008
洞窟から出ると岩肌がゴツゴツと粗く鋭い、私はそんな山の中腹にある洞窟に囚われていた様だ、そして
辺りを見渡すと左の所に川とその
付近に村があった、そして洞窟から出て左は崖である。
崖に近付き、下を見ると丁度良く湖があった。
それを見て思ったのは故意的に緑を枯ささせたとしか思えなかったが、考えている時間が惜しい。
助走を付けて崖から飛び降り、少量の大気のエーテルを使い自分の足の裏に膜を貼り衝撃に備える、すると衝撃の後には沈み、力を抜き浮力を得てから畔へ泳ぎ、陸へ上がる。
身体は冷えてしまったが、まだ日が出てるから乾く、そして川辺には人間がいたから最悪奪えばいい。
・・・
森の中を身を屈めたまま走ってると話せる獣と会った。
「人間どうした、此処は我等の縄張りだ」
人間の言葉を魔法で堪能に話す猪が目の前から出てきた。
「すまない、黒竜が狩りへ出掛けたので逃げてきた、出来ればこの鎖を魔法で砕いてはくれないか、そうすれば森から出る」
そういうと、「ピギィ!」と驚いた声を猪は出した。
「何だと! こうしては居れん、その情報に免じて枷は取れんが其方の言った通り鎖だけは砕く、そして他の森の者達にも会い次第伝えて欲しいのだ」
そして言うが早く風の槌で砕いた後、鎖と三本の杭を風化させ去って行った。
何かの武器にはなるかと残された杭を持ち、他の獣達にも言いながら川辺へと屈みながら走った。
・・・・
川辺には水浴びをしている人間の男がいた。 その者の持ち物である外套だけを気配を消しながらゆっくり奪い、村へ走ろうとしたが柔らかい土に足を捕られ転けた。
その瞬間に男が此方に気づき吃驚した声を上げた。
「ヘェっ? 全裸の女性が俺の外套を奪ってる!」
急いで私は立ち上がり森を突っ切て村へ走る。
男はポカンと惚けながら言った。
「運命だ、場所は判るからゆっくり追いますか、それにしても、裸外套、いや裸マントかぁ」
そうしみじみと呟いていた。