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血染めの月光軌  作者: 如月 蒼
第一章 創造祭編
36/61

第33話 Run away!!

PC復活!

うん、それだけ(笑)

 時間的に夜も更け、人も疎らになった駅前の広場は、小さなライトが一つ点灯しているだけで、その光が届かない場所はコンサートが始まる前より深い闇に包まれていた。

 だが、広場を抜けて大通り(メインストリート)へと足を踏み入れれば、すぐに人々の喧騒とライトアップの眩さが返ってくるだろう。今日は祭だ。たとえ初日だろうと、いや、初日だからこそ、人々は遅い時間になっても浮かれて騒ぎ、そして祭を楽しんでいる。

 コンサートが終わり、しかしレゼル達はまだ駅前にいた。

 簡素な造りだが、今となっては荘厳に見えるステージは、明日の早朝に片付けられる予定らしい。(しつこいが時間的に)一夜限りのステージの横で、レゼル達はそんな話を聞いていた。

 勿論、相手は先程までステージに立って輝いていた女性三人である。

「今日はお楽しみ頂けたかしら?」

 少しだけ額に汗を浮かべたウィスタリアが、上品な笑みを浮かべて言った。

 レゼルはフードの奥からチラリと顔を覗かせて笑うと、それに応える。

「はい、とても素晴らしいステージでした。『歌姫』の名は伊達ではないですね」

「あら、ありがとうレゼル。貴方は、わたくしの唄を聴くのは初めてですわよね」

「いえ、昔、一度だけ」

「え?」

 短く返されたレゼルの言葉に、ウィスタリアは珍しくぱちぱちと目を瞬かせた。

「ソレイユさんは姫様のコンサートに行かれたことがあるのですか? どうやって……」

 質問してきたのは、まだドレス姿だが、ウィスタリアの斜め後ろでメイド然としているマズルカだった(因みにウィスタリアもまだ真っ赤なドレスを着ている)。

 彼女の「どうやって」という台詞には、『《雲》なのにどうやってコンサートの会場に入ることが出来たのか?』という意味を含んでいる。

 そのことに直ぐ様気付いたレゼルは、苦笑いを浮かべた。

「いや、ただ唄を聴いただけですよ」

 彼の返事はマズルカの質問の答えにはなっていなかった。

 周りの者はきょとんとしたが、レゼルの表情から何かを汲み取ったらしいセレンは、明白(あからさま)にならない程度に話を元に戻した。

「しかしまさか、マズルカさんとマリンカさんがステージに登るとは思っていませんでした」

 ウィスタリアは視線をレゼルからその横にいる少女に移した。

「ふふ。驚いたでしょう。でも、マズルカとマリンカがわたくしのメイドだと知っている方々の方が少ないのですのよ? 世間の認識として、二人は有名なフルート奏者とクラリネット奏者ですもの」

 コンサートで、マズルカはフルートを、マリンカはクラリネットを扱っていた。

「バイオリニストである姫様よりは有名じゃないですけど……」

 小声で付け足すように言ったマリンカに、ミーファは首を横に振った。

「何を言ってるんですか。二人共、王都では有名過ぎるほど有名ですよ」

 ミーファの言葉にほんのりと顔を赤くするマリンカ。彼女は正規創造術師、つまり『プロ』で、創造学院は卒業済みである。だがどうやら、精神年齢はミーファの方が上らしい――と思うのは流石に失礼だろうか。

