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血染めの月光軌  作者: 如月 蒼
第一章 創造祭編
32/61

第29話 虐め

 今回の話から第三部始まります。

 そして相変わらずの駄文っぷりです。


 前の話のタイトルが「そして彼らは日常へ」だったので、今回は日常です。日常です。誰が何と言おうと日常です。……読んで下されば分かると思いますが、ちょっと悲しい日常です。

[第一章 創造祭編・第三部「創造祭」 創始]










 堕天使襲撃戦争があったのは金曜日のこと。それから土日を挟んで、月曜日の朝。

「……えっと、ミーファ、入れないんだが」

 前の扉から普通にA組の教室に入ろうとしているレゼルを、何故かミーファが入り口で仁王立ちして必死に妨害していた。

 彼女の額にはうっすらと汗が浮かんでいる。

「……どいてくれないか」

「だっ、ダメ!」

「何で?」

「な、何でって……その、えっと……とにかくダメっ!」

「……」

 レゼルは困り果てたような顔をした。

 それから思い付いて、二つある教室の入り口の内、もう一方の入り口へと向かった。

 教室のドアは自動スライド式ではないので、窪みに指を引っ掛けて一気に扉を開く。

「だ、ダメだってば、レゼル君!」

 教室の中をダッシュして来たミーファが、またもやレゼルの前に立ち塞がった。

 と、その時。


 ボフッ


「……」

「……」

 黙り込むレゼルとミーファ。

 そして、白い粉(まみ)れになった彼女の金髪。

 扉に挟まれていた黒板消しが、ミーファの頭に直撃していた。しかも、その黒板消しはまるで意図的に付けたようにチョークの粉がたっぷりと付いていて。

 ミーファは足下に転がった黒板消しを見て、顔を歪ませた。

 やべぇ、マジかよ、何でよりによって代表に当たるんだ、という教室からの少し慌てた囁き声がレゼルの耳に入り、彼は全てを理解した。いや、理解というか、ミーファが教室に入らせまいとする理由は最初から予想がついていたのだが。

「……大丈夫か、ミーファ」

「え、ええ、大丈夫……って、絶対レゼル君扉に黒板消しが挟まってるの分かってたでしょ!」

「ああ、まぁ」

「やっぱり! 可笑しいと思ったのよ、何時も後ろから入ってくるレゼル君が、前から――教壇の方から入ってくるなんてね!」

「……よく見てるな」

 レゼルがちょっと驚いて言うと、

「えっ、や、そんなことないわよっ……私は、別に……」

 ミーファは頬を朱に染め顔を俯かせてしまった。

 彼女が俯いたことでレゼルからよく見えるようになった旋毛(つむじ)は、チョークの粉で真っ白だった。

 レゼルは教室前の廊下に来たときから、後ろの入り口の扉に黒板消しが挟まっていることを知っていた。それがまさか、ミーファに当たってしまうなんて。ちょっと罪悪感を感じる。

