第七十五話 「おやすみなさい。」
本編の進むスピードが遅くてすみません。
12月9日 19:00
「ふう、食った食った。」
晩飯を食べ終えた俺は今日ジルさんから買った毒を鑑定する事にした。
(どんな毒なんだろう。)
俺は毒の入った瓶を片手に持ち、アビリティ鑑定を使う。
猛毒(普通):普通の毒より数倍強い毒。即効性あり。
成分:???
鑑定の結果が出た。俺が以前毒キノコから抽出した微毒より強い毒なのは間違いない。成分が鑑定できなかったのは俺が知らない素材で作られているのか、もしくは鑑定アビリティのレベルが足りていないかのどちらかだろう。
(にしても猛毒か。即効性もあるし。明日のレッドボア戦で猛威を振るってもらおう。)
矢に毒を塗るのは明日ベーテの森に着いてからでいいだろう。
明日に備えて今日は早めに寝る事にした。
12月9日 21:00
緊張なのか全然寝付けない。ベットで2時間くらい奮闘したが全然眠れなかった。仕方ないので魔物図鑑Ⅰと冒険者ノートを読んでいる。といっても、レッドボアが載っているページは穴が開くほど読んでいるから、今更新しい情報は載っていない。
「下に降りて、何か温かいものでも飲もう。」
喉も乾いたので俺は1階に降りて、キッチンに何かないか物色する。
「誰かいるの?」
キッチンのドア付近から声がした。ついでにキッチンに灯りが点く。ちなみに灯りは光魔法が刻まれている中型魔法石から出ている。
「なんだ、ヒロシ君か。」
声の正体はエイラさんだった。
「驚かせてすみません。」
「ううん。灯りも点けずにどうしたの?」
「寝付けないので何か温かい者でも飲もうかと。」
俺は正直に答える。
「そう。私も眠れないからホットミルクでも飲もうと思ってたの。」
「そうでしたか。」
エイラさんは俺の分のホットミルクも作ってくれた。俺とエイラさんはリビングのソファーでホットミルクを飲む。
「明日のレッドボアのクエストが心配?」
「ええ、俺もジャックもまだ大型の魔物の討伐はした事がないので。」
「大丈夫よ。最初は皆緊張するものよ。」
「エイラさん達もですか!」
今は立派な中級冒険者のラウラさん達やケビンさん達ももそんな時期があったのか。今では想像ができない。
「ええ、その時もこうして皆でホットミルク飲んだっけ。懐かしいな。」
エイラさんはホットミルクを飲みながら言った。きっと過去の事を思い出しているのだろう。
「でも、ヒロシ君は1人じゃないでしょ。私の時も皆がいたから乗り越えれたし。」
「そうですね。」
俺はジャックの事を思い浮かべた。
「大分落ち着けました。もう大丈夫そうです。」
俺は残っているホットミルクを一気に飲んだ。
「そう。だったら明日に備えて、早めに寝なさい。」
「はい。おやすみなさい。」
俺は自室に上がっていく。
「おやすみなさい。」
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