第八話
宇宙暦四五二二年五月一日(帝国歴三七二二年五月一日)
スヴァローグ帝国の帝都スヴァローグ。
帝都にある皇宮の謁見の間では金色を多くあしらった煌びやかな軍服風の衣装をまとった皇帝アレクサンドル二十二世が玉座に座っている。
彼の前には臣下たちが並んで立ち、その先には大型のスクリーンがあり、そこにはペルセウス腕の星系図と各国の国力および兵力を示す数字が並んでいた。
自由星系国家連合への侵攻作戦に関する朝議が行われていたのだ。
帝国の悲願は自由星系国家連合の工業国家ヤシマと食糧生産能力が高いロンバルディア連合を無傷で併合することだ。
特にアルビオン王国やゾンファ共和国に技術力で後れを取っている帝国にとって、ヤシマの技術力は喉から手が出るほど欲しいものだった。
他国からスヴァローグ帝国と呼ばれる“銀河帝国”はスヴァローグ、ストリボーグ、ダジボーグの三つの星系で構成される。
帝都があるスヴァローグを皇帝が支配し、残りのストリボーグとダジボーグには“藩王”と呼ばれる支配者が君臨し、皇帝に臣従することで帝国を形成する。
つまり帝国は強力な中央集権国家ではなく、三つの王国の連合国家であると言えるのだ。
これは三つの星系の国民性が微妙に異なることが大きな原因だ。
地球のあるオリオン腕より、ここペルセウス腕に進出した直後、移民船団は三つに分散した。これはスラブ系と言いつつも歴史や文化が異なっていたことから、長期間の航宙で軋轢が生じたためだ。
そして、三つに分かれた移民団はほぼ同時期に居住可能な星系をそれぞれ発見する。
不幸なことに入植した惑星はいずれも地球化が完全ではなく、入植初期には多くの困難に直面した。そのため、各星系では自らが生きていくことに必死で、他の星系と交流する余裕はほとんどなかった。
これがスヴァローグ帝国の国民性に大きな影響を与えた。
数百年単位で交流が行われなかったことにより、同胞という意識を醸成することができなかったのだ。
もし、アルビオン王国のように本星系であるアルビオンから植民星系であるキャメロットに進出したのであれば、同胞という意識は持ち続けられたかもしれない。
但し、帝国臣民の共通する国民性として猜疑心が強いということがある。このため、他の星系の者を容易に信用しないということも一つにまとまれない要因の一つと言えるだろう。
同じ星系の同胞のみが信じられるという意識は合理的な考えの持ち主であるアレクサンドルですら排除することはできないでいる。
だからといって帝国の歴史においては強力な皇帝が中央集権体制を構築したことがなかったわけではなかった。
圧倒的なカリスマ性を持った指導者が現れ、真の“銀河帝国”の再興を目指して統一国家となったこともあった。また、強力な武力を背景に藩王国を解体しようとした皇帝もいた。
実際、アレクサンドルもそれらの皇帝と同じく、藩王の力を弱め、強力な体制を作ることを考えている。
アレクサンドルは元ダジボーグ星系の藩王であったが、今ではスヴァローグとダジボーグの二つの星系を支配している。
しかし、内戦によって皇帝にのし上がったアレクサンドルはスヴァローグ星系を完全に掌握しているとは言い難く、権力基盤は決して盤石なものではなかった。
また、共に前皇帝と戦ったストリボーグを支配する藩王、ニコライ十五世とは主従というより同盟に近い関係であった。ニコライを警戒するものの、内戦のリスクを考え、排除しきれずにいる。
そのため、外征によって自らの力を示し、ニコライに付け入る隙を与えない必要があった。
一方のニコライだが、彼は三星系で最も力の弱いダジボーグの藩王であったアレクサンドルが、自分を利用して皇帝の座についたことに納得していなかった。本来であれば自分がその椅子に座っていると思っており、いつかその座を奪うと心に誓っている。
