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異世界でアトリエ始めます。  作者: 小雪
第一章:序章
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後日談②

エレナは宿のベッドで眠るアスナの顔を覗きながら今回の緊急依頼について思い返していた。


緊急依頼で集まったギルドにアスナさんが来ている、私は急いで駆け寄るがサヤさんも一緒ですか。

アスナさんの横には何時もサヤさんが居ますわね、悪い人ではないのですがアスナさんを何時も独り占めしていて如何も釈然と致しません。

今回の緊急依頼は雲行きが怪しそうね、アスナさんも同じ事を思ったのでしょう表情が曇ってますわ。

アスナさんは普段男らしい言動を取りますが今の様に不安に駆られる姿を見ると守って上げたくなります。


大森林の入り口には大勢の冒険者が集まっている。エレナには他の冒険者の事なんて興味がないが聞き捨てならない話を聞いた。

「今回の依頼で集められた冒険者の中にコーネリアで噂になってる女を見つけたぞ。」

「噂?ああ、あれか、噂の絶世の美女は如何だった?やっぱり嘘だったか?」

「いやあれは噂以上だね、まだ幼さが残ってるがちゃんと艶もあるいい女だぜ。それと子竜ドラゴンも肩にちゃんと居たな。」

子竜ドラゴンも気になるが先ずはその噂の美女を見に行こうぜ。」

男共が厭らしい表情を浮かべながら歩き出す、私のアスナさんに手を出そうなんて天罰が必要なようね。

男達の後を付いて行くが支部長の召集命令が掛かる、男達も諦めて召集に向かった様ですし私も急ぎませんと、エレナは急いで召集場所に向かった。



魔物達は数こそ多かったですが特に問題はありませんわね、キャンプで手練の冒険者達と今後の方針についての話し合いが行われているが私は別の事に意識を向けていた。だってアスナさんが料理をしているのですものアスナさんの手料理食べる絶好の機会ですわ!

案の定アスナさんが担当したスープには大勢の人が群がってます、私は急いで列に並び前の男共に呪詛を飛ばした。


翌日の戦闘はトロールなどの大型な魔物との戦闘で疲弊し、さらに今回の目的であるだろう魔物……魔族に追い込まれて死ぬかと思いましたわ。

でもアスナさんの決死の頑張りで魔族を倒して無事帰還する事ができたのですね、吹き飛ばされて血反吐を吐いている時は胸が引き裂かれそうな思いでしたがその後のアスナさんの表情と言葉を受けて最後まで戦えました。

やはりアスナさんは好いですわ。


絶対にアスナさんとPT……いえ『心の友』になってみせます!




私が決意を新たにしているとサヤさんが入ってくる。

「アスナの調子はどう?」

「まだ眠ってますが問題ないと思います、傷も塞がってますし魔法の使い過ぎによるものでしょう。」

「じゃあ早速……」

サヤさんが躊躇いもなくアスナさんの服を脱がす。

「サヤさん!!何をしてますの!」

「アスナが汗掻いてるから着替えさせてあげようと」

「でしたら私がやりますわ」

此処は引けません、私がアスナさんの体をお守りしてあげなければ!

「勝負ですわサヤさん!!」

「望む所よ掛かって来なさい!!」


勝負の内容はアスナさんがサヤさんに教えていたジャンケンという事になり、簡潔に言えば結果は無効。騒がしくして宿屋の女性に窘められ部屋から退散する事になってしまいましたの。着替えを手伝いたかったですわ。


その後抜け駆けをしようとしたサヤさんと言い合いをしながらアスナさんの部屋に行くとアレックス支部長さんと受付のレベッカさんが来ていました。如何やら今回の件を話に来たようですね、支部長さんは話が終わると帰られてしまわれたので今は私とサヤさん、レベッカさんとアスナさんの四人で話をしています。


「心配したのよ、多数の怪我人がでていたから。」

「御心配をお掛けしました。」

アスナさんは相変わらず礼儀正しいですわね、エルフの中でも高貴な生まれなのでしょうか。

「魔法の使い過ぎには気を付けるのよ、諸説あるけど精神を酷使し過ぎると気が狂ったり廃人なるらしいから。」

これは本当ですわ、私も魔法の使い過ぎで廃人になった人を見た事がある。


その後は穏やかに雑談をしていると思い付いた様にレベッカさんが話しだした。

「アスナさんの噂を聞きましたよ、何でもエルフの国のお姫様だとか。」

「「「へ!?」」」

三人で思わず訊き返す、高貴な生まれなのかと思ってましたがいざ聞くと驚くわね。

「ち、違いますよレベッカさん!」

「あらそうなの?お姫様でも充分通用すると思うわよ。」

「確かにアスナなら其処ら辺の貴族じゃ勝負にもならないほど綺麗だもんね。」

「そうですわね。」

「他にも凄腕の職人だとか稀代の治癒魔術師だとか色々言われてるのよ。」

アスナさんは苦笑いを浮かべる、時折そんな顔をするんですのよねアスナさんには似合いませんのに。

「でも凄腕の職人はアスナには都合が良いよね、今回の報酬とか合わせたら工房買えちゃうかもよ。」

「アスナさんは工房が欲しいのですね、この街の工房だと安くても金貨50枚は必要じゃないかしら。」

「金貨50枚!!高いんだね~」

「そうねぇ~、此処は商売をしようとする人達が大勢いるから職人も多いのよね。余所の町なら金貨50枚もしないと思うけど工房を構えるには素材の流通が少ない場所じゃ運営は難しいからね。」

「最低でも金貨50枚か、今度商会ギルドのシェリルさんに相談してみようかな。」


アスナさんが真剣に悩みだす、私はこの機会に積極的に攻める!


「アスナさん、前にも言いましたが私とPTを組みませんか?」

少し驚いた様ですが私の真剣な表情に顔を引き締めえる。

「なぜ俺とPTを組みたいのですか?エレナさんなら何処のPTでもやってけると思うのですが。」

「損得の問題ではありません、私が貴女と一緒に居たいのです。」

「あ、あたしもアスナと損得感情じゃなく一緒に居たいと思ってるからね。」

アスナさんは目を見開き次第に涙が溢れていきました、暫く涙を手で拭っていましたが此方を向くと眩しい程の笑顔でこれからも宜しくね、と握手を交わす。


これで正式にアスナさんとサヤさんと私の三人のPTを……いえ、仲間になりましたの。

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