅くまで話しこんだ。



次の日はゆっくり寝ていたのだが、夕方になると客が沢山やってきた。手に手に料理と酒を持って。

「何かのパーティかい?」

「あんたがやっと帰ってきたから皆で祝うんだとさ。」

俺の歓迎会と言う割には、みんな既に飲み食いして盛り上がっている。

中には知っている顔も沢山あったし、知らない奴も沢山居た。どうしても名前を思い出せない奴も何人かいた。

でもそんなことは関係ないらしい。いつしか俺もその輪の中に入っていた。

宴もたけなわの頃、ママが奥からギターを持ってきた。

俺がここに住んでいた頃に街の質屋で見つけて買ってきた安物のギターだ。まだあったんだ。

「リョウ、あんた、歌ってみなさい。」

「ええ?俺、もう十何年も歌ってないよ。」

「いいから。」

俺は弦の音を合わせた。あれ?弦が新しいぞ。そうか、ママ、朝から居ないと思ってたらこれを買いに行ってたんだな。

皆がニヤニヤしながら俺を見ている。あの頃もこうだったな。俺は、マディ・ウォーターズのアイ・フィール・ライク・ゴーイング・ホームを歌いだした。

「この子は日本人のくせにブルーズが好きでね。ここに住んでた頃もマディ・ウォーターズばっかり歌ってたのよ。」

ママが俺の知らないおっさんに説明している。

そう、実は俺がここに住んでいた四年間、学校にも行かずに毎日ブルーズばかり歌っていた。

あの頃の俺はブルーズに夢中で、アメリカに来たのも、黒人の家にホームステイしたのも、そうすれば何かをつかめるんじゃないかと思ったからだ。そうでなければ、こんな何もないど田舎に住むものか。

あの頃は何回歌っても、ママに「あんたは技術的にはいい線行ってる。でも、ブルーズの心が分かってない。」と言われたものだ。俺はそれが悔しくて、何度も何度もレコードを聞いて、何回も歌詞を読み直したものだ。

歌い終わると、皆が拍手してくれた。俺は、少しはうまくなったのかな。

「あんたのジャパニーズ・アクセントは相変わらずね。」

ママが微笑みながら言った。そして、こう続けた。

「あんた、明日から街に出て路上で歌ってきなさい。」


元々何かあてがあってここに来たわけじゃない。ただ何となくママに会いたくて来ただけだ。

来たからと言って特にする事もなくぶらぶらしているだけだから、歌うのも悪くない。

日本じゃ路上ライブなんてのは若い子の特権みたいなもんだが、ここならどうせ俺を知ってる奴もいないしな。

この歳になって人前で歌うなんて思ってもいなかった。もう歌わなくなって何年経つだろう。

会社で働いていた頃も、カラオケだけは頑固に断り続けていた。別にそれに意味はなかったけれど、一度は本気で歌を志して、それを途中で投げ出してしまった心の傷ってやつかな。でも、俺は所詮中途半端なダメ人間だから、どうせ投げ出さなくてもモノにはなりっこなかったけどな。

それにしてもママはなんであんなことを急に言い出したんだろう。人前で歌って練習しろって意味なのか、恥かいてうまくなれって意味なのか。それとも、毎日家にずっと居られても困るから、ちょっとは表に出なさいって意味なのか。

まあいい。しばらく忘れていたけれど、確かに俺は歌ってさえいれば幸せなのは確かだ。

残り少ない命、楽しく過ごせそうだ。

それにしてもこのギター、弦は張り替えてあるけれど埃は一切掃ってない。明日からまた俺の相棒になるんだから、こいつを綺麗にしてから寝るか。



さて、ママの口車に乗って街まで来たのはいいものの、俺は一人で路上ライブなんてやったことないぞ。どこで何をどうすりゃいいんだ?

