レジーナ
少し文章を変更しました3/11
レジーナさんのお店で今回も掃除に店番を任され中。
何時かは装飾とか教えて貰えるのかな、実際に作る手伝いをして工程を覚えたいけど手取り足取り教えてくれる感じではないよね、工房の掃除の時にでも見れたらな。
「アスナは普段冒険者やってんのか?」
「そうだよ。」
「いいな~冒険者、俺は本当は冒険者になりてぇんだ。」
ロイは冒険者になりたいのか、きっとレジーナさんが許さないのかな。
「許さないよ冒険者なんて!」
「姉ちゃん!」「レジーナさん!」
レジーナさんが怒った顔で立っている。
「冒険者なんて命がいくつあっても足りないよ。」
そうだよねこれは現実、死んだら終わりなんだよね。その後も二人の喧嘩は続いた。
昼が過ぎた頃レジーナさんに工房に呼ばれる、もしや教えてくれるのかな。
「何でしょうか?」
言い難い事なのか眉間に皺が寄る。
「ロイに冒険者の話しをするんじゃないよ。」
なるほど俺に釘をさそうと呼んだのか、確かに冒険者なんて人に勧められる職でもないよね。
危ないしガラの悪い人が多いし、でも態々言うなんて弟思いの人だな。
「分かりました、以後気を付けます。」
話は終わりだと仕事を再開する、話はこれだけか。
「姉ちゃんに何か言われたのか?」
「別にたいした事じゃないよ。」
ロイはその後も冒険者の事を聞きたそうだが特に訊いてくる事はなかった。
宿に帰り温泉を堪能しながら考える、ロイは何で冒険者になりたいんだろ、別に工房の仕事が嫌って感じでもないのに。そういえば二人の両親に会った事ないな、一緒に住んでないのかな。今日はさっさと寝ようと布団に入る。
朝、ソフィが騒ぐので目を開ける。
「如何したのソフィ?」
『神様から伝言が来てるよ!』
神様から!俺は飛び起きてソフィに内容を訊いた。
「この世界を楽しんでいるようじゃな、実は其方の知り合いの姉弟じゃがな、一週間後に死ぬ。内容としてはこれから三日後、姉弟がギルドに護衛の依頼を出す、依頼は此処から港町までの護衛でランクはE。
一週間後に集まった冒険者達と港町に向かう途中ランクCのハーピーに遭遇して全滅じゃ。」
全滅……寝起きの頭はうまく働かない。
「二人を救いたければ三日後、朝一でギルドに行き依頼を受けろ、受けるなら前払いとして25Pやる。成功したら残り25Pじゃ、受けるか受けないかは自分で判断せぇ、ではな後は見習いに訊け。」
「以上が神様からの伝言です。」
俺はその後天使様に訊きハーピーは普段港町までの街道には出ない事、現在の能力では返り討ちに遭う事を聞いた。
「如何すればハーピーを倒せるんだ?」
「残念ですが今回はアスナが自分で考えて行動するように神様に申し付けられています。」
「なんでいきなり……」
「今云える事は今回やるもやらないも全てアスナの自由である事、やる場合は前払いの25Pが鍵になるでしょう。」
どうする?受けるか受けないか・・・・
バカか俺は!!!受けるに決まってるだろ、知り合いが死ぬって分かってて見過ごせるか!