「……」

 これからどうしたらいいものか、と悩んでいると、廊下に見知った気配を感じた。

 振り向いてみれば、大きな口を開けて欠伸をしながら歩いてくる晴牙の姿。

「おはよう、ハルキ」

「うっす、レゼル。……って、こんなトコでどうしたんだよ? 入んねぇの?」

 心底眠たそうな声でそう言い、晴牙は教室の入り口に目を向ける。そして、そこに立つチョークの粉を被った少女を見て、目を丸くした。

「ミーファ? お前、そんな色っぽくねぇ格好して何してんの?」

「色っぽくないは余計なお世話よ!!」

「ぐはぁっ」

「あー、コントはいいから。というかハルキ、お前怪我は? もう良いのか?」

 蟀谷(こめかみ)に青筋を浮かべたミーファと、彼女に殴られた晴牙の間に入り、レゼルは彼に訊ねた。

 晴牙は赤くなった頬を擦りながら、

「おぅ、もう全ッ然大丈夫だぜ! この週末、学院長にも診て貰ったし」

 彼の元気な声と言葉を受け、レゼルはそうか、と笑った。

「……お前ってさ、色々損してるよな」

「は? 突然何だよハルキ」

「いや、レゼルって綺ッ麗な女顔だしさ……《(クラウド)》じゃなかったら、って思うと……」

「……それは俺を貶してるのか?」

(ちげ)ーよ、誉めてんの」

「嬉しくねぇ……それにそんなの、今言っても仕方ないだろ」

「まぁ、そうなんだけどさ」

 晴牙は一言そう言うと、教室の方に視線をやった。

「ま、何となく今の状況は理解(わか)った」

「編入したときから覚悟はしてたけどな。随分子供っぽいというか、何と言うか……」

 レゼルはミーファの方に向き直ると、小さく苦笑した。

「ミーファ、俺は大丈夫だから。教室の中へ入れてくれ」

「……」

 黙り込んだ少女は髪に付いた白い粉もそのままに、身体をずらした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『死ね』

『神に見捨てられた人間が!!』

『バケモノ』

『近付くな!』

『雲のクセに』

『気持ち悪いんだよ』

『失せろ』

 自分の机の上に書かれた罵詈雑言を見て、レゼルは溜め息を溢した。

 しかし、彼の今の心境は「ああ、やっぱりこうなるか」とその程度のものではあったが。

 真っ黒のマーカーペンで書かれた悪口にしても笑えないようなそれらは、所々消え掛かっていた。

 レゼルは机から顔を上げる。そこには、雑巾を片手に肩を震わせるノイエラの姿があった。

 彼女は、ミーファがレゼルを教室に入れさせまいと時間稼ぎをしている間、懸命に机のインクを消してくれていたのだろう。本当に、自分には勿体ない優しい友人だとレゼルは思った。

 A組の生徒達は殆どがレゼルの机を遠巻きに睨み付け、或いは滑稽にも気付かない振りをする中、レゼルはミーファとノイエラに微笑を浮かべて見せた。

「ありがとな、二人共。でも、こういうことされるっていうのは編入したときから予想してたから、俺は大丈夫だ。全部覚悟の上だし」

 レゼルは二人を安心させようと、そう言った。だが、二人の表情は優れない。

「……でも、こんなの」

 ノイエラがレゼルの机を見詰めて呟いた。

 それきり黙ってしまった彼女にレゼルはどうしていいか分からない。何時もならこういうときはミーファがノイエラを支えているが、当のミーファもノイエラと同じく口を噤んでしまっている。

