港町の美少女
少し文章を変更しました3/12
俺は宿の自室で横になる、着飾って街を歩かされたり露店では押し寄せる奥様方に対応したりと……。
「疲れたよ、ソフィ。」
『お疲れ様アスナ。』
ソフィの労いの御蔭で少しだけ疲れも吹き飛んだ。
「ねえソフィ、エルフは皆美人なの?」
『う~ん美人なのは確かだけどアスナには劣るね、数値で言うなら60~65位が精々だよ。』
さすがは神様と言うしかないけど、今回のは少しやり過ぎた感があるんだよね。色んな人に羨望の視線で見られるのは悪くないけど同時に嫌な視線も多く、今後面倒事が起きそうな予感もする。
『大丈夫だよアスナもし君に危害を加えようとする者がいたら教えるからさ。』
「本当に?、神様の命令だからとか面白そうだからとか言って傍観するんじゃないのか。」
『酷い言われ様だね、まぁ神様の命令には逆らえないけど本当に危険な時は教えるよ。』
俺はソフィの言葉を半信半疑で受け止めるが、ソフィ自身は結構好い奴だと認めていた。
俺は最後にメニューを確認して前回の報酬が入ってる事を確認して眠りに就いた。
翌日は完売した売上金と露店計画時の着飾った格好でレジーさんの病室に顔を出す。此処に来るまでに擦れ違う人達は俺を見ると一様に振りかえって見惚れている。他人の視線には少しは慣れたがあくまで少しだ、やはり見られる事は疲れます。
病室には複数のベットと椅子が置かれているだけで他には特に何もない。病室に色々あっても衛生的にダメだけどね。
「レジーナさん具合はどうですか?」
「・・・・・・・」
「レジーナさん?」
「ああ、うん、ごめんね大丈夫だよ……」
レジーナさんも俺の格好に驚いてる様だな、元々美人だったのに着飾ると気品まで出るんだから女の子が化粧で化けるのは本当だよ。
「アスナどうしたんだいその格好は」
「姉ちゃんアスナのおかげで商品が全部売れたんだよ!」
「全部!?、あれから何日も経ってないのに。」
「アスナがこの格好で姉ちゃんの指輪やネックレスを宣伝してくれたんだ。」
ロイは俺達がどうやって協力してくれたのか、露店にどれだけの人が集まったのかを楽しそうに話す。
「ありがとねアスナ、あたし達がやっても精々数個売れれば上出来程度だったでしょう。」
「そんな事ないですよ、この街の宝石店を見ましたが見た目は兎も角性能では断然レジーナさんの方が上でした。」
俺がレジーナさんの作った装飾品の凄さを真剣に伝えると照れくさそうに頬を紅くして、手伝って貰ったお礼だと売上金の一部を渡されるが、俺は替わりにレジーナさんの装飾を教えて欲しいとお願いした。
アスナのお願いに頬が緩みそうになるのを必死に堪えてレジーナはアスナのお願いを引き受ける。教え込んだら何時かロイの嫁にしようとレジーナは考えていたがアスナには知る由もなかった。
レジーナさんの具合は、治癒術師の話では後数日で退院できるとの事だ。
「悪いけど帰りの護衛もお願いねアスナ。」
「はい、任せて下さい。」
俺はレジーナさんに力強く返事をして病室を出た。
「おかえりアスナ、どうだったの?」
宿に戻ると待っていたサヤが訊いてくる、俺は後数日で退院できるとサヤに伝えた。
「よかったねアスナ。」
「うん、本当によかった。」
サヤはアスナの晴々とした横顔を覗き本当に大丈夫なのだと安心した。
数日後レジーナさんは無事退院して皆でアペリティフに帰る。
アペリティフまでの街道をロイが御者をして俺とサヤが周辺を警戒しながらゆっくりと進む。今日中には戻れるのだから焦る必要もない。
「そういえばアスナ、アスナの噂って具体的どう伝わってるの?」
「あれ?そういえば内容はルークに訊いてなかったな。」
