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009


身体は土で汚れてしまったが、外套を頭からすっぽりと被って、前の部分を開かない様に指向性を持たせた魔力で固定して村の方まで急ぎ足でなるべく音を立てない様に脚を運ぶ。


目と鼻の先に森の切れ目とその先には村が見えた所で知性を湛えた瞳を持った狼が現れた。 大型の犬並みに大きく、ボス格だと思う狼は頭を上げれば胸辺りに届き油断した隙に首を喰い千切る事が容易い程である。

 

『猪が言った事はどうあれ、黒竜が探している獲物は小娘、貴様だろう。』


突然そう話他の狼達は私を囲んだまま警戒している。


「そう、だからアレから逃げる。 食われたく無ければ此処から『魔の森』へ横断して行けば良い、貴方達の脚なら二日で着く、彼らに私の特徴を言えば受け入れてくれる。 ただ祠に入ろうとすると殺されるから」


そう言って足を前に運ぶとボス狼は唸る


『山の主が許すと思ってるのか!』


牙を剥き今にも襲い掛かりそうな状態になった。


 そこで意識が切り替わった


「あ"ぁんっ? 狗の分際でその頭の中は空っぽか? これともクソでも詰まってんのか?」


『彼女』の口から出た言葉は下品に変わったのを皮切りにどんどん汚い言葉を喋る


「余所者だが、正直に喋ってるんだ少しは信用してみたらどうだ? あ" それもとメスガキ一匹すら信じれない程の臆病者か?」


鼻で笑い狼達を煽り貶す


囲んでいた狼達の一匹が音もなく襲いかかったがひらりと避けられ首を絞められホールドされてしまう。


「だから、ナメてんのか?」


グレープパインホールドを狼にかける外套姿の少女に首を完全にロックされジタバタと暴れる狼の図


他の者が見たら完全に異質な光景が出来上がった。


『若いのを絞めてるだけで良くイキがれるものだ、このまま時間を稼がせて貰おう、我々も始祖様を殺される訳にはいかないのでな』


嫌らしくニヤリと笑う様に口を歪めるボス狼、捕らわれた狼は抵抗をやめ、頻りに『彼女』の匂いを嗅いでは首を動かし頭を擦り付ける。 それはまるで上下関係の構築が済んだかの様だった。


「俺はあの黒竜をコケにするだけだ、だから人里で気配を出して誘き寄せるんだ、それが嫌なら今此処でやってやろうか?」


脅す様に声を低くし獰猛に笑うと囲っていた群れの狼達がモーゼの海割りの様に道を作りボス狼が吼える。


『貴様ら! たかが人間の脅しに屈するとは!誇りが無いのか!!』


それを『彼女』は興味を失ったかの様にほボス狼から視線を外し、道を歩き森の境界線とも言える茂みをぬける。そしてその歩みは村へと向かっていた。ふと、『彼女』が振り返ると言う。


「森に人間が逃げて来ても襲うなよ、襲うと俺といた事がバレて黒竜の腹の中に収まるからな、その体の匂いを川辺で消して人間達と大人しく隠れてるんだな」


そう言う捕らえいた狼を解放し再び歩きだす、その後ろから匂いを嗅ぐのに解放された狼はピッタリと背後を尾行していく。 狼の尻尾はブンブンと風切り音を出していた。




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