「受けるぜ、その依頼!」
「畏まりました、では前払いの報酬です。」
メニューに25P入った事を確認して一階に下りた。
「難しい顔して何かあったの?」
俺はサヤに一週間後に今の実力では厳しい依頼を受ける事を神様の話しの部分は抜かして説明した。
「つまりアスナが働いてるお店の護衛依頼を引き受けるって事ね。」
サヤは俺が隠し事しながら話してるのに気付いてるような気がするが今は何も聞かないでいてくれるのがありがたい、最悪サヤだけでも逃がさないと。
「じゃあ一週間後の護衛に合わせて準備をしとかないとね。」
「ありがとうサヤ。」
俺は精一杯の感謝を込めて頭を下げた。
1日目は迷宮に行き可能な限り魔物を倒す。
2日目は工房に行き手伝い、ロイにそれとなく行商について訊くと、昨日商人が来て5日後に港町まで行商に行く事が決まったらしい。ロイは俺も行きたいのにと不満顔だ、神様の話しだと二人とも死ぬみたいだし、これから説得するのか、黙って付いて行くのだろう。
3日目、朝一で依頼を受けに行く、支部長は朝一で依頼を受けに来た俺を訝しんでいたが今はどうでもいい。
4日目、前払いのスキルの振り方に悩みサヤと一緒にギルドに行く。支部長にハーピーと戦う場合の狩り方を訊くとお前らにはまだ無理だと笑われたが一応狩り方を訊けた、また訝しげられたが仕方ない。
5日目は覚えたスキルを使うため迷宮に行く、移動が面倒なので入口前でテントを張り寝る。
6日目も迷宮を探索、疲れを残さない程度に魔物を倒して昼過ぎには宿に帰りメニューを確認する。
アスナ=レイテス (女) 15歳
種族 エルフ
称号 戦士
Lv 12
アビリティ 0P
技能 剣術Lv20 体力増加Lv12 精神増加Lv5 体力回復Lv8
戦闘速度Lv12 回復魔法Lv10 鑑定眼Lv10 補助魔法Lv1 細工Lv1 接客Lv1 投擲Lv10 火魔法Lv15 鷹の目Lv5
体力 ???
精神 ???
力 23
魔力 34
敏捷 25
器用 28
魅力 80
投擲で飛んでるハーピーを撃ち落とす、弓でもよかったが近付かれると厳しいので剣で近接、投擲で遠距離をカバーできればいいが不安だ。失敗すれば皆死ぬかもしれない。俺は気分を変えようと温泉に行くとサヤがいた。
「アスナ、こっちこっち!」
サヤは何時でも元気だな、俺は自然と笑顔になる。
「いよいよ明日だねアスナ。」
「そうだね。」
「顔が暗いよアスナ、大丈夫何とかなるよ。」
本当にサヤの性格は羨ましいな、俺も見習わないとな。
「そんな暗い顔のヤツは、こうだ!!」
「え、きゃっ!」
サヤが抱き付いて全身を擽ってくる。
「やめっ、あはははっひゃっ!!!」
サヤの御蔭で落ち着いた、明日はサヤもレジーナさんもロイも絶対に守って見せるから。
7日目、いよいよ今日だ!俺は気合いを入れてベットから起きる。
『おはようアスナ。』
「おはようソフィ。」
ソフィはそれ以外何も言わないけど応援してくれてると思う。
街道の入り口でレジーナさん達と顔合わせをする。
「今回の護衛を引き受けた【妖精と竜の旅人】です。」
「アスナ!あんたが護衛を引き受けた冒険者だったのかい。」
レジーナさんは驚き目を見開くが今更ギルドの正式な依頼を変更する事は出来ないのでそのまま出発した。
「あんたが冒険者だって事は知ってたけどまさかこうなるとはね。」
御者のレジーナさんと話しながら辺りを警戒する。鷹の目の御蔭で遠くまで見渡せる。
「レジーナさんに訊きたい事があるんですが……」
『誰だ!?』
後ろでサヤが叫び荷台の布を剝がす!
「どうしたのサヤ。」
サヤの所に行くと荷台の中にロイが隠れていた、やっぱり隠れて付いてきたんだな。
「ロイ!あんたは家で留守番してろってあれほど言っただろうが!!」
「俺だって一緒に行けるよ姉ちゃん!」
二人は大声で喧嘩を始める、俺は外を警戒しながら聞いていた。
「どうしてあたしの言う事が聞けないの!!」
「俺は親父達の時みたいに何も知らずに姉ちゃんを危ない目に遭わせたくねぇんだよ!」
「ロイ……」
二人の両親てもしかして、そんな事を考えていると遠くの空に飛んでいる物が見える。
「サヤ、警戒して!レジーナさん魔物かもしれません」
俺が声を出すと二人は大人しく俺の指示に従う。
馬車をゆっくり走らせ近づく物を見る。最初は鳥かもしれないと思ったが鷹の目のおかげで飛んでいるのはハーピーだと分かった。
「二人は馬車を止めて荷台の中に隠れてください!」
「俺も戦うよアスナ」
「ロイ!アスナの指示に従いな!」
レジーナさんが無理矢理ロイを荷台に押し込む。
「サヤ、私達で二人を守るよ。」
「まかせなさいってアスナ。」
俺達は馬車から少し離れた所でハーピーを待つ。
射程内に入る少し前の所で火魔法を使う魔力を制御する。射程内まで近づいて来た所に『ファイヤーストーム』を放つ!