「……」

 少しの間考えた末、レゼルは晴牙に助けを求めた。斜め後ろに視線を送る。

『自分で何とかしろ、この女泣かせ魔』

 しかし、彼からは唇の動きだけでそんな無情な言葉が返ってきた。つか何だ、女泣かせ魔って。別に泣かせてねぇし。

「……えっとだな、二人共、そんな顔するなって……」

 神どころか晴牙にまで見捨てられた結果、出てきたのはどこぞのロマンス小説にありそうなヘタレ男の台詞。後ろから感じる晴牙の視線が痛い。放っとけ馬鹿ハルキ。

 と、ミーファは机の『死ね』という文字を白く細い、綺麗な指で撫でた。

「……これ、消えるわよね?」

「え?」

 レゼルはミーファの方を見た。彼女はまだ俯き、顔を伏せている。

「油性なの。せめて水性だったら良かったのに」

「代表、そういう問題じゃないですよ!?」

 ミーファとノイエラのやり取りに、レゼルは思わず小さく噴いた。

「何だミーファ、そんなこと気にしてるのか」

「そんなこと……って、大事なことでしょ!」

「そうか? まぁ、その点なら心配要らないよ」

 レゼルは(おもむろ)に机の上に手を翳した。

「……!」

 レゼルを除いて、教室にいる者が皆息を呑んだ。

 机と手の間で弾けた強烈な光と共に、一瞬だけレゼルの髪と瞳の色が変化を起こす。しかし、光も身体の変化もすぐに消えた。

「な、何、これ?」

 皆が注視した机の上。そこには白濁色の粘りけのある液体が(こぼ)れていた。ほんの少しだけ発光している。

「創造物……ですよね。何を創造したんですか?」

 ノイエラが首を傾げる。

「ああ、それは――」

「なんかいやらsッ――ぐにゅあッ!?」

「殴ろうか? ハルキ」

「もう殴ってますけどレゼルさん?」

 という、教室の隅に吹っ飛んだ馬鹿のことは無視して、レゼルは液体の正体を明かした。

「別に何てことない。ただのインク落としだ」

「ああ! その手があったわね!」

 ぽん、と手を叩いて納得したように頷くミーファ。インク落とし創造しちゃえば落書きなんか無駄ね無駄、彼女はそう言って笑った。

 レゼルは苦笑しながらノイエラから雑巾を受け取った。少し力を込めて雑巾で机を(こす)ると、落書きはすぐに消えて跡形も無くなった。

「これでよし。二人共、本当にありがとな」

 自分を気遣ってくれたミーファとノイエラ。二人に再び礼を言う――どちらかと言えば巻き込んだことへの謝罪の気持ちの方が強かったが、謝ってもそれを二人が受け入れないことは分かりきっていた。

 と、その時、教室の前の扉が開いた。ルイサとセレンが入ってくると同時にチャイムも鳴る。

 レゼル達が各々席に座り、生徒達は皆そそくさと自分の席へ戻り、慌てて教室に駆け込んできた水蘭とサラが、A組の雰囲気に首を傾げた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 今日も創造祭の準備で学院の生徒達は大忙しだ。

