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血染めの月光軌  作者: 如月 蒼
第一章 創造祭編
34/61

第31話 イミテーションモーニング・トーク

 突然ですが謝罪をば。

 『第29話 虐め』にて、「真っ青な空」という記述がありました。もう皆さんお忘れかもしれませんが、この物語の世界には朝――というより太陽が無いのです。それなのに「真っ青な空」って、オイ。おもっくそ太陽出てんじゃねぇかッ! ギンギラギンだよ! ちっともさりげなくねぇよ! この小説終わっちまうわボケェッ! と、一人でツッコんでたのは何時だったか。

 本当にダメダメですみません。こんな奴ですが、よろしくお願いします……。愛想尽かさないで下さい(汗

 あ、「真っ青な空」は「星の瞬く冬の夜空」に編集しました。


 そして今回の題名は多分英語として可笑しいです。作者は英語というものが苦手です。正確性は求めるなかれ。大変なお目汚しですが雰囲気から意味を汲み取っていただければ嬉しいです。

「……というか」

 レゼルは珈琲のカップに口を付けながら、じとっとした目で向かいに座るルチアを見た。

「ルチアさん、ちょっとは顔隠した方が良いですよ? 貴女は有名人なんですし」

 目の前でサンドイッチを食べている彼女は、堂々とその童顔を晒している。流石にNLFの制服は着ておらず私服姿だが、水色のツインテールはかなり目立つ。

 彼女は《暦星座(トュウェルブ)》で、しかも一般に知られている限り唯一の、NLFに所属している《暦星座》だ。創造術関係の人々が沢山訪れる創造祭で、少しも顔を隠そうとしない彼女はかなり危なっかしい。

「別に大丈夫じゃない? さっきだって大通りで気付く人なんかいなかったし?」

「そうですけど……」

 忌み嫌われる《雲》として生きてきたレゼルは、仕方のないこととはいえ警戒心が人一倍強い。街中では顔と髪を隠すのが常となっている彼からしてみれば、《暦星座》であるのに堂々と街を歩けるルチアが信じられなかったし、多少羨ましくも感じた。

 もし誰かがルチアに気付いてしまったら、面倒なことにもなるだろうに。何時もは淡々とNLFの任務を(こな)すルチアだが、彼女には少しだけ自分の立場に鈍感な面があるらしい。

「……大通りと言えば」

「はい?」

 いきなりポツリと呟いたルチアにレゼルは首を傾げた。

「あたしが大通りで声を掛けた時、レー君、立ち止まることは出来なくても返事をすることは出来たと思うんだ?」

「話振り返すんですか?」

「何その面倒臭そうな顔は? だって、『ルチアさん! この先のカフェテリアで!』くらいは言えたと思うんだよあたしは?」

 頬を膨らませるという子供っぽい仕草をしながら見詰めてくるルチアに、レゼルは少し眉を寄せた。

「あのですね。あんな人通りの多い中で『ルチアさん!』なんて呼んだら貴女のことがバレるでしょう?」

 ルチアはぱちぱちと目を瞬かせた。

「あ……それも、そうだね? ――なら、渾名で呼べば良かったのかな?」

「渾名……『緑さん』とか?」

「あたしは緑って名前じゃないって何度も言ってるでしょ?」

「じゃあどんな渾名で呼べば良かったんですか」

 ルチアとの会話の最中、隣の席から「話ずれてますよ」という言葉が聞こえた。

「んー、そうだね。……ルーちゃん、とか?」

 被った! と思ったのはレゼルだけではなくセレンもだろう。

 確か、ミーナがルイサを呼ぶとき、ルーちゃんという渾名を使っていた気がする。

 と、呑気にもそんなことを思っていたときだった。

「ミーナ? いるのか?」

 聞き覚えのあるハスキーボイス。その主の足音は此方へ近付いてくる。

「――ッ!?」

「え、何、どうしたのレー君?」

「と、取り敢えず俺はもう行きますね!」

 そう言ってレゼルは席を立った。同時に、自分とセレンの飲料代とデザート代を財布から取り出してテーブルに叩き付ける。

 同じ《暦星座》である彼女とルチアを会わせてはいけない。ルチアは自他共に認める有名人だ、彼女はルチアがNLFの創造術師であることを知っている。レゼルがNLFと関係があることを悟られたくはないし、《融合結晶》の件でも同様だった。

 セレンも既に状況を把握し、椅子を引いて立ち上がっている。

「え? いや、二人共本当に何があったの?」

 ルチアが戸惑った顔で見上げてくるが、

「何でもないですって」

「何でもありません」

 レゼルとセレンに同時にそう言われてしまっては、訳の分からないままただ呆然とするしかないのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 セレンと共にルチアの座る席から離れたレゼルは、案の定、カウンターからパンと紅茶の乗ったトレイを受け取るルイサ・エネディスを発見した。

 だが、レゼルとセレンはまるで今彼女の存在に気付いたかのように声を掛ける。その声はルチアに聞こえないよう小さめだ。(別にルチアにはルイサがここにいることをバラしても良いのだが、そうすると必ずルチアは「『死神』に会いたい!」とか何とかふざけたことを抜かす筈である。)

「あ、エネディス先生じゃないですか」

「ん?」

 何時でもスーツ姿のルイサが此方に振り向く。レゼルは顔を隠しているので、まず彼女は彼の隣の少女を見て少し驚いた表情を浮かべた。

「セレン? ……ということは、隣はレゼル君か。二人もこのカフェで遅い朝食か? いや待て、生徒は皆寮の食堂で食べた筈では……」

 言いながらルイサは歩み寄り、レゼルとセレンの前に立った。

「いえ、このカフェの雰囲気が良かったので、私が入ろうとレゼルに頼んだのですよ」

 疑問の表情をしていたルイサに向かって、セレンがさらりとフォローの嘘を吐く。ナイスだセレン!