軍より提出された侵攻作戦案はアレクサンドルの考えに沿ったものだった。
大兵力でロンバルディアを併合した後、その勢いをもってヤシマに侵攻するという大胆なもので、今行われている朝議はそれを臣下に知らしめるためのセレモニーに過ぎない。
黒を基調とした軍服を纏った参謀が、その作戦案を説明していく。
「本作戦は二つの段階に分け、自由星系国家連合と称する烏合の衆からロンバルディア星系とヤシマ星系を奪取することを目的としております。参加する艦隊はスヴァローグより六、ストリボーグより七、ダジボーグより三の計十六個艦隊、補助艦艇を含め、八万一千二百十隻、陸戦部隊を含む兵員数は約九百五万人、帝国史上最大の作戦となります……」
そこで参加者からため息に似た声が漏れる。
長きに渡り内戦に明け暮れていたため、ここ数十年ではこの作戦の三分の一程度の規模の作戦しか行われていなかった。
参謀の説明が作戦の具体的な部分に差し掛かる。
「……第一段階として、スヴァローグ艦隊五個はアルビオン王国のキャメロット星系を目標とします。しかしながら、攻略が目的ではなく、あくまでアルビオンの介入を防ぐ陽動です。キャメロット方面艦隊と呼称し、総司令官はリューリク・カラエフ上級大将閣下、副司令官に……キャメロット方面艦隊はテーバイ星系もしくはアラビス星系にてアルビオン艦隊と接触、決戦を回避しつつ敵を誘いこむようにダジボーグ方面に転進します……」
リューリク・カラエフは参謀の説明を無表情で聞きながら、内心では苦々しい思いをしていた。彼は生粋のスヴァローグ人であり、簒奪で帝位についたアレクサンドルに忠誠を誓っているわけではない。また、スヴァローグ艦隊が決戦の場ではなく、陽動に使われることにも忸怩たる思いをしている。
更に参謀が説明を続けていく。
「……そして、第一段階の主力としまして、ニコライ藩王閣下にストリボーグ艦隊七個、スヴァローグ艦隊一個の計八個艦隊を率いていただきます。本艦隊をロンバルディア方面艦隊と呼称し、ロンバルディア星系に侵攻、敵艦隊を殲滅します……」
そこでニコライが話に割り込んだ。
「我がストリボーグ艦隊のすべてを投入し、強力な敵と雌雄を決するのだ。当然、ロンバルディアはストリボーグの植民地ということでよいのだな」
その問いに参謀ではなく、アレクサンドルが答える。
「その認識でよい。ニコライ殿にはロンバルディア方面艦隊の総司令官として自由に采配を振るってもらうつもりだ。もちろん我が帝国の戦略には従ってもらうがな」
「つまり、ロンバルディアでの行動はある程度、私の自由になると考えてよいのですな……陛下」
取ってつけたような「陛下」という尊称にアレクサンドルはピクリと眉を動かすが、すぐににこやかな笑みを浮かべ、「その通りだよ」と答える。
「了解した。では、そのことを皇帝陛下の詔書としていただけないか」
「問題ない。後ほど渡そう」とアレクサンドルがいうと、ニコライは小さく頷いた後、参謀に向かって「では、話を続けてくれ」と命じた。
そのやりとりにアレクサンドルの臣下たちは眉を潜め、ニコライの臣下たちは笑みを浮かべている。
ニコライはアレクサンドルが強く出られないことを承知の上で主導権を握っているように見せたのだ。
アレクサンドルはそのことに気づいていたが、特に咎めることなく、参謀に先を促すよう小さく頷いた。
「コホン」という咳払いの後、参謀は説明を再開した。
「ロンバルディアを併合した後は速やかに防御体制を確立していただきます。また、キャメロット方面艦隊はアルビオン艦隊と接触後、ダジボーグ方面に転進しますが、アルビオン王国が守りを固めざるを得ないよう、巧妙な罠を仕掛けているように行動していただきます。具体的な方策につきましては、敵兵力によりいくつかのオプションを用意しております……」