「ミーファは何度もわたくしのコンサートに来てくれていますものね」

「はい。今回も素晴らしかったです」

「ありがとうございますわ」

「だから代表は、マズルカさんとマリンカさんがステージに立っても驚かなかったんですね。私はコンサート聴くの初めてだから、驚きました」

「俺も驚きました。ま、学院に入るまでは日本にいたから当たり前ですけど」

「結界師としての技量も流石ですね」

「あらセレン、ありがとう」

 ウィスタリア、ミーファ、ノイエラ、晴牙の会話を聞きながら、レゼルは暫しコンサートの余韻に慕っていた。

 特に最初のアカペラでの唄は――

「レゼル君!」

 パンパン、と軽く肩を叩かれ、レゼルは現実に復帰する。

「何だ、ミーファ?」

「何だじゃないわよ。これからウィスタリア様達は着替えなくちゃいけないし、これ以上は話出来ないでしょう? 私達も寮に戻って明日に備えなきゃ。創造祭はこれからよ?」

 ぷく、と彼女は子供みたいに片頬を膨らませた。

「あ、悪い。そうだな、寮に戻るか。――そういえば、クラスの出し物店の方はどうなったんだ?」

「『星月夜』のこと? もう今日は閉店してるわよ。えーっとね、サラから聞いたけど、売上は上々らしいわ」

 言って、可愛らしくにっこりと笑うミーファ。

 売上が良い理由の一つには、彼女の和装姿と笑顔にもあるのではないかとレゼルは思った。

「売上競争では学年など関係ありませんわ。二年A組は負けませんわよ」

 頬に手を当て(多分この仕草は態とだ)、ウィスタリアは慎ましくも挑戦的な瞳でミーファを見た。

 ミーファもそんな彼女を見返して、

「それは、競争しがいがありますね」

 金色の前髪の下で、二人は妖しい笑みを浮かべた。

 実は今年の創造祭のクラス出し物では、二つのクラスが一際注目を集めている。

 まず一つは、ウィスタリアのいる二年A組。そして二つ目はミーファのいる一年A組だ。《暦星座(トュウェルブ)》がいるということの影響は、ここにまで及ぶのである。よって、この二つのクラスは、目下最大のライバル同士であり、学年代表という立場から自然とクラスを纏める位置に立つウィスタリアとミーファの間でバチバチと火花が散るのは至極当然なことである、のだが。

 レゼルは二人の爽やかな笑顔に堕天使以上の恐怖を覚え(堕天使に対しては無感情だから当たり前ではあるが)、そそくさと彼女らから離れるのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 創造祭二日目の朝。

 男子寮の自室、ソファの上でレゼルはむくりと上半身を起こした。身体に掛かっていた毛布が音もなく床に落ちる。

 部屋の中は暗い。昨日、寝るときに電気を消したのだから当たり前だ。セレンはまだベッドで穏やかな寝息を立てている。

 タイマーをセットした暖房は寝ている間に止まってしまっているので、毛布の温もりが消えると肌寒さを感じた。

 レゼルは寝起きが良い方だが、昨日は『歌姫』のコンサートがあったので就寝時間が何時もよりだいぶずれ込んでしまった。その所為だろう、まだぼんやりした視界を映す瞳を手で擦り、彼は時計を見た。

 時計は、短針が真下を向き、長針が真上を指していた。つまり、午前六時ちょうどだ。

 そこでやっと、視界と意識がはっきりと色を持っていく。レゼルは立ち上がってもう一度時計を見、六時で間違いないことを確認すると、落ちた毛布もそのままに部屋の入り口へと歩き出した。

 電気も暖房も付けない。ソファの前のテーブルにはそれらのリモコンが置かれているが、レゼルはそれに目を向けもしなかった。

 突然だが、彼には、同じ時間に寝ても何時も同じ時間に起きる、という習慣は全く無い。寝る時刻は何か特別なことがない限り大体同じだが、起きる時刻だけはどうも揃えることが出来ないでいた――というより、ただ揃えようとしなかっただけだ。今は毎日六時に起きる、ということが出来ているのだから。

 だから、レゼルが先に起きることもあれば、セレンが先に起きていることもあった。まぁ、セレンには朝食を作って貰っているので、どちらかと言えばセレンが彼より早く起きる方が多かったのだが、最近は専らレゼルの方が早く起きていた。

 何時から、と質問されれば明確に答えられる。――あの、虐めが始まった日からだ。

 セレンより早く起きればそれはそれで良いし、ちょっと長く寝ていたら彼女に起こして貰っていたから、起床時間を揃える必要など無かったのに、虐めが始まった日から毎日、レゼルは六時には起きるようにしている。

