表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でアトリエ始めます。  作者: 小雪
第一章:序章
8/18

港町コーネリア

少し文章を変更しました3/12

俺は馬鹿で世間知らずだった。

今まで姉ちゃんに世話になっていたから自分でお金を稼いで姉ちゃんを助けるんだって思った。

だから冒険者になりたかった、冒険者になってお金を稼ぎ姉ちゃんが行商に行く時には俺が守りたかった。


アスナに初めて会った時、俺は綺麗だとは思ったが強そうだとは思わなかった。家で働いてる時もアスナは冒険者って感じではなくて可愛い女の子以外には見えなかった。


俺はアスナが家に来たのは弱くて冒険者を続けられなかったのだと思い、俺も冒険者なれるなんて勘違いをしてた。


荷台に押し込まれ震える姉ちゃんに守られて情けないと思った、だって俺以外全員女なんだぜ。女に守られてるだけなんて嫌だ、だから俺は馬車から飛び出す、後ろから姉ちゃんの声が聞こえたけど無視して飛び出す。俺の目に飛び込んで来たのは傷だらけのアスナだった。


アスナは傷だらけになっても戦っている、そして俺は初めて戦う事の現実を知る。生き物の焼ける臭い、血の臭い、激しく響く剣と鎧に魔物の叫び。

俺は咄嗟に石を拾って投げるが魔物に効く訳ない、襲い掛かる魔物の爪が妙に綺麗に見えて俺は死を覚悟する、だが俺は死ななかった。姉ちゃんが庇ってくれていたから。


血塗れで倒れる姉ちゃんを見て俺は自分が無力なのだと理解した、戦えもしない傷を治す事もできない今俺に出来る事は何もない。俺はただアスナに頼る事しかできなかった。俺は弱いきっと同年代のヤツよりも圧倒的に弱いだから俺は強くなると誓った。自分も姉ちゃんも守れる強さ、それが冒険者としてなのかは解らないが馬車を走らせながら何でもやると覚悟を決めた。





俺達は医者、ではなく治癒術師の人に傷を治してもらいレジーナさんの治療が終わるのを待っている。

どれ位時間が経ったのか、治癒術師の人が部屋から出てくる。如何やらレジーナさんは無事のようだ、暫く安静にしてれば元通りになると言ってくれた。俺は疲れて椅子に座る、本当に良かったと涙が溢れた。



その後はサヤが心配するので近くの宿を取り2~3日休む事に決めた。

ベットで休んでるとソフィが依頼は完了しましたと囁く、俺は倦怠感に身を任せ眠る事にした。


『アスナ、アスナ』

「うぁ……何ぃソフィ?」

「サヤが心配して何度も来てるよ。」

俺はベッドから起きてサヤの部屋に行く。

「サヤー、居る?」

ドアをノックしながら呼ぶと中からドタドタと音がしてサヤが飛び出して来た。

「アスナ、もう大丈夫なの!?」

「大丈夫だからサヤ落ち着いて。」

サヤは落ち着かない様子で俺の顔色や体を確認する。俺はサヤが落ち着くようにゆっくりと時間を掛けて話をした。


普段明るくて元気なサヤだけどこんな顔もするんだな。俺は少し躊躇ったがサヤを抱き締めて頭を撫でてあげる、子供っぽいかなと様子を窺うがサヤは嫌がらず身を任せる、落ち着いてくれた様だ。



翌朝サヤと酒場で食事を取り今後の予定を話していると一人の男性が声を掛けて来た。

「おはようございます、お嬢様方。」

綺麗な金髪に整った顔立ちの男は挨拶をして俺達の傍に立つ。

「おはようございます、何処かで御会いしましたか?」

「いえ、初対面に御座います。自分の名はルーク、情報屋を営んでおります。」

「情報屋が何であたしらに声掛けてくるわけ。」

サヤが訝しげにルークと名乗る男に問う。


「御二方は先日街道でハーピーを倒した冒険者なのでしょう。」

「何でその事を知ってるんですか?」

「情報を扱うのが仕事ですからね。」

ルークはそう言いながら俺達に相席してもいいかと目で訴える、俺はルークを警戒しながらも相席を認めた。


「それで私達に何の用ですか。」

「単刀直入ですね、私は貴女方に興味を持ちまして、ぜひ一度話をしたいと声を掛けさせて頂きました。」


ルークの話は簡単にすると俺達の噂がこの街にまで届いていて興味を引かれた事、今回のハーピーの件などだ。噂の内容は二人組の美少女冒険者とかドラゴン連れのエルフとかプルンプルン……など後半は如何でもいい物ばかりなので以下略。