帝国の最大の懸念はアルビオンの介入だ。
実戦経験豊富な帝国艦隊は自由星系国家連合軍に対し同数なら圧倒的に有利、半数でも互角以上に戦えると認識している。しかし、弱兵であるFSU軍であっても精鋭であるアルビオン艦隊が加わることにより、充分な脅威となり得ると考えていた。
また、分散しているとはいえ、FSU軍の総兵力は二十六個艦隊と、二十五個艦隊しかない帝国に勝る。そこにアルビオン艦隊が加われば、数で圧倒される可能性は否定できない。
但し、精鋭であるアルビオン艦隊といえども、現在ヤシマに派遣されている三個艦隊では抑止効果以上のことは期待できないとも認識している。指揮命令系統が統一された帝国艦隊が脅威に感じるのは五個艦隊以上、それ以下ではFSU軍と分断して各個撃破することはさほど難しくない。
つまり、アルビオン艦隊をこれ以上ヤシマに派遣させないことこそが、帝国の勝利の鍵となる。このことは帝国の為政者、そして軍人にとっては共通認識だった。
ロンバルディア星系からキャメロット星系までは三十四パーセク(約百十一光年)あり、情報通報艦による連絡でも一ヶ月以上掛かる。
そのタイムラグに加え、アルビオン艦隊を一ヶ月程度テーバイ星系に留めることができれば、その時間を利用してヤシマの制圧も充分に可能と考えられた。
「……アルビオン王国の介入を防ぐことができれば、我が国の勝利は約束されたものとなるでしょう。第一段階の戦略目標であるロンバルディア艦隊殲滅により自由星系国家連合は兵力の二十パーセントを永遠に失います。また、ロンバルディア星系を占領することにより隣接するシャーリア法国は連絡線を失い、シャーリアにある五個艦隊を事実上、無力化できるのです。この結果、FSUの兵力は六割以下にまで低下します……」
シャーリア法国はロンバルディア星系とストリボーグ星系としか接続されていない。そのため、ロンバルディアが帝国に占領されれば、シャーリアは帝国の中に埋没することになる。防衛戦力は残るものの、連携を取るための連絡手段を失うことから、五個のシャーリア艦隊は完全に遊兵と化す。
「……更にFSU最大の人口を誇るラメリク・ラティーヌ共和国ですが、彼の国は次の標的になるのではないかと守りを固めるしかありません。ここまでが作戦の第一段階、ロンバルディア併合作戦となります……」
アレクサンドルは表情を変えることなく、参謀の説明を聞いていた。しかし、彼の意識は最も近い位置に立つ藩王ニコライに向いている。
その間にも参謀の説明が続いていた。
「……ロンバルディア併合後、作戦は第二段階に移行します。第二段階の戦略目的はヤシマ星系の併合となります。こちらをご覧ください……」
スクリーンの表示が一ヶ月後の状況に切り替わる。
「ロンバルディア方面艦隊のロンバルディア会戦での消耗率を十五パーセントと想定しました。烏合の衆に過ぎないロンバルディア艦隊の実力を考えるといささか保守的すぎると考えますが、併合完了時点で損傷した艦艇も復帰し、七個艦隊が健在であるという前提としました。この状況からスヴァローグよりダジボーグに移動した三個艦隊と、ロンバルディア方面艦隊七個の計十個艦隊がヤシマに侵攻すれば、僅か六個艦隊しか持たないヤシマを攻略することは容易であると考えます……」
そこで再びニコライが口を挟んだ。
「ヒンド共和国が援軍を出すのではないか」
参謀は想定された質問であったため、流れるように答えていく。
「その可能性はございます。しかしながら、ヒンド共和国が有する艦隊は僅か五。ヤシマとラメリク・ラティーヌのどちらから帝国艦隊が攻め入るか分からぬ状況ではヤシマに二個艦隊を派遣することが限界でしょう」