 それには勿論理由があった。

 リビングに敷かれた絨毯の上から、短い廊下のフローリングの上に出ると、裸足にひんやりとした感覚が伝わった。そのお蔭で眠気が段々醒めていく。

 セレンがいれば、セキュリティサーバー――エナジー感知システム――が内蔵された扉に手を当てなくとも、レゼルの部屋の扉は勝手にスライドするのだが、寝ている彼女の体内(なか)のスーパーコンピュータは只今電源OFF中だ。エナジー性質を誤魔化していたハッキングシステムは使えない。これだと、セキュリティサーバーにはもう偽造エナジー性質のデータがレゼルのものとして登録されているので、彼はセレンがいなければ正面からこの部屋を出られないのだが、そこは流石レゼル・ソレイユである。腹黒さは随一だった。

 得意の電撃創造で、ちょちょいのちょいっとセキュリティサーバーにハッキングすると、自室の扉は容易にスライドした。たかが寮の自室を使うのにこんな面倒なことをしなければならないと思うと、思わず笑えてくるが、そうしなければならない事情と理由があるのだから仕方ない。

 レゼルは冷たい空気に満ちた廊下にスリッパを履いて出た。

 スライドドアの横に取り付けられたポストの窓を開く。誰もいない廊下で、バサバサと落下してきた何通もの呪いのラブレターを、彼は慣れたように腕の中に受け止めた。手紙が落ちないように手を動かして、一通残らずポストの中から掻き出す。

 ただ紙が四つ折りにされただけのものや、何かの用紙の切れ端、挙げ句の果てにはきっちりと封筒に入った皮肉なものまで。内容は読まなくても分かる。レゼルは一瞬も躊躇わずに腕と胸を使ってそれらを押し潰した。

 当然だがレゼルも人間だ。朝っぱらから名前も知らない奴に罵られたくはない。だから本当は、すぐにでも炎の創造術で燃やしてしまいたいのだが、如何せん、ここで創造術を行使すればセキュリティサーバーの中のエナジー感知システムと融合体感知システムに引っ掛かってしまう。

 パタン、とポストの窓を閉め、隣室である晴牙の部屋のポストでも同じことをすると、レゼルは自室のリビングに戻った。プレスされてかなり小さくなった二人分のラブレター達はまだ腕の中にある。

 セレンを起こさないよう、音を立てずにベランダへの窓を開け、冬の空気が流れ込んでくるそこから紙屑と化したそれを乗せた腕を突き出す。

 無光創造。彼の手の上で炎が踊る。

 残った多少の塵は冷たい風が(さら)っていった。

 暗い空に浮かぶ塵を目で追い掛けることもせずに窓を閉めて、やっとリモコンで電気と暖房を付ける。

 ベッドの掛け布団の中、紅い髪を持つ少女が、部屋が明るくなったことに身動(みじろ)ぎする姿が見えた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「美味しい……美味し過ぎるわ……」