ハーピーの件は俺達が門番の兵に事情を話したりしたせいらしいが門番の口軽いな。兎に角顔と名前を覚えて貰いたかったとの事だ、本当の所は如何か解らないが情報屋と知り合いになったのは良かったかなと思う事した。


ルークが酒場を出て行くと、サヤが注意した方がいいと顔を近づける。

「何か胡散臭い感じがする。」

確かに否定はできないけど俺の想像だと情報屋なんてそんな物じゃないかなとも思う。俺は気にしても仕方ないとサヤを宥め水を飲みほした。



レジーナさんの病室に行くとロイが疲れて眠っていた。俺達は二人を起こさない様にお見舞いの果物を置いて病室を後にした。


「あの人暫くは安静なんだよね。」

「そうだね傷は魔法で治ってると思うけど。」

二人で歩きながら酒場でも話した今後について話す。

「暫くはこの街に滞在する事になるよね。」

「うん、レジーナさんが動けるようになったら帰りの護衛もしないとダメだからね。」

「安静にしてる間あたし達は如何しよっか?」

「う~ん、護衛の依頼は継続中だから他の依頼を受ける訳にもいかないしな。」

悩んでいるとサヤが楽しい事を思い付いたと手を叩く。

「カジノに行こう!」

俺はその言葉を聞いて凄く嫌な予感を感じた。



この港町にはカジノがあり船乗りやアペリティフから来た商人が賭け事に興じている。サヤはこの街のカジノは有名で一回来たかったのだそうだ。

俺は興味がなく見るだけにしようと決めた、だってこんなの胴元が損しないように出来てる物だ。


サヤはお金をチップにするとルーレットのテーブルに座る。元いた世界とあまり変わらないなと思いながら様子を見る。

「見ててねアスナ、今日のご飯は豪華になるよ!」

何処からその自信はくるんだと呆れたがサヤらしいと頬が緩む。


サヤのやり方はひたすら赤に賭け続けるだけ、最初は意外と当たっていたが段々負け始め最後は手持ちのチップを全部持ってかれた。

まぁ予想道理だけど、俺は落ち込むサヤを余所にバニーの格好をした美女に目を向けていた。だってバニーさんなんて実物初めて見たんだもん。



落ち込むサヤに今日は俺が奢って上げるからと元気づけてカジノを出て宿に戻るとロイが宿の前で待っていた。

「ロイ!レジーナさんは?」

「アスナ、姉ちゃんが目を覚ましたんだ来てくれ。」

俺達は病室に急いで駆け込むと元気そうなレジーナさんが手を振っていた。


「もう大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫だよこの程度、それよりアスナが怪我を治してくれたんだってね。」

「いえそんな、応急処置をしただけです。」

「術師の方に聞いたけどアスナが回復魔法を使わなかったらあたしは死んでいたらしいしね。ありがとうアスナ。」


レジーナさんが頭を下げる、俺は如何したらいいか解らず狼狽した。

だって俺がもっと上手くやっていれば誰も怪我しなくて済んだかもしれないのに、俺の考えが顔に出たのかレジーナさんが頭を小突く。

「あんたは良くやったよ、アスナのお陰であたしはまだ生きているしロイも無事だったんだからね、自分を責める必要なんてない誇りなさい。」

俺は本当の意味で神様の依頼を無事成功できたのかなと安堵した。



その後レジーナさんに行商に来たのは工房で作った装飾品などを売る為で

露店を開くつもりだったと説明されたが、その後俺にロイと一緒に露店をして装飾品を売ってくれないかと相談された。行き成り言われても無理だと思ったがレジーナさんとロイに頭を下げられたら無理なんて口が裂けても言えず引き受ける事になった。


露店で商売か、何時かは自分でやりたいと思っていた事だけど今やる事になるとはね。その日はロイと話しながら露店の計画を立てるが上手くいくのか気掛かりだ、何か良い案はないかと考えて情報屋の事を思い出す。ルークなら何か役に立つ情報を知ってるかも知れないと俺は明日にでも酒場に行く事にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