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愛は、きっと祝福だと信じていた。
序章
―紫水晶の王子は、愛を失って狂った。
血の匂いは、甘い。
それが彼の最初の感覚だった。
剣を握る手に絡みつく鉄の香り、夜風に混じる焦げた土と命の残穢。
それらすべてが、かつて愛し合った女--シラユキを思い出させた。
「……また守れなかった。」
アメジスト王国の王子、アメシアは呟く。
完璧な容貌に刻まれることのない後悔が、胸の奥を蝕んでいた。
彼はもう二度と失わないと誓った。
だから奪う。
愛も、命も、未来も。
そしてその運命の剣先は、
"世界一のお姫様"と謳われる女へと向けられていた。