 レゼルと晴牙は、A組の出し物『和風喫茶「星月夜」』で使う用品の入った段ボール箱を両腕に抱え、中庭の渡り廊下を歩いていた。

「なぁレゼル、今日の昼は何食う?」

「んー、別に何でも。今までに食べた奴じゃないなら」

「んだよ連れねぇなー。牛丼か豚丼か親子丼か猪丼か……」

「何でも良くね、ソレ? つか猪丼ってあんのか?」

 などなど、二人は荷物をA組に向かって運びながら極めて馬鹿且つ気だるげな会話をしていた。

 レゼルが背筋に薄ら寒いモノを感じたのは、そんな何でもない日常にいるときだった。

 肌が粟立つ。何処だ、何処からだ、この嫌な気配は――

「レゼル? おい、どうしたんだよ。急に黙って――」

「上だッ!!」

「へっ?」

 ハプニングというものは唐突にやって来る。

 レゼルは抱えていた段ボール箱を投げ捨てると、状況を理解出来ず固まっている晴牙を突き飛ばした。

「ぉわぁっ!?」

 晴牙の身体が渡り廊下の冷たいコンクリートの上に押し倒され、彼の抱えていた段ボール箱が宙を舞った、次の瞬間。


 ガシャンッ


「――え?」

 レゼルの顔の奥で輝いていたステンドグラス――渡り廊下の屋根だ――が割れた光景と音に、晴牙が間の抜けた声を上げた。

 そしてもう一度、今度は何かが落ちて来てコンクリートに衝突したような音。

「な、何が……」

 眼前の晴牙の顔が困惑に染まっている。だがレゼルはそれを無視して、首を後ろに(めぐ)らせた。

「レゼル……? おい、何があった? 急にサカってんじゃねぇよ、俺は男に押し倒されて悦ぶ趣味は()ぇ」

「馬鹿なこと言ってんな、気持ち悪い。俺だって無ぇよ」

 晴牙のちょっと不機嫌な声に返事をし、レゼルは彼の上から身体を退かした。彼は押し倒された際コンクリートに頭を打ったのか、後頭部を押さえながら上半身を起こした。

「何だってんだよ。いきなりステンドグラス割れるし――」

 だが晴牙の言葉は、彼の爪先から数センチの場所を見たところでピタリと止まった。

 そこには、割れて土を溢れさせた鉢植えが転がっていた。綺麗に咲いていたであろうピンクの小さな花は、無惨にも土の下だ。

「……何、これ」

「鉢植えだろ」

「や、それは分かってるんだけど。何でこんなものが落ちてくんの?」

 あっぶねぇ、と眉を顰める晴牙。頭に当たっていれば取り返しのつかないことになっていても可笑しくない。しかも晴牙は背中の怪我が治ったばかりである。

「……まぁ、俺の所為だろうけど」

「は?」

 溜め息混じりに溢したレゼルの台詞に、晴牙はきょとんとした。

「朝のこと思い出せよ。ほら、机の落書き。つまりはそういうことだろ」

「ああ……成程な……って、じゃあ何故に俺の頭の上に落ちてくんだよ!? ちゃんとレゼルの頭狙えよ――ぐぇっ」

渡り廊下の屋根(ステンドグラス)の所為で狙いミスったんだろ。しかも俺らは歩いてた訳だし……つか、やっぱ殴っていいか?」

「もう殴ってますけど、レゼルさん? なぁ、もうこのネタ止めないか。二番煎じは誰も喜ばねぇよ」

 ステンドグラスの下から出て、中庭に積もった雪に埋まった馬鹿の言葉は無視して、レゼルは上と下を交互に見た。

 上。色とりどりの光を投げ掛ける美しいステンドグラスが、一部だけぽっかりと穴を空けている。穴からは星の瞬く冬の夜空が、その端の方からは本校舎の屋上がちらっと覗いていた。当然のように、鉢植えを故意に落とした犯人の姿はもう影も形もない。

 下。そのステンドグラスを突き破ってきた鉢植えが無惨な姿を晒し、周りには色鮮やかなステンドグラスの欠片を散らばらせている。

「……」

 レゼルは無言で、土の下敷きになったピンクの花の上から土を退けてやった。

 小さな花は健気にも、まだまだ生気を失ってはいなかった。少し儚げに見えるものの、開いた花弁は目に眩しいほどで。

 どんなことがあっても揺るがないその姿に、レゼルは勇気を与えられた気がした。

「レゼル? どうした?」

 雪の中から這い出てきた晴牙の声で、レゼルは我に返った。

「あ、いや、何でもない。……それより、これ、早く植えてやらないと」

「あれ、お前って、花とか好きなの? 女々し」

「そういう訳じゃねぇけど。つか、男にも花好きはいるんじゃないか?」

「そうかぁ?」

 そんな会話を交わしながら、レゼルは割れた鉢植えの処理に、晴牙は散らばった段ボール箱の中身を掻き集めに掛かった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「なぁ、ハルキ。花ってさ、冬に咲くか?」