「それでも二個艦隊一万隻は大きいのではないか」と更にニコライが指摘すると、参謀に代わって、アレクサンドルが答える。
「タカマガハラ会戦を思い出せばよい。弱兵のヤシマ、ヒンドが主力では三万隻が四万隻になろうと数で優位に立つ我が軍が敗れることはない……」
タカマガハラ会戦はヤシマに侵攻したゾンファ共和国とヤシマの解放を目指す自由星系国家連合軍の戦いだ。(第三部参照)
圧倒的な戦力差がありながら、自由星系国家連合軍はゾンファに完膚なきまでに叩かれ、敗北している。
アレクサンドルは好戦的な表情でニコライを挑発する。
「それともニコライ殿には自信がないのかな? ならば、別の将を据えねばならんが」
「優秀な統率者はあらゆる視点からものを見ねばならぬので」とニコライは表情を変えることなく答える。そして、アレクサンドルの挑発を無視する形で、更に懸念を口にした。
「ダジボーグから三個艦隊だけというのは少なくないか? タイミングによっては各個撃破されるだけだ」
ニコライの懸念はヤシマ星系に最大八個艦隊がいると仮定すると、ダジボーグ側のチェルノボーグJPで待ち構えられたら、濃密なステルス機雷群と三倍近い戦力により殲滅されるのではないかというものだった。
「それについてはタイミングを合わせていただければ問題ないと考えます。ロンバルディア側から侵攻し、首都星タカマガハラを目指せば、ヤシマは必ずタカマガハラを守ろうと動くはずです。つまり、チェルノボーグJPに戦力を貼り付けておくことはあり得ないということなります」
ニコライは自分の考えと同じであるが、アレクサンドルへの嫌味のため、更に付け加えた。
「だとしても、スヴァローグに兵力を無駄に置いておく必要はないのではないか? 予備兵力として四個艦隊も帝都に置く必要はないと思うが?」
この言葉にアレクサンドルの眉が僅かに動く。彼自身も同じように考えているが、動かせない事情があるのだ。
その事情とは政情の不安定さだ。
スヴァローグ星系はアレクサンドルによってダジボーグに併合された形だが、元々帝国の中心という意識が強く、アレクサンドルに心から服従しているわけではない。
そのため、アレクサンドルの簒奪に不満を持つ前皇帝派が暴発しないよう、一定以上の戦力を置いておく必要があった。その戦力は当然信用できるものでなければならず、アレクサンドルの子飼いのダジボーグ艦隊とならざるを得ない。
しかし、ダジボーグ艦隊だけが残ると前線に派遣するスヴァローグ艦隊が反乱を起こす可能性が否定できなくなる。そのため、スヴァローグとダジボーグの艦隊は同数程度になるように調整されていたのだ。
つまり、足元を固めるため、最低限四個艦隊を帝都に残す必要があり、これ以上の出撃は不可能だったのだ。
このことはニコライも充分に理解しているが、それをあえて知らぬ振りをして指摘した。
「これ以上の艦隊を動かすことは兵站に過剰な負担を掛けることになる。ニコライ殿もそのことは分かっておると思ったのだが?」
アレクサンドルはそう言ってニコライに疑問を投げかけた。
「もちろん理解しておりますよ。しかし、兵站に負担を強いることを嫌って、兵力を出し惜しみするのはいかがなものかと」
「先ほども申したが、充分な戦力だと思うのだが? ニコライ殿がどうしても不安だというのであれば、二個艦隊の増派を検討するが?」
アレクサンドルの提案にニコライは表情を硬くする。
これ以上この話題を続けることは自分が臆病に見られると考え、「不安など感じておりません」とアレクサンドルに笑顔でいった後、話題を変えるために「先を続けろ」と参謀に命じた。
「それでは……このようにヤシマにはスヴァローグから移動したダジボーグ艦隊三個とストリボーグ艦隊七個が侵攻することになります。その際、陛下にはダジボーグに移っていただき、作戦の采配を振るっていただくこととなっております……」