なんだか皆俺をじろじろ見るな?俺、どこか変かな?あ、変だわ。今ここ歩いている人間で肌が黄色いの、俺だけだ。しかもギターを裸で持ってる。いかにもこれから歌いますって感じだ。

黒人しかいない街に東洋人のおっさんが一人でやってきて何をやるんだ、とか思ってるんだろうな。

やばい、目つきの悪い集団がいる。目を合わせちゃダメだ。見てみろよ、あいつの腕。俺の胴回り位あるぜ。あんなのに絡まれたらお終いだ。残り少ないとはいえ、俺はまだ命が惜しい。

もっと人の少ない所に行こう。いや、何言ってんだ、俺。人がいない所で歌ってどうする。でも、怖いんだよ。若い頃は平気だったけど、この歳になってこういう環境に居るとやっぱり怖い。

別に黒人を差別してるんじゃないんだよ。日本でもそうだ。今の若い奴は何を考えてるか分からんからな。何もしなくてもいきなり襲い掛かってくる。

一度オヤジ狩りってのにあったことがある。あいつら、面白がってやるんだな。さんざん殴られ蹴られした挙句、財布ごと持って行かれた。それ以来、若い奴がたむろしているところには近寄らないようにしている。

この辺がいいかな。ここなら結構明るいし、いざとなっても人目があるから殺されるようなことはないだろう。


俺はギターを持って歌いだした。もちろん、誰も聞いていない。ただがらんとした道路に向かって一人で歌っていた。二〜三曲歌うと立っているのが辛くなった。何だよ、俺はこんなに体力がなくなっていたのか。近くに捨てられた箱があったのでそれを持ってきて座った。こりゃあいい。これならもうしばらく歌っていられる。

結局その日は一人の観客もないまま終了した。

次の日も、あくる日も同じだった。

四日目、いつものように一人で歌っていると、酔っ払いらしき一団が近づいていた。ちょっとやばいかとも思ったが、特に何もしてくるわけでなく、ちょっと離れたところから俺の方を見ている。しばらく聞いていた後、誰からともなく帰っていったが、その間際、一人が俺の方に何かを投げた。暗くてよく見えないが、石でも投げられたのか。でかい奴だったら当たったら痛いな。ああ、違う。これは二十五セント硬貨クォーターだ。

