第七十四話 「そうだな。その予定は無かったが。」
気付いたら七十話を超えている。
「ふう。少しずつだけど、この弓にも慣れて来たかな。」
俺は近くにあった木かぶに腰かける。ブラックウルフを狩った後、俺はホーンラビット、シャルルジカなど動きが素早い魔物を相手に練習を続けていた。最初は全然当たらなかったが、根気よく追いかけた。たった数時間だが、大分いい動きが出来る様になったと思う。
(よし、もっと練習を重ねれば明日に間に合うかもしれない。)
ザッザッザ
誰かが近づいてくる音がする。俺は音がする方を警戒する。足音は更に近づいてくる。
(だけど、これは多分人だな、それも1人。冒険者かな。)
茂みから足音の正体が現れる。
「お!ジャック。ジャックもベーテの森に来てたのか。」
足音の正体はジャックだった。
「ヒロシじゃないすか。ヒロシも練習すか?」
「ああ、奇遇だな。まさか、2人揃ってベーテの森に来てたとはな。」
「そうすね。それでどうすか、調子は?」
ジャックは俺の弓を見ながら言った。
「ああ、多分明日には少しマシになっていると思うぜ。」
「それは良かったす。」
それから俺はジャックと明日の作戦をおさらいする。まず単体のレッドボアを見つけて、ジャックがレッドボアのヘイトを前衛で集める。俺は弓と毒矢でレッドボアを狙うといった感じの比較的シンプルな作戦だ。
「再度了解っす。明日レッドボアを狩ったら家で打ち上げっす。」
「狩れたらな、でも、毒を使うから肉は使えないけど。」
「うー。それは残念す、レッドボアの肉おいしいで有名なのに。」
ジャックは少し残念そうだ。
「仕方がない。でも、いつか毒を使わないで倒したいな。」
(レッドボアの肉は有名だったのか。でも、猪肉ってうまいのか?)
「うす。」
この後、ジャックと一緒に明日に向けての練習をした。細かい動きなどの確認や俺の弓の射程距離はどこまでなのか、矢の威力をもう1度確認する。
(こういう準備はやりすぎって事はないだろう。)
ジャックと俺も納得するまで練習を続けた。
「意外に狩れたっすね。」
「そうだな。その予定は無かったが。」
もちろん練習の相手は魔物達だ。今日の収穫はブラックウルフの皮10枚、牙12個、骨10本。シャルルジカの角4本、毛皮4枚、肉4袋。ホーンラビットの角3本、皮3枚、肉2袋。アイアンアントの外殻1個。
確かになかなかの収穫だ。ちなみにアイアンアントは体調1mくらいの巨大蟻だ。外殻は固く、酸を吐くのと強靭なあごが特徴的な昆虫型魔物。俺達がレッドボアの後に狩ろうと思っていた魔物だ。たまたま、単体で見つけたので試しに挑んでみた。外殻は固かったが、ジャックが気を逸らしている間に俺が腹の下に滑り込みダガーで刺して仕留めた。
最近信長の野望にはまっています。