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異世界でアトリエ始めます。  作者: 小雪
第一章:序章
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緊急依頼

俺は今日もレジーナさんの工房で修行に励んでいる。一カ月間の成果でランクCの物まで作る事に成功した。本来は物を作る工程を覚え研鑽を重ねる事で細工のレベルが上がるが、俺の場合アビリティPを使えばその工程を飛ばして習得する事ができる。結果が先で過程が後に来る訳だ。

魔法での作製は当然ながら精神力=MPを使う、普通の人はそれほど多くの精神力を有していないのでCランクの物を一個作るのが精々だ。


レジーナさんには覚えが早いと驚かれたが俺の力は神様のお陰なので素直には喜べないな。神様は何で俺にこんなチートな能力をくれたんだろう、人助けの褒美って言ってたけど本当にそれが理由なのかな?

俺がそんな事を考えながら作業をしているとロイが工房に飛び込んで来た!


「アスナ、サヤさんが呼んでるぞ!」

「サヤが?」

俺は首を傾げた、何かあったのかな?店内に行くとサヤが興奮気味に何があったのか話す。

「アスナ、ギルドに緊急依頼が貼りだされたの!Dランク以上で今依頼を受けてない人は召集だって。当然あたし達もね。」

「召集!?急いだ方がいいのかな……。」

俺は事情をレジーナさんに話して今日の修行を終わりにしてもらった。



ギルドには多数の冒険者が集まり物々しい雰囲気を周囲に撒き散らしている。俺達が壁際に移動するとエレナさんに声を掛けられた。

「お久しぶりですわね。」

「お久しぶりです、エレナさん。」

「う~~ん、相変わらず可愛くて綺麗ですのね!」

抱きつかれると胸が当たる、嬉しいが照れますエレナさん!


「いい加減離れなさいよね、オ・バ・サ・ン!」

「貴女とそれ程変わらないわよ!」

相変わらず仲が悪いね、俺が如何した物かと考えていると一人の猫耳の女の子が視界に入る。その女の子は可愛いと表現するのが似合う幼さのある顔立ちをしている。傍にはガラの悪い連中が数人立っているが彼女の仲間なのかな。


「如何しましたアスナさん、誰か知り合いでも居りますの?」

「いえ、見かけた事がない冒険者も結構いるなと。」

俺はエレナさんに主だった冒険者を教えて貰う。最初に教えて貰ったのは屈強な体で背中に大きい斧を持つ男『鮮血のガレス』、次にローブを被り顔の見えない人『沈黙のレスト』、最後に『疾風のクロレス』

どれもランクBの冒険者達だ。今回の依頼は危険な事なのかも、少し不安になってくるな。


「よく集まってくれた、俺は支部長のアレックスだ。早速今回の依頼内容だが俺達の居るアペリティフと港町コーネリアの間にある大森林で異変が起きている、強力な魔物が巣食い既存の魔物を追い出しているらしい。今回はその魔物の討伐依頼だ、報酬は参加した者に金貨10枚と貢献度による追加報酬だ!

現在確認されている魔物はトロール等大型や中型の魔物だ。受付で登録をしたら五日後出発予定だ、準備を怠るなよ。」

俺達も受付に並び登録をする、支部長が追加で説明をした。

「ランクDの者は後方支援に回ってもらう、登録をしたら俺の所に集まれ!」

「何だか大事だな。」

「大丈夫、アスナはあたしが守るから!」

カッコイイな~、普通逆だよね。


『アスナ今回の依頼気を付けてね、かなり危険な仕事になるよ。』

「(ありがとうソフィ)」

ソフィが警告してくれる位だかなり危険な魔物が巣食ってるんだろうな。俺達は準備を入念にして出発の日を迎えた。



現在大森林の手前に大勢の冒険者が集まっている、コーネリアから来た冒険者も混じり宛ら傭兵団のようだ。まず最初にランクC以上の冒険者達が森に入る、俺達後方支援は戦闘の班の後ろを付いて行く。

以前試験で行った東の森と比べると暗く不気味な雰囲気が漂う、面積もかなり広いらしくこの森の木は良い材木になるのだそうだ。


初日は住処を追われた魔物達と交戦になったが多少の怪我人が出た程度で、怪我も俺達回復魔法を使える者達で簡単に治せる程度の怪我だった。暫く森の中を進み少し開けた場所でキャンプを設営、参加している略全ての冒険者が集まり支部長と手練れの冒険者が作戦の調整をしている。俺達後方の班は食事の支度等の雑用に追われている。