俺は少し気になったがもう終わった事だし時期に消えるだろうと深く考えなかった。
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此処は港町コーネリアの酒場、アスナとサヤがルークに出会った場所。
「今日はあの美人エルフの嬢ちゃん見ねえな。」
「誰だそれ?」
「お前知らねえのか!!此処数日その話で持ちきりだぜ。」
「とんでもねえ美人なんだよ、胸はバインバインで腰はキュっとしててお尻はプリッと……」
「そうそう、顔は少し幼さがあるがな後数年もすれば艶も全面に出て絶世の美女になるんじゃねぇか。」
「そういやぁ連れの女もなかなかだったよな。」
「美人で細工の腕も一流、さらに魔物も一撃で倒すってんだからとんでもねぇよ!」
酒場の中は誰もがアスナ達の話で盛り上がっていた。店員も酒に料理と注文が多くて忙しそうだ。
港でもアスナ達の噂は広がっていく、船乗り達は噂を肴に酒を飲む。
「なんでもエルフでドラゴンが付き従ってるらしい」
「嘘だろ、ドラゴンだぞ。」
「嘘じゃねぇらしいぞドラゴンを見たって人が話してた。」
「ドラゴンを手下にするってどんだけ強いヤツだよ。」
「俺の訊いた話ではゴリラみてぇな顔だってよ。」
「あれ?、魔物を一撃で倒す美女じゃなかったか?」
「女を弄ぶ屑野郎だろ?」
商人や冒険者、船乗りに貴族まで噂は広がっていく。
ルークは薄暗い地下室で二人の女の子の事を考える。作戦は着飾り街を練り歩き、身に付けている装飾具を魅せつけて宣伝、僕はエルフの身に付けているマジックアイテムが露店で安く売り出すらしいと噂を流すだけだったのだが、どうにもやり過ぎた。手助けしてあげようと色々追加で噂を流したのは失敗だったようだ。悪かったね御二人さんと気持ちのない呟きで謝罪した。
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アスナ達はアペリティフに帰ってきた。魔物には一匹も遭わず行きは何だったのかと思うほど平穏だ。レジーナに依頼完了の署名をしてもらいその足でギルドに向かう。
ギルドには数名の冒険者と支部長、レベッカさんが居る。
「ただいま戻りました支部長、レベッカさん。」
「ただいまーアレックスにレベッカ。」
支部長は俺達を見つけると首根っこ掴んで奥の部屋に放り込んだ。
「キャー襲われるー!!!」
「アホそんな事するか!」
支部長の前には資料が山積みになっている、周りにはソファーや小さ目のテーブル、資料などが入ってる本棚などがあり普段支部長はこの部屋で仕事をしているようだ。
「お前達、街道でハーピーと遭遇したらしいな。」
「地獄耳!!」
「コーネリアのギルドから報告が来てるんだよ。お前達に少し質問したい事があってな。」
支部長の話はハーピーと何処で遭遇したのか、どうやって倒したのかなどだ。
「・・・・・・・・」
「支部長?」
支部長は何か考え込みながら俺達の顔を見る、何時もの陽気なオッサンではなく強者の風格がある顔だ。
「今回の件でお前たちをDランクに上げる!」
「Dランクにですか?」
「ハーピーを倒せるなら問題はないだろ、ただし調子には乗るんじゃないぞ。」
アレックスはランクを上げた物の心配だった。レベッカの言う様にこいつ等は危なっかしいと同時に何か期待させる物がある特にアスナの方、エルフについてはよく知らないがこんな短期間でハーピーを倒せるほど強くなるなんて普通はありえねぇしな。
アレックスは話は以上だと部屋から追い出す、にしてもハーピーね……森に何か異変でも起きたのか…
近いうちに調査が必要だなとアレックスは貯まってる仕事に没頭した。