俺にはその意味が分からなかった。馬鹿にされて嫌がらせされているのか、チップとしてくれたのか。

まあいい、いい方に解釈しておこう。俺が始めて歌で稼いだ金だと思おう。

帰ってからそのコインに穴を開けて首からぶら下げた。



そんなことがあったのもその日だけで、それからは誰も観客がいないまま何日かが過ぎた。

そして十日くらいたった時だ。いつもの場所に向かって歩いていると、知らない男に声を掛けられた。

「お前、まだあんな所で歌ってるのか?」

「・・・誰だっけ?」

「あそこはやめとけ。客なんて誰も来やしないぞ。」

「・・・誰だっけ?」

「大体あそこはな、ちょっと先に行くとドラッグの取引場所があるんだ。だから、まともな奴はあそこには近づかない。」

「・・・誰だっけ?」

「俺がもっといい場所を教えてやる。今日からそこで歌え。」

「そうか、ありがとう。で、お前は一体誰なんだよ。」

話し振りでは俺のことを知っていそうだが、俺はこいつを知らない。知らない奴の言うことをそのまま聞くのは何となく嫌だった。

「お前の歌を聞いた奴がそんなに沢山居るのかよ。二週間くらい前、クォーター投げてやったろうが。」

「ああ!あれがお前か。まだ持ってるぜ、そのクォーター。」

俺は胸にぶら下げたコインを出して見せた。

「お前、面白いことする奴だな。案内するよ。ついて来い。」


「この辺だ。どこかその辺の空いてるところで歌え。」

なるほど。この辺なら人通りもあるし、商店も皆閉まっているから商売の迷惑にもならない。それに、一定の間隔を置いてミュージシャンが立っている。

街の反対側ばかり見ていたが、こちら側にはこんな場所があったのか。

「ところでお前、名前は何て言うんだ?」

「リョウだ。」

「リョウか。俺はBB。皆に紹介してやるよ。」

BBはこの辺では顔が効くらしい。

「あの、前もって言っておくけど、俺、場所代とか払えないぜ。」

「馬鹿、お前なんかから金取れるかよ。ま、稼いだらメシでもおごってくれよ。」

紹介が終わると俺は適当な箱を見つけ、そこに座って支度を始めた。

「どうしてお前は立って歌わないんだ?」

「生憎と体力がなくてね。立って歌うと三曲が限度なんだ。」

やはりここは場所がいいらしい。歌っていると結構皆立ち止まって聞いてくれる。と言っても、その半数、いや、殆どが黄色人種がブルーズを歌うのが珍しくて立ち止まっているだけだが。

どうやらBBもその一人らしい。

「なあお前、中国人か?」

「日本人だ。」

「日本人だって?金持ちの日本人がなんだってこんなとこで歌ってるんだ。日本人が行くのはディズニーランドかラスベガスかニューヨークだろう。」

「日本人にも金持ちじゃない奴は居るんだよ。」

「なるほど、確かにそうらしい。」

「大きなお世話だ。」

「金持ちじゃない日本人を見るのも初めてだが、ブルーズを歌う日本人を見るのも初めてだ。まあ、どっちにしても日本人を見ること自体初めてだがな。」

「俺は初めて本物の黒人を見てから四十年近く経つし、ブルーズを歌うようになって三十年近く経つよ。」

「なるほど。どうやらそれは出まかせじゃないらしい。じゃ、少し一緒にやるか?」


BBはどこかから見つけてきた空き缶を前に置くと、ポケットからハーモニカを取り出した。

「その缶、どうするんだ?」

「まあ、見てろって。」

俺のギターに合わせてBBはハーモニカを吹き出した。こいつ、かなりうまい。

ところが、そんな事で驚いている場合じゃなかった。

こいつの歌声を聞いて鳥肌が立った。

話し声からは想像もつかない、しゃがれているのに艶があり、何より魂が震えるような声なのだ。

ああ、ブルーズって、こういう事なのか、と思った。魂と、血に染み込んでいるものが違うのだ。俺たち日本人はどんなに頑張ってもそこには到達できそうにない。三十年歌ってきていても、BBのようなその辺のあんちゃんにすら全然かなわない。

