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異世界でアトリエ始めます。  作者: 小雪
第一章:序章
5/18

討伐依頼

文章少し変更しました3/11


俺達は朝から冒険者ギルドに行く。

結構早い時間だと思ったがそれなりに人が居るな。


俺達は受付に座ってるレベッカさんに挨拶をする。


「おはようございますレベッカさん。」

「おはよう、レベッカ。」

俺達がレベッカさんと話をしていると誰かが声を掛けてきた。


「可愛らしい嬢ちゃん達だな。」


話し掛けてきた男は陽気なオッサンだ。身長は180以上ありそうで、筋肉がガッシリ付いた正に冒険者って感じだな。


「おはようございます、アレックス支部長。」


支部長?この筋肉ダルマが……。


「おう、朝早くから頑張るな君達。」

何だか面白い者でも見つけたような表情で此方を見る。


「おはようございます、支部長さん。」

「支部長なんて呼び方はやめろアレックスでいい。」


簡単な挨拶を済ませてアレックスは俺達に質問をする。


「最近冒険者になったのか?」

「そうです。」

「アスナさんは登録して数日で結構な数の魔物を倒してるんですよ。」


俺達はアレックス支部長に扱いてやるとギルドの裏庭に連行される。

凄い力だ、俺もサヤも振り解こうと暴れるがビクともしない。


「俺様がお前らの腕を見てやる、掛かって来な。」

そう言って俺達に木剣を放り投げる。サヤはやる気満々のようだが俺は気乗りしない。


「どっちからでもいいぞ。」

支部長のニヤけ顔が無性に腹が立つ。まずはサヤが支部長と対峙する。

支部長は木剣を肩に掛け余裕の表情でサヤ見下ろす。


サヤが先手を仕掛ける!

支部長は簡単に躱すとサヤの肩目掛けて木剣を振り下ろす。サヤは木剣を受け止めて反撃に出ようとするが斬撃が重く動きが鈍る。


「この程度なのか。」

支部長がサヤを挑発して揺さぶる。ムッとしたサヤが真正面から木剣を素早く打ち込むが全て躱される。


「ちょっとはマシになったな。」

「この筋肉!熊!単細胞!」

サヤが叫びながら木剣を打ち込むが当たらない。筋肉ダルマからは想像できない洗練された動きだ、俺は思わず見惚れていたがすぐに思考を切り替えて支部長を鑑定眼で見る。


アレックス (男) 42歳

種族 人間

称号 冒険者ギルド支部長

Lv 50

体力 ???

精神 ???

力  100

魔力 30

敏捷 75

器用 55

魅力 35


【Lv50!!!】


強いはずだよ、この後俺が挑んでも勝てる訳ないかな。

魔力以外はどのステータスも高い、これが真の冒険者の実力なのか。

そう考えている間にサヤが決定的な一撃を受けて倒れ込んでいた。


「……はぁ…はぁ……強いよー」

「もっと鍛えねぇとな嬢ちゃん!」


支部長は全然疲れてないようだな、次は俺の番かやりたくないな。


「オラ交代だ、次掛かってこい!」

俺は挨拶をすると木剣を構える。今の俺では勝てない絶対に、そこでアビリティPを使って補助魔法を習得してブーストの魔法を使う。


「ほう、魔法が使えんのか。」


支部長が呟きながら木剣を構えて此方を睨む。迫力あるな伊達に支部長なんてやってないよね。俺はブーストの魔法で力が増幅したのを感じて思い切り足に力を貯めて飛び掛かる。


「はぁぁぁぁぁぁっ!」


今出せる最大の速さと力で上段から木剣を振り下ろす。支部長は少し驚くが顔を引き締めて斬撃を受け止める。鍔迫り合いなり力負けして吹き飛ばされた。俺は地面を転がりながら態勢を整える、危うく木剣を落とす所だった。


