第31.5話 女の子には恋をさせよ① with Sellen.
短編第弐弾! ……というよりSSです。
セリフのみに挑戦してみました。意味分からんってところがありましたら、ご指摘下さい。
時間軸は、創造祭初日、ルチアとルイサがカフェで接触しちゃいそうになった後です。
「ルチアさんとエネディス先生が鉢合わせしなくて良かったですね。――ところでこれからどうするんですか? ずっとこのカフェテリアの前にいる訳にもいかないでしょう」
「いや、それは分かってるけど……どうすっかなぁ。セレンは本当に行きたいところとか無いのか?」
「有りません」
「……そうか。でも、そうなると――あっ」
「どうかしましたか、レゼル」
「本屋見つけた。行っていいか?」
「……相変わらず目が良いですね。人波に埋もれる大通りの中にいるっていうのに」
「行っていいか?」
「……話聞いてないですね。まぁ、良いですけど」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そんなに目をキラキラさせてどうしたんですかレゼル。キャラ崩壊してますよ」
「……」
「そんなにその本に夢中ですか、そんなに面白いんですか、その作家のファンなんですか」
「……」
「……畜生、私も読みたくなってきたじゃないですか」
「――よし、買おう。でも、まさかリレイズでこの作家の本が買えるとは思わなかった」
「何ですか、そのほくほく顔は……って同じの三冊買うんですか?」
「当たり前だろ、鑑賞用・保存用・布教用だ」
「何ですか、そのさも当然といった顔は。……畜生、後で布教用を貸して下さい」
「ああ、分かった。――セレンは何か欲しいものとか無いのか?」
「そうですね、私は特に……あ、あれ欲しいです」
「どれだよ?」
「あれですよ。ちょっと待っていて下さい、持ってきます」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……猫の本?」
「はい。先程、私はこの表紙の黒猫に度肝を射抜かれました」
「心臓を射抜かれた、だろ」
「可愛いです……」
「(いや、猫より頬を薄く朱に染めたセレンの方が可愛いよ) ……なんてことを恥ずかし気もなく言える奴はきっと頭がトチ狂ってるよな」
「レゼル、いきなり何ですか? 貴方の方こそ頭トチ狂ったんじゃないですか」
「――そういや、ふと思うことがあるけど、セレンって何処となく猫だよな」
「(スルーされた!) 猫って……どういうことですか」
「あ、いや、悪い意味じゃないって。何か、イメージ……みたいな」
「……私は猫のように気儘ではないと思いますが」
「……よく言えないけど、目が猫に似てる。後は……そうだな、小さいとことか」
「何処が小さいって?」
「(あ、ヤバイ地雷踏んだ) ……ぜ、全体的に?」
「冥土の土産をくれてやります」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……本屋ではあまり派手なことは出来ないので、ここいらで許してあげます」
「十分派手なことしたと思うんだが……」
「三回、脛蹴りしただけじゃないですか。何時の間にそんな虚弱になったんですか」
「せめて、生体機械じゃない左脚で蹴って欲しかった」
「レゼル、お店の通路で蹲るのは迷惑になるので止めて下さい」
「セレンの所為だろ……」
「でも、あれですね。私が猫ならレゼルは狼でしょうか」
「……狼?」
「はい。なんとなくレゼルに似てる気がします。能ある狼は牙を隠す、みたいな……」
「それを言うなら、能ある鷲は爪を隠す、だろ」
「……例えて言っただけです。そして、鷹です」
「……」
「……」
「――じゃあ、ミーファは動物に例えたら……栗鼠かな」
「かなり唐突ですね、じゃあって接続詞おかしくないですか」
「ノイエラは何だろう」
「……子熊でしょうか。では、ハルキは?」
「アイツは……カブトムシ?」
「動物ですらないのは可哀想ではありませんか」
「嘘だって。……うーん、犬かな、無難に」
「確かに、ちょっと忠犬っぽいところありますよね。――では、ルチアさんは?」
「うーん……兎、だな。じゃ、エネディス先生は?」
「本当になんとなくですが、イルカです」
「学院長は?」
「鳳凰です」
「豪華過ぎないか!?」
「じゃあ百万歩譲って孔雀で」
「……後は……」
「――レミルさんはどうなんですか?」
「え? レミ姉? レミ姉は……虎かな」
「……猫じゃないんですね」
「え?」
「いえ、何でもありません。……ところで、狼は猫を食べますか」
「え? うーん、そりゃ、狼は肉食だからな……食べちゃうんじゃないか?」
「食べちゃいますか」
「食べちゃうだろうな」
「そうですか」
食べられちゃって良いですか?
『だって、貴方のことが好きなんです』
読んで下さりありがとうございました!
……最後はちょっとだけ大人な感じに。分かる人は分かってくれるハズ。