「何やってるんだ!お前も歌え!」

BBの声で我に返った。そうか、俺も歌わなきゃ。聞き惚れてる場合じゃない。

ところが一緒に歌ってみると、いい感じで声が絡むことに気が付いた。

声質が合っているのか、それともBBが合わせてくれているのか。

どっちでもいい。歌っていて気持ちがよかった。

いつの間にか観客が増えていた。黒山の人だかりと言ってもいいくらいだ。

そうか、こいつらもみんなBBの歌の素晴らしさが分かるんだな。

誰からともなく空き缶にチップを入れていく。あっという間に缶は一杯になり、入りきらないコインや一ドル札があたりに散らばっている。

BBが俺に目配せをした。目が、空き缶はこのために置いたんだよと言っていた。


何曲か歌って、BBが「Thank You !」と言って終わりにした。

ものすごい歓声だった。皆BBの力だ。こいつ、すごい。

でもちょっと待て。観客は俺に向かっても叫んでいる。そうか、俺も少しは認められたのか。

BBが話しかけてきた。

「楽しかったな。」

「ああ、楽しかった。でも、お前、すごいな。あんなに歌がうまいとは思わなかった。」

「こう見えても、俺も生まれた時からブルーズを歌っているからな。」

「そうか、そうだな。やっぱりブルーズは黒人のものなんだな。俺たちみたいな余所者がどれだけ頑張ってもかなわない、今日それを思い知らされたよ。」

「いや、お前はこのままずっと歌い続けろ。」

「ああ、でも、俺はやっぱり日本人だからな。」

「日本人でもいい。歌い続けろ。お前にもその意味がいつか分かる。」

BBとはそこで別れた。またいつか一緒にやることがあるだろうか。願わくば、死ぬ前にもう一度くらいはやってみたいが、俺には時間がない。多分叶わぬ望みだろう。

ちょっと興奮したまま家に帰った。

その夜、血を吐いた。



それからというもの、俺は毎日その場所で歌った。

BBのおかげなのか、その場所はいつも俺のために空いていた。多少遅れて行く日があってもだ。

観客も少しづつ付きはじめ、歌うことに張りが出てきた。楽しかった。

しかし、そうしている間にも癌は確実に俺の体を蝕んでいた。

血を吐いたあの日以来めっきり体力が落ちたし、メシも喉を通らなくなってきた。

鏡を見たら目に見えて痩せているし、最近では血を吐いても驚かなくなった。

体のあちこちが常に痛かった。

毎日歌うことが辛くなり、三日に一回くらいは遅く行ったり早めに切り上げたり、時々は休むこともあった。しかし、歌うことをやめなかった。

残された時間が短いであろう事は感じていたが、楽しければそれでいい。

所詮俺なんかが頑張ってみたところで何かを残せるわけでもないし、そんなに大した人間でもない。

俺が死んだところで世の中は何も変わりはしないし、どこにでもいるような人間が一人居なくなるだけだ。

変な気負いもなかったし、悲壮感なんてのもなかった。ただ毎日が同じように、予定通り流れていた。

やがてカレンダーを見て気づいた。

安田に会った日からもう半年以上過ぎている。半年と言われた寿命を、もう過ぎている。

すごいじゃないか、俺。

まだやりたいことは沢山あるけれど、多分もう十分生きたのだろう。

後はいつ逝ってもおかしくない。

こういう時は、「後はせめて精一杯」とか「生きた証を」とか言うんだろうが、端から戦うことを放棄した俺が言えるセリフじゃない。安田にも結局嘘をついちまった。やっぱりダメな人間はどんなことがあってもダメなんだな。人間なんて、そう簡単に変われるものじゃない。


自暴自棄にもなれず、かと言って残された命を何かに燃やすこともせず、毎日を惰性で生きている俺にも、死は確実に近づいていた。

いつかは弾が出るロシアンルーレットをやり続けるに等しい、と言う言葉があるが、俺の場合はあの世に向かって、しかも途中でレールが切れているジェットコースターに乗っているようなものだ。

降りることは出来ないし、乗り続けていればいつか必ず死ぬ。しかも、すごいスピードでそれに近づいている。人は消極的自殺と言うかも知れないが、自分で選んだわけじゃないし、気が付いたら乗っていた。しかも、どうあがいたところで結局降りられないのだ。多少治療をしてみたところで気休めに過ぎず、延命を施してみてもそれほど残された時間は変わらないだろう。いずれにしても、治療だけで時間が過ぎていくのは嫌だった。面倒くさかった。頑張っても、どうせ結果は同じなのだ。

ならば、無駄な努力はしたくない。この期に及んでも、俺はそういうショボイ人間だった。


ちょうど街に年に一度の祭りの季節がやってきた。他に何も娯楽がないようなこの街だけに、市民はこの祭りを結構楽しみにしているらしい。

移動遊園地やゲーム、展示会、食べ物屋、聞いた事がないような名前の歌手などがやって来ることになっているが、その一角で俺のような自称ミュージシャンでも参加できるライブがある。事前登録制だと言うので一応名前を入れてみたら、俺も歌えることになった。ひょっとしたらBBも名前を入れているかな、とも思ったが、名簿を見ても名前はなかった。

俺の順番は二日目の午後四時から。いつも路上で歌っているのに比べると随分早い時間だが、多分くじ引きで決めたのだろうからしょうがない。会場には出演時間の三時間前に入ってくれと言われていたが、俺が着いたのは二時間前だった。準備があるわけでもないし、まあいいだろう。

控え室のようなところに入ってみると、結構知った顔がある。毎日路上で歌っているうちに顔見知りになった奴らだ。もちろん、名前は知らない。こいつら、何とかしてチャンスをつかもうと必死なんだなと思うと、いいかげんな俺自身についてちょっと申し訳なく思った。

