仲間
魔族討伐から帰ってきて一週間、ようやく体も元に戻ってきたな。
寝込んでる間色々な人がお見舞いに来てくれた、以前の俺が寝込んでも誰も来てくれないだろうな。自虐的な笑みが出る、皆との繋がりを大事にしないとな。
俺はベッドに腰掛けながら考える、如何二人に本当の事を話そうか……。
サヤには当然としてエレナさんも俺と一緒に居たいと言ってくれた大切な仲間だ。隠し事は極力したくない、暫く悩んだが結局ありのまま話し信じて貰うしかないと覚悟を決めた。
夕食後二人を部屋に呼ぶ、昨日気付いたのだがエレナさんもこの宿に宿泊する事にしたらしい。
「大切な話って何なのアスナ?」
サヤは少し不安そうな顔で訊いてくる。
「え~とね、突拍子もない話だと思うんだけど俺は実は男なんだ!!」
「「・・・・・・・・・・」」
『それじゃ伝わんないよアスナ。』
やれやれとソフィが溜息を吐く、俺だって上手く伝えたかったよ。
『今の説明では分からないだろうから私が説明致しましょう。』
「「・・・・・・・・へっ!?」」
ソフィが急に言葉を話しだして、二人は口を半開きにして呆けている。ソフィ普通に他の人にも話し掛けられたんだな。
『一つ一つ丁寧に説明致しますので良く聞いていてくださいね。』
ソフィは簡潔にでも極力分かり易く説明をしていく、最初は二人とも思考が追いついてこない様だったがソフィの丁寧な説明を聞いて、少しずつ元の表情に戻って来た。
『………とまぁ説明は以上になります。』
殆ど、とゆうか全部ソフィに説明して貰ってるな俺。
「え~と、アスナは元々男で異世界の住人って事?」
「そうだね。」
「ソフィは神様の使いでアスナは神様の加護を受けてるって事?」
「加護になるのか分かんないけど神様から特別な力を授かったのは本当だね。」
「じゃあアスナは救世主様って事?」
「救世主?そんな大層な者じゃないよ、神様にも好きに生きろとしか言われてないし」
『そうだねアスナは救世主なんて仰々しい者じゃないよ。』
「ではアスナさんは何で此処に来たのですか?」
今まで沈黙してたエレナさんが問う。
「切っ掛けは神様なんだけどやり直したかったんだと思う。」
「やり直し……ですの?」
「以前の俺の人生は一言で表現すると無味乾燥、味の無い居ても居なくても変わらないそんな人生。」
「「・・・・・・」」
「だからやり直したかったんだと思う、仲間や恋人、自由で楽しい充実した人生を。」
「如何して男性だったのに女性として生まれ変わったのですか?」
「それは……神様の陰謀?」
「「はい?」」
『神様が面白半分でアスナを女の子にしたのは本当、神様退屈してたから。』
「退屈だからって人の性別を変える訳!!」
サヤが怒った声でシフィを睨む。
『まぁそうなんだけどね、僕は見習いだから神様に意見なんて出来ないよ。』
「なんだか教会の教えてる神様と印象が全然違いますわね。」
「エレナさん教会の神様って」
「教会の教えでは神は全ての信民を慈しみ信民を救済する存在らしいですわ。」
『それは人の勝手な想像だよ。』
まぁ確かにそうだろうな、きっと教会の人も神様を自分達に都合の良い様に利用してるだけだろうしな。
「アスナはこれから如何するの?何であたし達に話したの?」
サヤの頭は不安と困惑が入り混じってるんだろうな。
「別に今迄と同じ、自由に楽しく生きるつもりだよ。二人に話したのは仲間に嘘は極力付きたくなかったから」
「そっか、良かった何だかアスナが遠い存在に感じて不安だったんだ。これからも今迄通りで良いんだよね」
「当然だよ、これからも宜しくねサヤ。」
「うん、宜しくアスナ。」
「わ、私もアスナさんと御一緒致しますわ、貴女が何者でも関係ありませんもの。」
俺は気付くとまた泣いていた。俺ってこんなに涙脆かったかな、でも幸せだ。二人には感謝してもしきれない、この日は夜遅くまで話しをした。
翌日俺はメニューを開きステータスの確認をする。
レベルが18=24に上がっている、アビリティPも55も貯まってるな。そろそろ職人系の技能を上げたいが細工はレジーナさんに教わっている所だし戦闘系と調合を覚えようかな、調合……錬金術師っぽいよな。
アスナ=レイテス (女) 15歳
種族 エルフ
称号 看板娘
Lv 24
アビリティ 0P
技能 剣術Lv30 体力増加Lv21 精神増加Lv15 体力回復Lv14 精神回復Lv12
筋力増加Lv1 魔力増加Lv1 敏捷増加Lv1 器用増加Lv1
戦闘速度Lv16 回復魔法Lv33 補助魔法Lv8 火魔法Lv18 細工Lv15
調合Lv15 料理Lv3 鍛冶Lv1 接客Lv10 投擲Lv10 鑑定眼Lv10
鷹の目Lv6 集中力Lv6 体術Lv4 採取Lv6
体力 ???
精神 ???