 朝食中のレゼルの寮部屋には、現在、金髪ポニーテールの少女が訪れている。

 彼女はご馳走になっているセレンの手作り朝食に激しく瞠目していた。

「このスープ……絶妙な味付けに滑らかな舌触り……何処を取っても指摘出来るものがない……!」

「あのー、ミーファさーん?」

「パンも手作りなんでしょう? 凄いわ、まさかセレンの料理の腕がここまでなんて……」

「ミーファ様ぁー?」

「まるで何処かの高級料亭並み――」

「聞け」

 ソファに座って震えるミーファの頭頂部に、レゼルは軽く手刀を落とした。

 イタッ、と呻いた彼女は後ろに立っているレゼルを仰ぎ見る。

「何よレゼル君」

「何よじゃない。セレンの料理を褒めてくれるのは俺としても嬉しいが、まずはここに来た用件を言ってくれ。まさか朝食が目的じゃないだろ?」

「あ、ごめんなさい。美味し過ぎて、つい」

 ミーファは眉を下げて苦笑すると、持っていたスープのお椀を前のテーブルに置いた。

 レゼルは彼女の向かいに座り直し、その隣で淡々とパンを頬張っていたセレンは食べるのを一時中断した。

「それと、朝早くお邪魔しちゃってごめんなさい。私、今日も朝早くから喫茶店のシフト入ってるから、空いてる時間が今しか無くて。しかも朝食までご馳走になっちゃって」

 言いながら、ミーファは自分の足元に置いていた紙袋を膝上まで持ち上げた。それからガサゴソと音を立てて中身を取り出す。

「……それ、振袖(ふりそで)か?」

「あら、よく知ってるわねレゼル君」

 彼女が何の変哲もない紙袋から取り出したのは、綺麗な花の刺繍が映える和服――振袖だった。

 レゼルは珈琲のカップに手を伸ばして、

「振袖って、未婚女性の礼装だろ。そんなの何に……あぁ、A組の出し物でセレンが着る用か?」

「いえ、違うわ」

 畳まれた振袖を丁寧に広げて、首を横に振るミーファ。

「違う?」

 問うてから、彼は珈琲を一口口に含む。


「レゼル君が着るのよ」


 噴いた。

「きゃっ」

「レゼル、汚いです」

 ミーファが小さい悲鳴を上げ、セレンが無表情に呟いた。

 レゼルは暫く気管に入った珈琲に噎せた後、ミーファを凝視して、

「はぁッ!?」

 全力で今の自分の困惑をぶつけた。

 だが、既に着ている制服のポケットからハンカチを取り出して、テーブルに飛び散った珈琲を拭くのは忘れない。向かいのミーファまで届かなくて良かった、と思うが、そもそも珈琲を噴いた原因は彼女にある。

「俺が着る……って、え? 聞き間違えですよねミーファさん?」

「聞き間違えてないわ。――レゼル君が、この、振袖を、着るの」

 ミーファは振袖をバッと前に突き出して言った。

「……」

「……レゼル君が着るの」

「……」

「だから、この振袖を、レゼル君が――」

「あー、もういい。何となく分かったから」

 ミーファに対抗するように、レゼルは掌を突き出して溜め息をついた。

 何時のことだったか、ミーファはレゼルに、一年A組の出し物「和風喫茶『星月夜』」では《雲》であるというのに給仕役(ウェイター)をやって貰うと言っていた。――良い考えがあるから、と。

「……ミーファ」

「何かしら」

「一つ言う、俺は男だ」

「知ってるわ」

 ふわり、と聖母みたいな優しい表情で微笑まれた。

「レゼル君はもう顔が一般人にも割れてるわ。でも、皆、《雲》のレゼル・ソレイユは男って先入観がある。その、人に情報が回る速さを逆手に取るのよ。つまり、女になれば良いの」

「無茶言うな」

「あぁ、言い方を間違えたわ。女装して、女になりきれば良いの」

「だが俺の感想は変わらない。――無茶言うな」

 レゼルの淡白というか全く乗り気でない(当たり前だ)態度に、むぅ、とミーファは唇を尖らせた。

「だって、こうでもしないとレゼル君、出し物に参加出来ないじゃない」

「……厨房は?」

「……それは、えと……ごめんなさい。レゼル君を厨房に回すのは、クラスメイトの皆の同意をどうしても得られなくて」

 ポニーテールを揺らして、ぺこ、と頭を下げられる。

 薄々予測はしていたが、やはり皆、《雲》の作ったものを客に出したり、《雲》を厨房に立たせるのは嫌なのだろう。とはいえ、レゼルはミーファに謝らせたかった訳ではない。すぐに彼女には頭を上げて貰った。

 しかし、それでもミーファは俯いたままだ。最近気付いたが、彼女はレゼルが《雲》だという話題に触れるとき、決まって元気が無くなる。それを隠そうとする素振りも見せるが、何と言うか、正直バレバレだ。