何となくタバコをふかしながら時間を潰していたが、何だか今日は体の調子がいいみたいだ。出番まで時間がたっぷりあるのでお祭り会場をちょっとだけ歩いてみたが、足取りも軽かったし、何で作られているか分からない食べ物を屋台で買ってみたりもした。こんな気分は久し振りだった。子供の頃に連れて行かれた日本のお祭りの縁日をちょっと思い出した。


ところが出番が近づいて控え室に戻ってみると、そんな浮かれた気分が吹き飛ぶような場面に出くわした。多分こいつは俺の前の前の出演者だろう。何があったのか知らないが、ものすごいブーイングにあっている。おいおい、ここはアポロシアターじゃないんだぜ。そこまでやらなくてもいいだろう。次の出演者はやりづらいだろうな。頼むよ、何とか俺の番までに客の機嫌を直しておいてくれ。


次の出演者は結構人気のあるバンドらしい。出た途端に歓声が沸きあがった。やれやれ、これなら大丈夫かな。やったのはロックとラップを混ぜたような今流行りの音楽だ。割と演奏もしっかりしているし、ステージパフォーマンスもいい。なるほど人気があるわけだ。しかし逆に俺にとってはやりづらいかもしれないな。これだけロックで盛り上がってしまうと、次にブルーズをやるといつにもましてしょぼく見える。


俺の番が来た。ステージに上がってみる。

途端に会場が静まりかえった。

あれだけ盛り上がった後にわけのわからない東洋人が一人でステージに上がってきたんだ、無理もない。

会場を見回してみると若い奴が多い。やりづらいなぁ。やっぱり若い奴らはラップとか今風の音楽が好きなんだろう。「何だ、こいつ?」という視線が痛い。あーあ、俺もあのブーイングで責められるのか。だいたい、俺がステージで歌うのって何年振りだ?本当に歌えるのか?見てみろ、足が震えてるじゃないか。今頃言うのもなんだけど、大丈夫なのか、俺。

とりあえず歌ってみるか。ブーイングに耐えられなくなったら逃げ出せばいい。

一曲目。

ちょっと様子を見てみるために、古い有名な曲をやってみる。この歌ならこいつらでも知ってるだろう。

おいおい、どうしよう。まったく反応がないよ。ひょっとして知らないのか、それとも俺の歌がダメなのか。

曲が終わっても何の反応もない。とりあえず、義理でも拍手は普通するだろう。何だか気持ち悪いな。ひょっとして無視されてるのか、俺。いくら余所者でも、そこまで冷たい街じゃないはずだけどな。

ブーイングされた方がまだ気が楽だよ。まあいい、それなら好きなようにやらせてもらおう。俺が歌って気持ちいい曲を歌わせてもらう。客の反応は無視だ。ちょっとだけ、逃げ出す準備もしておこう。

二曲目。この曲はマニアックだから知らない奴の方が多いかもしれないな。でも俺が好きな曲の一つだ。

それにしても今日は体の調子がいい。調子が悪い時には出づらい声も簡単に出る。調子が悪かったら、行ける所まで行ってステージを降りる積りだったが、立ったまま歌い続けるのは無理だけど最後まで行けそうな気がしてきた。

二曲目が終わった。相変わらず反応はないが、ステージで歌うのはやはり気持ちがいい。もうMCなんてやってられない。歌いたいだけ歌ってやる。

三曲目に入って、急に客席が爆発した。爆発と言ってももちろん爆弾のことではなく、今までまったく反応がなかった客が、急に一斉に弾けたのだ。

おお、何だ何だ!?

しばらくはそれがブーイングなのか歓声なのか分からなかった。

しかし、それは、歓声だったのだ。

おお、そうか。こんなわけの分からない東洋人のブルーズを聴いてくれるのか、お前ら!

