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あなたの優しさは、暴力でした──愛していたから、全部壊した  作者: 熊猫ぱんだ


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18/21

挨拶準備

 数日後。

 彼が言った。


 「今度さ」


 私は振り向く。


 「うちの親に会ってほしい」


 結婚の挨拶。

 その言葉を聞いた瞬間。

 胸の奥が、静かに冷えた。


 遅い。

 本当に遅い。

 でも、ちょうどいい。

 私は少し驚いた顔をする。


 「いいの?」


 「当たり前だろ」


 彼は笑う。


 「結婚するんだから」


 私は頷く。


 「うん」


 その笑顔の裏で、心は動かない。

 ただ計算する。


 タイミング。

 場所。

 順番。

 全部。


──


 挨拶の日が決まった。


 日曜日。

 彼の実家。

 両親も揃うらしい。

 彼は少し緊張していた。


 「うちの親、厳しいからさ」


 私は笑う。


 「大丈夫だよ」


 本当に大丈夫。

 むしろ、好都合。



 前日の夜。

 彼は私を抱きしめた。


 「やっとここまで来たな」


 幸せそうに言う。

 私は頷く。


 「そうだね」


 でも心の中では思う。

 終わりの場所に。



 挨拶の朝。


 私は服を選ぶ。

 上品なワンピース。

 清楚な色。

 誰が見ても『いい婚約者』


 鏡の前で微笑む。

 完璧。

 演技として。


 バッグの中には、封筒が一つ。

 中身はコピー。

 LINE。

 日付。

 写真。

 そして。

 弁護士の名刺。


 すべて揃っている。



 車の中で、彼が言う。


 「緊張してる?」


 私は首を振る。


 「少しだけ」


 彼は笑う。


 「大丈夫。俺がいるから」


 その言葉に、胸はもう揺れない。

 私は窓の外を見る。

 空は晴れている。

 穏やかな日。

 結婚の挨拶には、ぴったりの日。


 そして。

 崩す日にも。


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