「それは陛下がヤシマに親征されるということか?」というニコライの質問に参謀が答える。
「陛下にはダジボーグより全体の采配を振るっていただく予定です。ヤシマでの戦闘の指揮は藩王閣下に執っていただくことになります」
「ということはヤシマ占領後も私は残ることになるのかな?」
その問いに再びアレクサンドルが答える。
「ニコライ殿にはロンバルディアの統治をお願いする。ヤシマ占領後は余自らが出向くつもりだ」
ニコライの臣下たちは「美味しいところだけを持っていくつもりか」という視線を向ける。
しかし、ニコライ本人は涼しい顔で反対する。
「ヤシマは守りにくい星系です。陛下の安全を考えるならダジボーグから指揮を執り続けられる方がよいのではありませんかな」
「我が身を案じてくれるのはありがたいが、余も内戦を生き抜いた古強者の一人であると自負しておる。それにヤシマおよび自由星系国家連合の意志を砕くには余自らがヤシマに赴く方がよい。同様の理由でロンバルディアにはニコライ殿が必要だ」
「なるほど。しかし戦線が広がり過ぎる点が気になりますな。スヴァローグの戦力をヤシマに派遣するとしても、ヤシマ、ロンバルディア、ダジボーグ、ストリボーグの四星系に分散する。この点はどのようにお考えか」
「ヤシマとダジボーグに戦力を集中する。ラメリク・ラティーヌ、ヒンド、シャーリアの三ヶ国は自ら打って出るほどの気概は持っておらぬし、ゾンファも四年前の敗戦からまだ回復しきっておらん。つまり警戒すべきはアルビオン一国ということだ」
「では、ロンバルディアに派遣される我が艦隊はどうされるおつもりか」
ニコライは“我が”という部分を強調する。
「精鋭であるストリボーグ艦隊にはヤシマ防衛を担ってもらうつもりだ。ダジボーグは地の利のある我が艦隊が守る方が合理的だからな」
ニコライはその言葉に自らの兵力を奪うつもりだと感じたが、成功してもいない作戦で狭量なところを見せることは後々に響くと考え、「陛下の御心のままに」と鷹揚にそれを認めた。
アレクサンドルはニコライが認めることを見越しており、言質を取ったことに満足する。
(これでニコライの戦力を我が手に引きこむか、すり潰すことができる。ヤシマを手に入れれば、優秀な技術が我がものとなる。アルビオンとの最前線であるダジボーグ艦隊を最優先に補強することに反対はできないだろうから、ストリボーグとの戦力差を広げる大きなチャンスになる……)
この時、アレクサンドルを含め、誰もロンバルディアとヤシマ攻略の成功を疑っていなかった。
これは何度も行われた検討により、程度の差こそあれ、失敗の要素が見当たらなかったためだ。
星系図を見れば分かるように、自由星系国家連合の艦隊は各星系に分散している。また、アルビオン王国も宿敵ゾンファを放置するわけにはいかないため、帝国に戦力を集中することは難しい。
懸念は“要”となるダジボーグにアルビオンが大艦隊を派遣してくることだが、ゾンファに対する警戒を考えれば、最大でも十個艦隊程度と想定している。
キャメロット方面艦隊五個とスヴァローグから移動させた三個艦隊の計八個艦隊でダジボーグを防衛すれば、地の利もあることから一定期間の防衛は難しくない。その間にヤシマから援軍を出せば、対応は充分に可能である。
アレクサンドルにとって最大の懸念はニコライが反乱を起こすことだが、そのタイミングはアルビオンに勝利した後しかあり得ないとも思っていた。折角手に入れたヤシマとロンバルディアをみすみす手放すようなことを現実主義者のニコライが採るはずがないと確信している。
「では、本作戦の開始を宣言する。かつての銀河帝国の栄光を我らの手で取り戻すのだ!」
その言葉に臣下たちは歓声を持って答えた。