「なかなかの威力と速度だったがまだまだ甘いな。」


その後はサヤと同じで何度も剣を打ち込むが当てられなかった。


「はぁ…はぁ……」

俺は疲れて地面に座りこむ。

「二人とも情けねえぞ。」

何と言われても疲れて動きたくない。

「まぁ新人としては悪くねぇ、これから俺がビシバシ鍛えてやる!」


俺達は数日支部長に扱かれ続け、終わる頃にはボロ雑巾の様に地面に倒れた。ボロボロの体で宿になんとか戻りメニューを確認すると色々とステータス上がっている、これで変化なかったら泣きたくなるぞ。



ようやく地獄の特訓から解放されて疲れも癒えた頃、サヤがギルドで面白い依頼を見つけたと俺を引っ張って行く。


【 討伐依頼 】

アペリティフ東の森でシルバーウルフの群れを討伐してください。

報酬は金貨20枚、※単独での討伐は禁止。


シルバーウルフね、俺達のレベルで挑んで平気なのかな。単独禁止って書かれる程だから危険な魔物だよな。


「ねえアスナ面白そうでしょ?」

満面の笑みで訊いてくる、全然面白くないよ。


「お前ら二人じゃ無理だな。」

「なんですって!!」

サヤが怒りながら振り向く、そこに居たのは支部長だった。

「なんだアレックスじゃん。」

「呼び捨てかよ。」

二人は結構相性良さそうだな。


「この依頼を受けるのは止めておけ。」

「なんでよ!」

サヤが不満を漏らすが支部長は首を横に振り認めない。

「シルバーウルフってそんなに強いんですか?」

俺が訊くとある程度経験を積んだ冒険者には簡単だが多数の群れとなると駆け出しには厳しいらしい。


なおもサヤが不満をぶつけると条件付きで受けてもいいと渋々認めた。

条件は夜間の討伐はしない事ともう一人PTに同行させる事だ。


「もう一人って誰をですか?」

支部長は明日、朝一でギルドに来いと言って奥に消える。

「誰を連れてくるんだろうな。」

俺達は気になりながらも明日の準備をして今日は寝る。

夜ソフィにシルバーウルフについて訊いたが囲まれなければそれほど強力な魔物ではないと呑気に答える。本当に大丈夫かなと考えながら眠りに就いた。



翌朝、ギルドに行くと支部長とレベッカさん、それにちょっと怖そうな女の人が待っていた。


「おはようございます。」「おはよう。」

「おう、まだ眠そうだな。」「おはよう二人とも。」


挨拶をしながら女の人の様子を窺う、相手も此方をじっと見ている何か顔に付いてるかな。


「紹介するぞ、コイツはエレナ魔術師だ。」

エレナさんは会釈をするとまた俺をじっと見る。何なんだ、俺が何かしたのか。居心地が悪い。


「俺はアスナです、こっちがサヤ。」

「アスナさんとサヤさんですね。」

支部長はエレナがお守りをしてくれると笑っているがちょっと怖そうで苦手だ。

「アスナさん、エレナさんの言う事をしっかり聞くのですよ。」

俺ってそんなに頼りないのかな、その後も準備はちゃんとしたかとか睡眠は十分かなど色々心配された。



東の森へは徒歩で1時間位の場所にある。木々が生い茂って森の中は薄暗い。シルバーウルフは肉や血の匂いに敏感に反応するらしい。エレナさんが準備していた生肉を置き、俺達は茂みに身を隠す。


エレナさんの作戦は肉に誘き寄せられたシルバーウルフを俺達が注意を引いている間に魔法で倒す、シンプルなものだ。

ただシルバーウルフは動きが速く牙や爪も鋭いので注意が必要だ。


罠を仕掛けて1時間ようやくシルバーウルフ達が集まってきた。最初は数匹だったが今は数十匹、エサの肉に喰い付いている。

俺とサヤが近寄り注意を引く、エレナさんが魔法を使うために魔力を高めるとシルバーウルフが反応してエレナさんに集まりだす!