「ふぅっ、これだけの量を作ると流石に疲れるな。」

「そうですね、でも私達は後方で直接の戦闘は皆無ですからこれくらいは致しませんと。」

俺の隣で調理をしている彼女の名前はロクサーヌさん。彼女は俺と同じ後方の班で今日の怪我人を治療していた。

「私はコーネリアの冒険者ギルドで普段活動してるのですがアスナさんってコーネリアで何かしませんでした?」

俺は一瞬ドキッとした。

「何かってどんなこと?」

「え~と襲い掛かって来た暴漢を半殺しにしたとか、露店で儲けまくったとか、告白する男性を片っ端から断ったとか……」

「俺はそんな事した覚えはないよ、確かに一時コーネリアに行ってはいたけど。」

露店で儲けたのは本当だけど他は嘘だな、まだ噂が広まってるなら当分コーネリアには行けねえな。

「……アスナさんは随分男らしい感じなんですね。」

「え、そうかな?」

「最初に見た感じの印象と違いますがこれはこれでアスナさんの魅力を引き出していて良いと思います。」

やっぱり自分の事を俺って言うのも変だよな、でも女の子みたいな言葉遣いってのもな。


その後女子達で所謂ガールズトークに発展、誰が好きだの誰それが付き合っているだのこの世界でも女の子の興味は同じらしいな。

「アスナさんは好きな男性はいないの?」「故郷のエルフの人とか?」

「「そんな男はいません!!!」」

エレナさんとサヤが一緒に答える、何で俺の質問に二人が答えるんだよ。

「アスナさんは男なんて眼中にありませんわ。」

「そうそうアスナは其処ら辺の男共より逞しいんだから。」

「確かにアスナさんって男らしい部分がありますよね喋り方とか」「うんうん、私もそれ思った!」

その後暫く女子達の会話が続いたが支部長の鶴の一声でお開きになった。



二日目は朝から何度も戦闘が続く、偵察に優れた冒険者が先行して魔物の位置を特定して迂回しているが数が多く如何しても戦闘になる。初日は以前からこの森に住んでた魔物だったが今日は大型の魔物も多少混ざっているようだ、俺達後方の班は死んだトロールなどの死体をアイテムボックスに回収しながら後を付いて行く。


「何だか嫌な感じがしますねアスナさん」

「そうですね最初にこの森に入った時も不気味な感じがしたが今はより嫌な感じがする」

ロクサーヌさんが不安な顔で前を見ている、ソフィが気を付けろって言うのだから何かしらあるのは確かだろうな。俺も注意深く足を進めた。


「アスナさん、何だか人数が減っていませんか?」

俺は周りを見る、元々の人数を正確に把握している訳ではないので感覚だが確かに減っているような……


「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「なに!!」

「武器を構えて周囲を警戒しろ!」

俺達は円陣を組む様に辺りを警戒する。後ろの方で魔物と人の声が響く、どうやら前方の班が戦闘になっている様だ。俺は違和感を感じて咄嗟に剣の腹を突き出す!何かが剣に弾かれた、足元を見ると折れた矢が落ちている。

「矢だ!盾を持ってる者は周囲の者を防御ガードしろ」

後方の班を指揮していた冒険者が叫ぶと矢が一斉に襲い掛かる。

俺も剣で防御ガードするが盾と違って何本か鎧を掠める、数本ならエルフの特性なのか風の流れで矢の軌道が読めるがこう雨の様に矢を降り注がれては如何し様もない。

矢の雨を防ぐ手段の無い物は体を矢に貫かれ、なまじ鎧を着てるせいで即死が出来ずのた打ち回る。


「恐らくこれはコボルドだ、誰か敵の居場所を確認しろ!」

確認って言ってもこの薄暗い森の中じゃ簡単には見つからないよ、俺は心の中で愚痴りながら自分の体にプロテクションとブーストを掛ける、そのまま剣で矢を弾きながら辺りを見渡す。

「コボルド約40以上周囲約200m程の位置に隠れてます。」

俺達は指示の通りに動きコボルドを排除する、魔法が使える者は隠れてる場所ごと吹き飛ばし、弓を使える者には盾役の後ろからコボルドを狙い撃つ。

「アスナ大丈夫?」

「サヤ!俺は平気だよサヤの方こそ」

「あたしも平気、近くに盾役の人が居たからね」

俺達は互いの無事を喜びコボルドの排除に全力を尽くした。


戦闘事態は短時間でコボルドの排除に成功したが最初の不意打ちで多数の死傷者を出してしまった。前方の班も大型の魔物との戦闘で数名の死傷者が出ていた。



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