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あの娘はきっとヒロインじゃない  作者: ゴン
第一章 異世界召喚と旅立ち
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008 壁とお話しをしましょう

今回は主人公の能力の説明回です。

面倒な方は最後の2行だけ読んでください。


どんどん説明の内容が増えていって歯止めが利かなくなっていくという地獄。

 ときは少しさかのぼって、召喚された部屋から椎名誠人(しいなまこと)が牢屋に移動させられたすぐあとのこと




■椎名誠人


 俺は召喚された広間でのゴタゴタの後、地下にある牢屋の中に入れられていた。


 その部屋は牢屋と聞いてイメージするような鉄格子で囲われたつくりではなく、石の壁と床に覆われた鼠一匹入り込めないような、隙間一つない息苦しいものだった。

 頑丈そうな分厚い扉の一部に光を取り込む穴が開いており、その穴は鉄格子がしっかりとはめられている。


 その部屋の中で、俺は入り口の扉から一番離れた位置に、壁の方を向いて座っていた。


 牢屋の外から見張りの兵士がこちらを覗き込んでも、俺が何をしているかわからないような位置取りだ。

 速やかに現状を把握して、行動に移らねばならない。




 日本人の4人と宰相が話していたとおり、この世界は異世界なのだろう。

 そしてあいつらと俺はこの異世界にお姫様の儀式によって召喚された。


 オーケー、ここまではよくあるテンプレ召喚ものと同じだ。

 それは受け入れよう、これはもうしょうがない。


 他の奴らは日常生活を送っているときに、そのままの格好でこちらに呼ばれたのだろう。

 そして、俺もプレイしていたゲームのキャラとして、そのままの格好でこちらに呼ばれた、と。


 あのギャルが持っていた鏡に映った俺の顔は、確かに俺が学生の頃に作って10年以上を共にしてきた"ソード&ウィザードリィ"のゲームキャラクター"シーナ=マコット"だった。


 元の体がどうなったのかも気になるが、今はこのゲームキャラの俺に何ができるのかを調べるべきだろう。


 もう、あのお姫様や宰相、日本人の4人に俺の日本人の証明をして、釈放してもらうのを待ってられない事態になっているのだ。




 この牢屋に運んばれてきたときに、あの生え際が寂しい騎士団長は俺に向かってこう言い放った


「このモーゼス = デバインの名に懸けて、必ず貴様を断頭台に送り込んでやる! サラ様のおみ足を蹂躙し、純白の下着をあんな至近距離から視姦するなど…万死に値する!! 覚えていろ、必ず処刑してやる、必ずだ!!」


 そう喚き散らして去っていった騎士団長。


 彼が地下牢からいなくなると、それを見ていた周りの兵士は騎士団長について話し始める。


「また騎士団長のご乱心だ、まったく付き合うほうの身にもなってほしいよ」

「騎士団長はサラ様のことになると、見境が無くなるからな。愛だよ、愛」

「今回は、サラ様が直々に諫めておられたが、どうなるだろうなぁ」

「サラ様の下着は白なのか、見たかったなぁ」


 あの騎士団長が、お姫様に懸想してるせいであんなに怒っているのか。


「実際のところ、王女様の操を狙ったとしたら、不敬罪どころじゃすまないだろうしな」

「平民が王女の股間に頭を突っ込んだわけだからな、処刑されないほうがおかしいだろ」

「ちげぇねぇ」

「わっはっはっはっは!」

「隊長はサラ様の下着を覗いてたんだなぁ、いいなぁ」


 こいつら絶対面白がってやがる。丸聞こえなんだよ! お前らのほうが不敬罪で処されるべきだろ!


 このまま相手の判断だけに身を任せるにはちょっとリスクが高すぎる。

 なんとかせねば、このままではギロチンに掛けられに異世界まで呼ばれたようなものだ。




 とりあえず、左手に装備されたLV制限の腕輪の制限LVを100まで上げる。

 ゲームキャラの性能が反映されるのなら、これでおいそれとやられることはないはずだ。


 こちらの世界の人間の強さがわからないが、LV1魔導士の俺を城の兵士が3人がかりで取り押さえてきたのだ、俺の何倍も力があるとは思えない。

 それをとりあえずの基準として考えてもいいだろう。


 次に、ゲーム中で使用していたメニュー画面を開こうと試みる。

 右手を突き出してコマンドワードを告げる


「メニューオープン」


 あれ、AR表示のメニュー画面が出てこない。

 ソーウィザのゲーム内では視界にウインドウやアイコンが表示されていたのだが……


「メニューオープン」

「ステータスオープン」

「スペルリストオープン」

「スキルリストオープン」


くそ、だめだ。全然反応しない。

音声認識かAR表示の機能に不具合があるのか?