こんな田舎町のちっぽけな祭りのステージだけど、俺にとってはマジソンスクエアガーデンで歌っている気分だ。最高に気分がいい。お前たちも一緒に歌ってくれ。

そして六曲目を歌っている途中で目の前が真っ白になった。


「気がついたわね。」

「やあ、ママ。」

俺はママに膝枕されていた。

「俺、何で家に居るの?」

「あんた、ステージで倒れたんだよ。だから、皆で連れて帰ってきたの。」

「そう、でも、こういう時は普通病院に行くんじゃないの?」

「あんただって家の方がいいでしょ?」

「ああ、病院なんて行きたくない。」

自分でも分かった。最後の時が来たと。病院なんかで息を引き取るのはまっぴらだ。

「よう。」

BBが居た。

「何でお前が居るんだ?」

「俺さ、・・・。」

そこまで言ったところでママがさえぎった。

「この子はあんたとちょうど入れ替わり位でうちに住んでたんだけどね、あんたと同じで出たっきりで音沙汰無しさね。久し振りに会ったと思ったらあんたを担いでるし。それより、どうしてあんた達お互いを知ってるんだい?ここで一緒に住んでたことなかったろ?」

「まあ、ちょっとね。顔を合わせなくても、ブラザーはブラザーさ。」

「最初はお前をブラザーだとは知らなかったよ。俺は今音楽プロデューサーやってるんだけど、へたくそなブルーズを歌う面白い東洋人を見つけたんで、次に売り出せるかと思って興味を持ってたんだ。」

「それはそれは。でも、残念ながらもう俺をプロデュースするのは無理みたいだぜ。ところでBB。」

「?」

「俺もおまえのおかげで、ホットドッグくらいなら奢れるくらいは稼いだぜ。いつがいい?」

「そうか。でも、貧乏な上に病人のお前に奢ってもらうのは気が引ける。貸しとくよ。」

「そうか。貸しといてくれるか・・・。」

多分この借りは返せそうにない。


「ところでママ、俺はママに隠してたことがある。」

「何だい?」

「実は俺、癌なんだ。しかも、手遅れな上に、すでにタイムリミットを過ぎてる。」

「知ってたよ。と言っても癌だとはっきり知ってたわけじゃないけどね。あんたの顔色と痩せ方を見てれば分かるよ。だからここに帰って来たんだろう?最後にブルーズを歌うために。」

「そんなんじゃなかったんだけどね。最初は、どうせ死ぬんならと思ってママの顔を見に来ただけだったのさ。そしたら、まんまとママの策略にはまって歌うことになっちまった。でも、よかったよ。最後のステージは気持ちが良かった。ママには、俺はブルーズの心が分かってないと言われたままだけど、俺は俺なりに満足してる。」

「そうなのかい、ママ?だって、こいつ、・・・」

「ああ、BBはリョウの昔の歌を聞いたことがないからね。いいかい、リョウ、よくお聞き。あんたは昔に比べてテクニック的には全然下手になってる。だけど、ブルーズの心は分かったようだよ。」

「ああ、おまえ、へたくそだけどブルーズは分かってるようだぞ。歌い続けろって言ったのは、そういうことさ。」

「そうか。死ぬ時になって、俺にもやっとブルーズの心がわかったか。これでもう思い残すことは何もない。でも、ちょっと遅すぎたかな。俺にはもうブルーズは歌えそうにない。」

「遅すぎるなんて事があるもんかい。ブルーズマンとして死ぬのと、そうでないのとでは、おまえにとっても意味が全然ちがうだろう。」

「ブルーズマンとして死ぬ、か。そうか、そうだよな。俺は日本人として生まれたけれど、ブルーズマンとして死ねるんだな。何も残せるものはないけれど、それで十分だ。大した人生じゃなかったけれど、楽しかったよ。生まれ変わってもまたママの子に生まれたいな。」

遠くからマディ・ウォーターズが聞こえてきた。

ママとBBが何かしゃべっているが、俺の耳にはもう何も聞こえなかった。


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[一言] グッドストーリー次回作にも期待
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