力 62 (+2)
魔力 85 (+2)
敏捷 58 (+2)
器用 65 (+32)
魅力 80
色々と能力が上がったし調合も習得した、後は接客を限界まで上げたら称号が看板娘に、この称号って意味あるのかね。
メニューを閉じてサヤとエレナさんにレジーナさんの工房に出かける事を伝え外に出る。
「アスナもう平気なのか?」
「はいもう大丈夫ですレジーナさん。」
レジーナさんが微笑む、だいぶ心配掛けてしまったな。
「今日は如何したんだい」
「そろそろ工房とゆうか拠点を買いたいと思いまして。」
「なるほどね、それで師匠の許可を貰いに来たと。」
「はい。」
レジーナさんが腕組みをしながら考えている、弟子になってから半年も経ってない訳だし無理かな。
「工房を持つとして作った品を売るのかい?」
「いえ直ぐに商売までは考えていないんです、仲間も増えましたし拠点が欲しいのと常に修行が出来ますので」
「なるほどねぇ、まぁアスナの場合は冒険者の収入で何とかなる訳だしね、でも商売をするならもう少し鍛えてからだね。」
「分かりました。」
俺はレジーナさんに許可を貰えたのでその足で商会ギルドに行く事にした。
ギルドの受付でシェリルさんを呼んで貰い、今は応接室で説明をしていた。
「ふむ、工房と住居等が一通り揃った物件ですね、今ですと3件ありますね。」
「本当ですか!」
「ええ、予算はどの程度でしょうか」
俺の全財産は白金貨3枚分、金貨なら150枚、1,500,000クローネだ。魔族の討伐報酬で白金貨2枚、参加報酬で金貨10枚で手持ちの金貨40枚を合わせた数字だ。二人からも金貨50枚預かっているが極力使いたくないな。
「予算は白金貨2枚程で。」
「白金貨2枚ですか、今回の物件は2件が白金貨4枚で1件が白金貨2枚になるのです。」
最低でも金貨50枚と聞いてたけどやっぱ高いな二人の分も合わせれば買えるけど。
「一先ず物件をご覧になる場合は明日またお越し下さい。」
俺は宿に帰り二人に相談する事にした。
「………とまぁこんな感じなんだけど」
「安くて白金貨2枚か~高いんだねやっぱり。」
「そうですわね、何にしても明日現物を見てから考えましょう。」
結局明日物件をを見てから考える事にした。明日はサヤもエレナさんも一緒だし二人の意見も聞かないとな。
翌日案内された物件の二つは都心の傍で立地は良い、店内はレジーナさんのお店より少し狭く工房の設備もそれほど良い訳ではなさそうだな。居住空間も狭いし微妙だな。
最後に案内された物件は都心から離れている為周りのお店も少ない、どちらかと言えば居住区に近いな。
「商売をするには立地はあまり良くないですがアスナさんの要望通り、一通りの物が揃っています。」
確かに店内の広さも工房の設備も居住空間も悪くない、いやむしろ良い!
「後ろの庭も入るの?」
「はい、庭もそこそこの広さですし前の持ち主は畑として使っていたようです。」
「厨房の設備もありますし2階の各部屋も広くて良いですわね。」
「アスナ此処にしようよ♪」
二人の評価も良好なようだし此処にするかな。
俺達は早速此処を買う事にした、大きな家具から食器まで買い揃えなければいけないので結局金貨150枚全部使う事になった。二人が自分達も住むんだからと俺に渡した金貨を使用したので残りの所持金は金貨50枚になった、当面の生活費は問題ないだろう。
新居の掃除をしている時に気付いたのだがエレナさんは掃除が上手い、メニューを見るとメイドの技能が
あった。他にも料理や美容があるし女子力高いんだな。
お店の部分は掃除だけして居住空間と工房の手入れをする。工房は前に住んでた人のお陰か細工に使う物だけじゃなく調合に使う物から鍛冶用の炉など様々だ。良い物件を見つけたな。
「アスナさんアスナさん、厨房の下に地下室がありますわ。」
「地下室!!」
地下室はひんやりと涼しく食材の保存に使ってたようだ、やたらと広いが大食いの人だったのか?
厨房に戻るとサヤが悪戦苦闘しながら片付けをしている、こういうのは苦手なのかな俺は頬が緩むのを感じながらサヤを手伝ってあげた。
サヤ (女) 18歳
種族 人間
称号 手練の冒険者
Lv 20
技能 剣術Lv14 双剣術Lv22 体力増加Lv18 体力回復Lv15
戦闘速度Lv25 体術Lv13 集中力Lv2 心眼Lv2 敏捷増加Lv2
体力 ???
精神 ???
力 40
魔力 18
敏捷 52(+4)
器用 29 (+10)
魅力 50
エレナ= ウィニフレッド(女) 20歳
種族 人間
称号 中級魔法使い
Lv 26
技能 槍術Lv12 体力増加Lv10 精神増加Lv18 体力回復Lv7 精神回復Lv15
火魔法Lv28 風魔法Lv24 水魔法Lv7 地魔法Lv7 料理Lv9 美容Lv10
メイドLv3
体力 ???
精神 ???
力 28
魔力 71
敏捷 35
器用 41
魅力 50