「ギャァァァァァアアアアアアアア!!!」
焼かれたハーピーが雄叫びを上げながら地上に落ちた。
「サヤお願い!」
「わかってるよアスナ♪」
落ちたハーピーの羽をサヤが斬り落とす。俺はその間に魔法から逃れた2匹をダガーを投げ撃ち落とす。
ヒュヒュヒュ!
同時に投げた三本の短剣はハーピーを一匹撃ち落とす事に成功するが、別のハーピーの接近を許してしまい、俺は咄嗟に剣で防御するがハーピーの足の爪は頑丈で鋭利に尖っている、肩の肉を少し抉られたが致命傷は避けられたようだ。
「痛っ!痛みがあると現実味が増すね。」
俺は自虐的に呟くと落ちたハーピーに斬りかかるが飛んでいるハーピーの動きが速い!後ろから猛スピードで襲い掛かる。咄嗟に横に飛び爪を避ける。危なかった遅れたら掴まれて終わってたね。
俺は飛んでるハーピーに注意しつつ羽を傷めた方にダガーを投げる。羽をやられて身動きが取れず、顔と胸にダガーが刺さり倒れた。
もう一匹にもダガーを投げるが躱されてしまい撃ち落とせない。その間もハーピーの攻撃が続き体の彼方此方を爪が抉る。
俺は自分に『ヒーリング』を施して出血を抑えながら、攻撃して来た時を狙い剣を振るう。
サヤの方を窺うと2匹目と戦闘している、サヤなら問題ないだろうと俺は自分の相手に集中した。
その後もお互いに攻撃を続けるが決定打にならない、ダガーも後5本しかないし無駄にはできない。互いに様子を窺っていると馬車からロイが飛び出して来た。
「こっちだ化け物!」
ロイが石をハーピーに投げるがそんな物効くはずがない。
「駄目だ、逃げろロイ!!!」
ハーピーがその強靭な爪で襲い掛かり対象の肉を抉る。
俺は攻撃の隙を衝きダガーを背中と羽に全て投げる、羽に命中して落ちた所に剣を思い切り振り上げて振り下ろす。
『ぁぁぁぁぁああああああああ!!!』
ハーピーの体は真っ二つに分かれて絶命した。
「はぁ…はぁ………ロイ!」
俺はロイに急いで駆け寄ると倒れていたのはレジーナさんだった。
「姉ちゃんなんで俺を……」
「あんたは…死んじゃダメ…ごふっ……生きなきゃ…だ…め…」
「姉ちゃん喋っちゃダメだ!」
ロイが血を抑えようと傷口を塞ぐが止まらない。
「アスナ頼むよ、姉ちゃんを助けて!」
「まかせて!」
俺は回復魔法ハイヒーリングをレジーナさんに掛けるが傷口の治りが遅い、俺は咄嗟にメニューを開くとレベルが2上がってる事に気づき回復魔法に全振りして再びハイヒーリングを掛ける。
レジーナさんの傷口が淡く光り治癒されてゆく、顔色も少し良くなったようだ。
「アスナ、大丈夫なの?」
「大丈夫だと思うけど早く医者に見せた方が…」
「そうじゃなくてアスナは大丈夫?」
俺はサヤが何で俺に訊くのか理解できなかったが大丈夫だと返事をした。
その後ロイが御者をして急いで港町に行き、レジーナさんを医者に見せて俺は床に座り込んだ。