「ほぅ、セレンはこういう雰囲気が好きなのか……」

「それより、テラスの席に行きませんか? 冬は星が綺麗ですし」

 ここで話していてはいつかルチアにバレる。店内の席をルイサに探させるのも駄目だ、いつかルチアに以下同文。

 それなら、一直線でテラス席にルイサを連れて行ってしまえばいい。

 また、星の光を浴びることを心掛けると創造術効率が上がる――というのは実証されている為、レゼルの誘いをルイサは断ることが出来ない。

 テラス席は冬の今は寒いからあまり人気な席ではない。これで誰もテラス席に座っていないとかだったら目立って余計ルチアにバレ易くなるが、上記の理由からそんなことはない。創造術関係の人々がぽつぽつとだがテラス席を埋めているからだ。

「ああ、分かった」

 ルイサは一つ頷くとテラスの方に足を向けた。

 セレンが緋色の髪を揺らしながらその後を付いていく。ルイサはセレンを溺愛(?)しているから、レゼル達が共にいても文句は言わないだろう。

 レゼルは女性二人の背中を追って歩きながら、小さな罪悪感を感じていた。

 隠し事が辛くなったとか、そんな理由ではない。

 先程はナイスとか何とか言って自分の気持ちを誤魔化したが、やはり誤魔化し切ることは出来なかったようだ。

 ――セレンに嘘を付かせたということに、小さいながら罪悪感と自己嫌悪を抱いているのだから。

「……セレンに嘘付かせたのなんて、何回もあるんだがな……」

 レゼルは歩みを止めないまま、口の中だけで転がすように呟いた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ああ、そういえば忘れかけていたが、ミーファがお前達に伝え損なったことがあるから、もし会ったらと伝言を頼まれていたな」

「そういうの忘れそうにならないで下さい」

 駅前の広場に面するテラス席に腰を下ろしたレゼルは、ふと顔を上げて言ったルイサにピシャリと言葉を叩き付けた。

「まぁまぁ」

「何が『まぁまぁ』ですか、教師でしょ」

 だが、少しも反省した色のない返事に、レゼルの声色にも呆れの成分が混ざり始める。

 ルイサはといえば、彼などお構い無しに、トレーの上のメロンパンを千切って隣のセレンに差し出したりしている。

「セレン、口開けて……」

「餌付けかッッ!!」

 簡素な白い丸テーブルに(てのひら)を叩き付ける――が、声もその動作も控え目なものにした。店の中にはまだルチアがいる。

「それで? ミーファからの伝言って何なんですか?」

 何だか今日は朝から疲れることばかりだ、と思いながら問うと、ルイサは紅茶を一口飲んだ後言った。

「さっきのツッコミ、何時もよりキレが無かったぞ。どうした?」

「どうもしてませんよ」

「――今日は『歌姫』のコンサートがあるだろう? 午後6時には駅前にいろと言っていた」

 忘れていた訳ではないが、『歌姫』――ウィスタリアの堕天使祝打倒コンサートが開かれるのは今日、創造祭の初日である。

 ルイサに言われたミーファの伝言に、少し目線を上げてセレンの肩越しを見る。コンサートの会場となるであろう駅前のロータリー広場には、簡素ながらもステージやライトがセッティングされていた。

 突然ですが謝罪をば(再び)。

 今回の話は稀に見る短さになりました。そしてこの話に需要はあるのか? 書いてる途中、ちょっと挫け掛けました……。

 更には、インフルエンザに掛かってあーとかうーとか唸りながら書いた話でして、もう色々とごめんなさい。皆さん、インフルエンザには気をつけましょう! 気付いたら熱出てたりします!(自分は一体何の話がしたいのか)

 いつものことではあるのですが、(色々と)すみませんでした!!


 またまた突然ですが、この小説の全体のタイトルが変わるかもしれません。元々自分的にあまり納得していなかったタイトルなんです、星影月華。

 じゃあ「(仮)」とか付けとけよって話ですが、第0話を投稿した当時はそこまで考えが至らず……すいません。

 奇跡的にも、この小説には50人以上の方々がお気に入り登録して下さっていて、そのような心優しい方々の為にも自分が納得出来るタイトルを、と。如月は世界が狭いので(笑)、ランキングとかに載るのはとっくの昔に諦めてます。お気に入り登録四桁とか、凄い小説やユーザー様が存在しますが、自分とはもう世界が違いますね……。

 長くなりましたが、気付いたらタイトル変わってるかもしれませんのでご了承下さい。あ、でも、苦情は受け付けます。「前の方がいい」「もっと違うのにして」「雰囲気に合ってない」など、伝えて下されば即行で戻す&変えます。


 では、今回も読んで下さりありがとうございました! 

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