 何だか一気に空気が暗くなってしまったな、と思いながら、レゼルは笑顔を浮かべた。

「ミーファ、俺は大丈夫だから。何時も心配してくれてありがとうな」

「そ、そんな……じゃ、じゃあ女装してくれるの?」

「え? そこに飛んじゃうのか?」

「だって、レゼル君、大丈夫って――」

「込めた意味が違う!」

 レゼルは頭を抱えた。女装? ――有り得ないだろ。

「女装なら正体がバレる確率はぐんと下がるのよ」

 ミーファは振袖を畳んで紙袋に仕舞いながらレゼルへの説得を試みる。

「ああ、そうだな」

 レゼルが頷く。瞬間、ミーファの表情が晴れ渡った。

「ッ! じゃあっ」

「だが断る」

 紙袋を抱え、少女は黙り込む。

「……あの」

 そこで、今まで口を開かなかった赤髪の少女が彼女を見て声を発した。

「……何? セレン」

「女装ではなく、普通の変装では駄目なのですか?」

 ミーファは困ったように眉を寄せ、

「駄目ってことはないわ。ただ、生徒のプロフィールデータとして撮った写真とかも一般人に回っちゃってるだろうし……女装した方が確実で安全なのよ」

「……それもそうですね」

 一言言うなり、再びセレンは口を閉ざしてしまった。

「という訳でレゼル君、女装して! 言っておくけど、出し物に参加しないって選択肢はないから」

「何で」

「それが学院のルールだから」

 一言で簡潔な理由だ。何とも分かり易い。

「……っていうか、まず、前提として可笑しいと俺は思うぞ」

 まだ女装を認められないレゼルは、必死に食い下がった。

「何で俺が女装したら周りに《雲》だって――レゼル・ソレイユだってバレないんだ? 男の女装なんて気持ち悪過ぎてすぐにバレるだろ」

 レゼルにとっては至極尤もな意見だったのだが、それを聞いたミーファはきょとんとした。彼女の翠色の瞳は「何言ってるの」と言っている。何を言っているんだは此方の台詞のはずなのに。

 (あまつさ)え、セレンまでもが不思議そうにレゼルを見た。

「……えっと、それは一番問題無いわよ」

 え、何故?

「だってレゼル君、女顔だしちょっと童顔だし可愛いし其処らの女の子より綺麗だし私結構悔しいし声もボーイソプラノだから全然女の子でいけるし」

「頼むから黙ってくれミーファ。ブロークンハートしそうだ」

 ――俺に男らしさは欠片もないのか。

 駄目だ、ここにいれば男のプライドをズタズタにされる、と感じたレゼルは、躊躇うことなくソファから立ち上がった。

「レゼル君?」

「レゼル?」

 ミーファとセレンが頭上にはてなマークを浮かべて見上げてくる。

 ――ごめん。

 誰にともなく心の中だけで呟いて、レゼルは二人の視線を振り切ると自室を出る為に駆け出した。

「あっ、ちょっとレゼル君!?」

 まさかの逃亡に固まるミーファ。

 靴を履いたレゼルはミーファに見えないように己の身体の陰で電流創造をして扉をスライドさせると、寒い廊下に飛び出した。

「ま、待ちなさいレゼル君!」

 フリーズしていたミーファは、彼の姿が閉じたスライドドアの向こうに消えてからやっと動きだした。

 レゼルを追い掛ける為、彼女も振袖入り紙袋を置いて部屋を出る。


 ――創造術師達の鬼ごっこの幕が、開いた。


「朝から元気ですね」

 一人残されたセレンは、取り敢えず朝食の乗っていた皿を片付けてしまおうとソファを立った。

 読んで下さった方、ありがとうございました!


 今回のタイトルですが……意味は「逃げろ」であってますよね? 英語苦手な癖に無理して使うからこうなるんだ/殴


 話は変わりますが、今回の話は珍しく一気に書き上げました。一週間とちょっと前くらいに久々に感想を頂きまして、やる気が溢れたんです! 感想には偉大な力がありますよね。感想を貰う度にいつも思います。いままでに感想を書いてくれた方、改めてありがとう!


 って、何だかいつも後書きとか長文になってしまいますね、すいません。自分が作者さんのコメントとかって好きな方だからかな?

 次回は主人公女装するのでそういうのが苦手な人は気をつけて下さいすいません。設定上、女装でもしなきゃ表に出られない主人公……何て哀れなキャラを作ってしまったのか(笑) 

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