俺は先頭の何匹かを薙ぎ払い、他の注意を惹き魔法の邪魔をしないようにする。数分俺とサヤがシルバーウルフを攻撃して牽制しているとエレナさんが魔法、『ファイアストーム』を放ちシルバーウルフを焼き尽くす。

俺達も危うく焼き殺される所だった、殺す気か!!


「あんたね、あたし達まで殺す気!!!」

「ごめんなさい、大丈夫でしたアスナさん。」

「なんでアスナだけ、あたしはー!」

サヤが怒り喚く、俺も何で俺だけに気遣うのか疑問だった。

「あの何で私にだけ……」


俺が訊くと今までの少し怖い感じから一変して形容しがたい表情を浮かべて俺に抱きついた!


「私可愛い物が大好きなのよ。」

俺は抱きつかれ頬ずりされる、女の子特有の良い匂いしかも柔らかい。

「コラ!アスナに何て事してんのよ。」

「いいじゃない、初めて見た時からずっとこうしたかったんだもの。」


二人が言い合い始める、エレナさんて本来はこんな感じなのかと考えてると呻き声が聞こえる!


俺達が声の方に振り向くと通常の三倍の大きさは在りそうなシルバーウルフが此方を鋭い眼光で睨んでいた。


「デカ!」

サヤが叫び俺とエレナさんは武器を構え身構える!


「来るわよ、二人とも気を付けて!」


大型のシルバーウルフが通常の物よりも早い速度で襲い掛かる。俺はサヤと自分にブーストを掛ける。


「ありがとアスナ。」

「俺達で注意を引くぞ!」

二人で爪を躱しながら足や横っ腹を狙い剣を振るう、俺の剣は攻撃にも防御にも使えるがこの大きさヤツを正面から相手したくない。

サヤの武器は双剣、二刀流だ。俺の様に剣で攻撃を受け止めるよりは攻撃を流しながら素早い攻撃で敵を切り刻む。


俺は渾身の力を込めて大きく振りかぶり攻撃を避けさせる、避けた所を待ち構えていたサヤが双剣で素早く斬りつけ動きを鈍らせる。

そこにエレナの魔法が炸裂する。『ライトニング』稲妻がシルバーウルフに襲い掛かり内側から焼き焦がす。それでも動き悪足掻きをするシルバーウルフの首に俺は思い切り剣を振り下ろす事で黙らせた。


「かなり焦ったよね。」

「この程度私に掛かれば簡単よ。」


「さっさと終わらせて帰ろうよアスナ。」

サヤがさっさと帰る準備をする、サヤとエレナさんは相性悪いのかな。

「お待ちなさい、このウルフはアイテムボックスには入れてはダメよ。」

「何でよ?」

エレナさんの話ではアイテムボックスに入れると大きさに関係なく分類されて通常と同じ素材数になるらしい。

さらに魔物をアイテムボックスに入れて素材に解体すると通常の皮を剥いだり肉を取ったりするのに比べ量が減る。そこだけ聞くとアイテムボックスに入れるのは損に聞こえるが移動しながら戦う冒険者にとって死体を連れていく訳にもいかないのでやっぱり必要不可欠な物なんだと。


なので特別な魔物や大きい魔物はなるべく其の侭持ち帰り、解体をして貰うんだとか。俺達はエレナの魔法『レヴィテーション』で浮かせてギルドまで持ち帰った。



「おお!なかなか立派なシルバーウルフだな。」

支部長が俺達の持ち帰った獲物を見て楽しそうに話す。

「私が一緒に付いて行ったのですから当然の結果です。」


俺は二人が話す横でレベッカさんに顔を拭いてもらっていた。

「二人とも顔が汚れてますよ、せっかくの美人な顔が……」

俺とサヤは照れくさそうに顔を見合わせた。


「依頼の報酬とあのウルフの買い取りは後日まとめて払うからギルドに来てくれ。」

支部長に言われて俺達は解散した、エレナさんがまた後でねと手を振っている最初の感じは何処に行ったのやら。


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