 

「とうとう気がふれたか」

「隊長があんなに追い詰めるから…かわいそうに」


 俺を気遣う兵士の声が聞こえてくるが、無視だ、無視! 

 ……そうだ、AR表示がダメなら、アレを使おう!


 牢屋に入れられるときに、両手足の拘束は取ってもらえたのだが、持っていた魔導士用の杖とアイテムが入った魔法の鞄(見た目より沢山入る鞄)は没収されている。


 だが、ケツポケットに入れておいた冒険の書は没収されなかった。

 良かった、これがあればゲーム中で出来る事なら、殆どのことができる……はずだ。


 本型のインターフェース、通称"冒険の書" ARや音声認識に不具合が発生した場合や、外部のネットワークにアクセスする場合に使用する道具である。

 一見ただの本にみえるが、ゲームキャラのあらゆる情報の管理、設定の変更・確認ができ、キャラクターの行動全般の補助をすることができる。


 つまり、メニュー画面の代わりになるのだ。


 拠点以外の場所での設定変更には、ある程度の制限がかかっているので、この場で何でもできるわけではないのだが…


 早速冒険の書を開いて、自分のキャラのステータスを確認する。

 このキャラクター、そういえば17歳だったっけ? 学生の頃からこいつは全く歳を取っていない。

 永遠の17歳だな。



■シーナ=マコット 17歳 ♂ 

種族:ヒューム

職業1st:黒魔導士 100

  2nd:白魔導士 75(100)

  sjob:斥候(スカウト) 50(100)



 よし、しっかりLVの制限が解除されている。

 いまの状況だとジョブの変更はできないのだが、このままでも、なかなかに色々できるジョブの組み合わせなのは、不幸中の幸いといったところだろう。


 さて、LV100の魔導士の身体能力はどんなものだろうか? ゲーム中のステータスの数値はLV1の魔導士の数十倍になっていたのだが…


 試しに石を敷き詰められている床を指で強めに押してみる。


 ググッ…


 あまり変わっていない気がするな。

 次は力いっぱい押してみる。


 ググググッ!

 ボコォッ!


 指が根元まで床に埋まってしまった。


「なんだ! どうした?」


 大きな物音に慌てた見張りの兵士の一人が声をかけてくる。


「あ、すいません、寝ぼけてちょっと頭を打っただけです。大丈夫ですので、気にしないでください」


 床に埋まった指を隠しながら答える。


「そうか、それならいいが、あまり思い詰めるものじゃないぞ。サラ様や宰相様はお前を罪人としては扱おうとしてはいらっしゃらなかったのだ。そんなに悪い事にはならないかもしれないからな」


 そう言ってこちらを慰めてくれる。

 あの騎士団長以外は結構まともなんだよな~、姫も宰相も横暴な貴族って感じじゃなかったし…


「ええ、ご心配おかけしてすいません。もう大丈夫ですから」


 そう返事をすると、兵士はまた元の位置へと歩いて行った。

 兵士が見えなくなったのを確認してから、ゆっくりと指を引き抜く。


「これは気を付けないとやばいな…」


 とんでもなく力が強くなっている。

 それに指も丈夫になっているのだろう、石に穴があくほど押し付けたのに痛くも何ともない。


 とりあえず、身体能力は上がっているみたいだな、ちょっと加減が分らないけど。

 指で岩に穴を穿つなんて、まるで格闘漫画の主人公だ。

 魔導士なのに!




 つぎはとりあえず魔法の発動の確認だ。


 冒険の書のメニューをいじって、魔法の発動をARのメニュー管理から、音声認識と接触によるタッチターゲット指定に切り替える。

 そして、牢屋の外の見張りから自分が見えてないことを確認してから、右手で自分を触って、魔法の対象を自分に指定する。


 冒険の書で確認すると、ターゲット:"シーナ=マコット"となっている。


「魔法詠唱:プロテクション」


 コマンドワードを唱えると、足元に魔法陣が広がり守備力強化の魔法"プロテクション"が発動した。

 よし、魔法の発動も問題はないな。


「よし、これでたぶんいける。今夜のうちに脱出してやる!」


 俺はそう決意をして、そのほかの魔法とスキルのチェックをするのだった。





---次回予告(仮)---


 ひとり牢獄で脱出の作戦を練る誠人

 一方その頃、うさ耳幼女は相川大愛と一緒にお風呂に入っていた

 誠人は無事に地下牢を脱出することが出来るのか!?

自分が考えた設定を、ただひたすらに書いている回でした。

気が付いたら、とんでもなく面白くない話に仕上がってしまったので、それを半分くらいに削って短くしたのですが…逆に説明足らずになってないといいなぁ。

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