「いや、咲かないだろ」

「だよな、やっぱ」

「あれ? でもそういや、落ちてきた鉢植えの花って咲いてたよな?」

「ああ」

「……もしかしてあれ、地下栽培室(ジオプラント)で育ててる奴か? そこからご丁寧に持ち出したっていうのかよ?」

「しかも本校舎の屋上まで運んで待ち伏せて狙い定めて落としてな」

「……幾ら何でも、たかが虐めにそこまで労力使うとは――」

 ――思えない、と続く筈であったろう晴牙の言葉はそこで途絶えた。

 場所は本校舎の昇降口。下駄箱のロック付き扉を彼が開けたときだった。

「どうした?」

 晴牙が段ボール箱を下ろしたその隣にレゼルも荷物(ダンボール)と、花と土の入ったビニール袋を下ろしながら、訝しく思って訊ねた。

 因みにビニール袋は段ボールの中に入っていたものだ。学院の備品だが、一袋だけ拝借した。

 晴牙は一向にレゼルの質問に答えない。ただ、ぽかんと自分の下駄箱の中を見詰めている。何か入っていたのだろうか。扉に隠れてしまってレゼルには見えない。

 レゼルはそんな彼を横に、返事が返ってくることは諦め、自分の下駄箱の扉を開けた。

 そして彼も唖然とした。

「……何だ、これ」

 レゼルの声に、晴牙が此方に首を回した。

「……レゼル、お前は何が入ってた?」

「あー、何だろな、これは。……(多分)墨?」

「何の墨だよ」

「あー、これは臭いからしてアレだ。イカスミパスタだ。イカスミパスタが下駄箱ん中に突っ込まれてる。――お前は?」

「え? ここで俺に振るの? こういうときこそ無視しろよ」

 晴牙の言葉に、イカスミパスタのぶち込まれた下駄箱から視線を外したレゼルは、据わった目付きで彼を睨んだ。

「で? 何が入ってた?」

「はは、馬鹿だなレゼル。俺が虐めに遭う訳ないだろ。レゼルじゃないんだから」

「嘘吐くなボケ」

「お前何だか最近酷いよな。……俺はだな、(多分)胡麻プリン」

「黒と灰色っつー《雲》色の(いき)な計らいってことか」

 レゼルと晴牙は深い深い溜め息を吐いた。

「何で晴牙まで……」

「……まぁ、思い当たる節はあるけどな。ほら、俺が本気(マジ)ギレしたときとか」

 言われてレゼルは思い出す。晴牙が実の父に殺された妹のことを教えてくれた日のことだ。

 と、そこで晴牙はハッとしたように此方を向いて、

「だからってレゼル、別に気にすんなよ。これは自業自得で、お前の所為じゃねぇから。迷惑掛けるとか思い込んで俺とかミーファ達とか避けたりしたら殴るから」

「……殴るのかよ」

「おう。あ、別に蹴りでも可」

「どっちでもいいって」

 改めて、思う。本当に、自分には勿体なさ過ぎる友人だ。

 そう思ったから、知らず知らずの内、レゼルの顔には笑みが浮かんでいた。

「というか、どうすんだよ上履き。ベトベトじゃん」

 晴牙は恐る恐る下駄箱に手を入れた。取り出したのは胡麻プリンに塗れ汚れた上履きだ。

「勿体ないな、イカスミパスタも胡麻プリンも」

「だよな。ったく、食べ物を粗末にすんじゃねぇよ。これもご丁寧に食堂で買ったのか? つか、虐め初日からコレってどうなの?」

 眉を顰める晴牙に、レゼルはだるそうに首を傾げた。

「さぁ? 学院……というか教育機関に関してはお前の方が詳しいだろ。俺は教育機関というものを直に体感してまだ一週間も経ってないんだぞ」

「……取り敢えず、上履き洗ってスリッパ借りるか。あーあ、教室戻ったら確実ミーファに『遅い!』ってどやされるな、こりゃ」

 気分は沈んでいくばかりだ。

 それでもレゼルは何ともなかったように耐えられる。根本的なところで、こんな虐めはレゼルの心を揺さぶることはない。

 ――それは、「彼ら」がいてくれるからであり、悲しいことに、こういうことに耐性ができているからでもあった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 それから、虐めはどんどんエスカレートしていった。

 流石に、ミーファやノイエラ、セレンなど、女子に対するものは無かったが(少しは後ろめたさがあったのかもしれない。それと、虐めの中心にいる奴は男子なのかもしれないという推測が付いた)、レゼルや晴牙に対しては思わず呆れてしまうほどの子供っぽい虐めから笑えないような虐めまで行われた。

 レゼルや晴牙の様子が何時もと全く変わらなかったのも、虐めをする生徒達に拍車を掛けたのかもしれない。

 そんな日々は過ぎていき、あっという間に創造祭の初日がやって来た。

 読んで下さりありがとうございました。


 ただの虐めの話にしたくなかったので、自分なりにいつもよりギャグっぽいものを入れてみたつもりなのですが……とにかく楽しんでいただけたなら幸いです。

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