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第一話「バンダナの剣士」

「くそ……くそ!またこんな…!」

バンダナをつけた男は、悔しそうに言った。

「また守れなかった………!約束したのに……俺は…俺は……!」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「レット殿。貴殿の勲功を称え、第七師団副師団長に任命する」

知らせを受けて、レットは飲んでいた茶を思いっきり吹き出した。

「………へ?俺?」

「そうだ」

「勘弁してくれよ、師団長」

「上からの命令だ。仕方ない」

師団長と呼ばれた男性は、その名をギルトという。黒い髪を耳の中腹まで伸ばした、整った顔立ちの男性。白いロングコートを羽織り、二人のいる部屋……団長室の椅子に腰掛けている。

一方、レットと呼ばれたこの男は、頭にバンダナを巻いていて、そこから金色の髪が肩の少し上まで伸びている。目つきはどこかだらしなく、薄い布でできた簡素な衣服の上に、黒い上着を片肌だけ着ている。


「はぁ……なんでこんなことになっちまったかな〜………」

レットは頭をバンダナの上からボリボリと掻きながら、彼の副師団長任命の書類を眺めていた。廊下を歩き、自室へ向かう。

ここは、レットが所属する部隊……第七師団の駐屯所として利用されている砦で、名をディラ砦という。師団長と副師団長にはそれぞれの部屋が与えられていて、それ以下の士官は5人で一部屋。一般兵は一つの大部屋に30人が暮らす。

「はぁ〜〜〜…………寝よ」

だらしないため息をついて、レットは静かに眠りについた。


ここはジグ王国。現代でいうと日本にあたる。領土は、4つの島(日本列島)と、大陸の南東部(朝鮮半島)。

現在大陸では、領土を巡って戦争が頻発している。いわゆる戦国時代である。取っては取られて、取られては取っての繰り返し。現在領土となっている大陸の南東部も、戦争で奪い取ったものだ。2年前までは、大陸の東部はほとんどがジグのものだったのだが、隣国との戦争に敗北し、現在は南東部だけとなっている。

このように、大陸部は一触即発の状態だ。その中でも、ジグは隣国、ロマ帝国とは犬猿の仲で、事ある毎に戦を起こしていた。1年に5回戦争が起きた年もある。

そのような状況を見て、ジグ王国は軍隊に設置する師団の数を5から10に増やした。

こうして設置された5つの師団の中で、特に実績を上げているのが、レットたちのいる第七師団。そして、その第七師団を事実上統率しているのが、このレットなのである。


レットが目覚めたのは、日が西に沈み始めた頃だった。夕日が辺りを赤く照らして、鮮やかな景色を見せている。

「ふあぁ……晩飯まで寝てよ」

ゴロン、ともう一度寝転がったその時、部屋の外から声が聞こえた。

「レット副長!いらっしゃいますか!?」

「え、何?もうメシの時間?」

「敵襲です!ロマ軍6000が、こちらに攻めてくるとの事です!師団長から団長室にくるように、との伝言を預かっています!」

敵襲、という単語を聞くと、レットはピクリと眉を動かし、勢い良く立ち上がった。近くに立てかけてあった刀を持ち上げ、部屋の外に出る。

廊下には一人の男が立っていて、レットの姿を見ると、急かすように言った。

「お急ぎください!時間があまりありません!」

「…わかってら!」


初回は説明中心なので文章多めですが、0話の方が詳しく書かれているので流し読みでもいいです。

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